狼さんと一緒/荒北
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(前話の荒北side)
3限目の授業は体育で男子はサッカーだった。
身体を動かすのは好きだし得意だ。
サッカー部の奴がチームにいたからそいつのアシストをして俺達のチームは圧倒的な勝利を収めた。
こういうときに意外だと言われる。
性格的に突っ走って勝手にゴールを決めようとすると思われてんだろうなァと驚くチームメイトを見て思った。
体育の次の授業は大抵寝てる。
今日は英語か。
ただでさえ眠いのに、母国語じゃないと余計に睡眠BGMに聞こえてくる。
俺は机につっぷした。
寝ようと思い瞼を閉じるが、寝られない。
・・・視線を感じる。
隣から。
なんで見られてるんだァ?
名前チャンは真面目に授業を聞くタイプなのに今日は集中していないことが顔を上げていない状態でも分かった。
なんだかソワソワしている。
そして俺の方を見ている。
何かしたかァ、俺。
ここ最近の出来事を思い出すが思い当たる節がない。
まだ寝ていないからよだれを机に垂らしているはずもない。
俺は我慢できず、目を開いた。
寝ていると思っていた俺が目を開けたことで驚いた名前チャンと目が合った。
「どーしたのォ?」
そう口パクで伝えると名前チャンは首を思いっきり横に振り前を向いた。
けれど前は向いたが集中はしていないようで手元でシャーペンを動かしては手を止めてと繰り返している。
俺もそんな名前チャンが気になりすぎて、結局4限目は目が冴えて寝られなかった。
昼休み。
今日は誰とも約束してねェし、1人で食うかなァ。
そう思っていたら委員長が俺に話しかけてきた。
「荒北ー。私今日お昼一緒に食べられないから名前と食べてよ」
「おー」
「今日会議あったけ?」
名前チャンは首をかしげた。
確かに委員長会議があるとかそんな話出てなかったはずだ。
「まー、そんなとこ」
適当に流して委員長は教室を出て行った。
何企んでんだァ、あいつ。
俺の鼻が疼いた。
くせェな。
「荒北くん、新開くん達と食べる?私1人でも大丈夫だよ」
「いや、特に約束してねェし、ここで食べる」
俺は朝コンビニで買ったおにぎりを出した。
脚を組んで名前チャンの方を向いた。
「なー、名前チャン、さっき俺のコト見てた?」
単刀直入に聞いた。
気になるものは気になるし、気が長い方ではないので直球勝負。
これで気のせいとか言われたら若干ハズいけど。
「起こしちゃってごめんね」
やっぱり気のせいじゃなかったのか、ある意味良かったと胸を撫でおろした。
「それはいいんだケド・・・」
しかしそうなるとやはり気になるのは見られていた理由。
俺は言葉を選んだ。
「何か深刻そうだったからァ」
名前チャンは目を丸くしている。
そして少し視線を落とした。
「深刻ってほどのことじゃないけどちょっともやもやしてて・・・」
俺を見てもやもやするってどんな状況だァ?
曖昧に答えるあたり言いたくないのだろう。
深く聞かない方がいいかとも思ったがどうしても1つだけはっきりさせておきたかった。
「エ・・・俺なにかした?」
「あ、ううん。荒北くんのせいじゃないの!」
慌てて両手を振り否定する彼女に安心した。
「悩み事あンなら聞くからァ」
あまりしつこく聞いても良くないので当たり障りのない返事を返した。
「ありがとう・・・でも大丈夫だよ」
納得したわけじゃないが、もし助けを求められたら全力で助けよう。
それだけ心に誓い、俺はこれ以上何も聞かないことにした。
お互い自分の食事を再開すると、教室の扉が開く音がした。
「ねぇ、荒北いる?」
自分の名前が呼ばれたので振り向くと隣のクラスの女子がいた。
ほとんどの女子が俺に初めビビるけど、こいつはわりと最初から当たりがよかった。
「ここだけどォ」
俺は見えるように手を挙げた。
「ねぇ、今からちょっと時間ほしいんだけど」
めんどくせェな。
どーすっかなァ、と返事を考えていると何やらクラスの女子がこちらを見ている。
俺の腕を掴んでいる女子に対して敵意を向けている者もいれば、名前チャンのことを心配そうに見ている者もいる。
何かおかしい。
そう直感した。
「何か用?」
ここで話が終わるならそれが一番いいと思った。
「ここじゃ話しにくいしさ、ちょっと来てよ。荒北借りてもいいよね?」
名前チャンは突然話を振られ、驚いた様子と同時に狼狽えていた。
「え。あ、うん・・・」
歯切れの悪い返事と共に視線がみるみるうちに下がっていく。
そんな名前チャンと目の前の女子を交互に見た。
もしかして名前チャンこいつに苛められてンのかァ?
いや、でもこの2人は同じクラスになったことがなく面識はそこまでないはずだ。
それにもしそんなことがあればもっと早く俺が気づく。
とりあえず返事は1つしかなかった。
「あー、昼飯まだ途中だからまた今度でいいかァ?」
こんな様子の名前チャンを1人残すなんてことできない。
俺にしては名前チャン以外の女子に気を使った方だ。
なるべく傷つかない理由をつけた。
「あんた、もう終わってんじゃん」
おにぎりの包み紙を指差された。
こっちが気ィ使って建前作ったの気づけヨ。
「でも名前チャン終わってねェし」
俺はまだ半分以上残っている名前チャンの弁当を指差した。
「はあ?意味わかんない」
この言葉で俺の短い導火線に火が付いた。
人の時間を貰う態度じゃねェだろ。
「今日の昼休みは名前チャンと一緒って決まってンの。また今度か、それが嫌なら今ここで聞く」
俺の梃子でも動かない姿勢に女は「もういい」と怒って出て行った。
なんだ、ありゃ。
名前チャンを見るとポカンとしていて、何で行かなかったのと言いたげだった。
「早く食べないと昼休み終わっちゃうヨ」
「あ・・・うん」
俺が指摘すると名前チャンはからあげを口に入れた。
さっきまで全然箸が進んでいなかったが、何やら食欲を取り戻したらしく次々に弁当の中身を減らしていく。
「ちょっとは元気になったみたいでよかったネ」
俺の言葉を聞いて名前チャンはピタリと止まった。
何かまずいこと言ったかァ、俺。
「私、すごく性格悪いかもしれない・・・」
すぐに一喜一憂するのは女子の特徴だとつくづく思う。
他の女子だったらうぜェと思うけど、なぜだか名前チャンには思わない。
それどころか名前チャンの態度で俺の心情も変化する。
ほんと不思議だ。
「なんで?」
俺は疑問を投げ返した。
こんな性格が素直で虫も殺せそうにない人間は彼女ぐらいだと俺は思ってる。
いつも損な役引き受けてるし。
名前チャンはポツリと聞こえるか聞こえないかぐらい小さい声で呟いた。
「だって・・・さっき荒北くんが行かなくてよかったって思ってる」
俺は一瞬空耳かと思った。
いやいやいやいや。
一気に血流の巡りが活性化し、顔に集中した気がする。
自分でもわかるほど顔が熱い。
俺は片手で口元を隠した。
これってあれだよな、一般的な言葉で解釈すると「ヤキモチ」ってやつだよなァ?
本人は自覚なさそうだが、そうとしか思えなかった。
例えば、あの女子が俺のコトを気にかけているのを名前チャンが知って、それで変な一連の態度を取っていたと思ったら合点がいった。
めちゃくちゃ願望的推測だが。
けれどそれ以外で辻褄が合うストーリーを俺は作れなかった。
「やっぱり私、性格悪いよね・・・?」
何も答えない俺に名前チャンは不安そうな表情を浮かべた。
俺は慌てて答えた。
「名前チャンはすげェいい子だヨ」
もしかしたら彼女の気持ちは少しずつ変わっているのかもしれない、そんな実感を得た今日はツイてる。
俺はそう思った。
3限目の授業は体育で男子はサッカーだった。
身体を動かすのは好きだし得意だ。
サッカー部の奴がチームにいたからそいつのアシストをして俺達のチームは圧倒的な勝利を収めた。
こういうときに意外だと言われる。
性格的に突っ走って勝手にゴールを決めようとすると思われてんだろうなァと驚くチームメイトを見て思った。
体育の次の授業は大抵寝てる。
今日は英語か。
ただでさえ眠いのに、母国語じゃないと余計に睡眠BGMに聞こえてくる。
俺は机につっぷした。
寝ようと思い瞼を閉じるが、寝られない。
・・・視線を感じる。
隣から。
なんで見られてるんだァ?
名前チャンは真面目に授業を聞くタイプなのに今日は集中していないことが顔を上げていない状態でも分かった。
なんだかソワソワしている。
そして俺の方を見ている。
何かしたかァ、俺。
ここ最近の出来事を思い出すが思い当たる節がない。
まだ寝ていないからよだれを机に垂らしているはずもない。
俺は我慢できず、目を開いた。
寝ていると思っていた俺が目を開けたことで驚いた名前チャンと目が合った。
「どーしたのォ?」
そう口パクで伝えると名前チャンは首を思いっきり横に振り前を向いた。
けれど前は向いたが集中はしていないようで手元でシャーペンを動かしては手を止めてと繰り返している。
俺もそんな名前チャンが気になりすぎて、結局4限目は目が冴えて寝られなかった。
昼休み。
今日は誰とも約束してねェし、1人で食うかなァ。
そう思っていたら委員長が俺に話しかけてきた。
「荒北ー。私今日お昼一緒に食べられないから名前と食べてよ」
「おー」
「今日会議あったけ?」
名前チャンは首をかしげた。
確かに委員長会議があるとかそんな話出てなかったはずだ。
「まー、そんなとこ」
適当に流して委員長は教室を出て行った。
何企んでんだァ、あいつ。
俺の鼻が疼いた。
くせェな。
「荒北くん、新開くん達と食べる?私1人でも大丈夫だよ」
「いや、特に約束してねェし、ここで食べる」
俺は朝コンビニで買ったおにぎりを出した。
脚を組んで名前チャンの方を向いた。
「なー、名前チャン、さっき俺のコト見てた?」
単刀直入に聞いた。
気になるものは気になるし、気が長い方ではないので直球勝負。
これで気のせいとか言われたら若干ハズいけど。
「起こしちゃってごめんね」
やっぱり気のせいじゃなかったのか、ある意味良かったと胸を撫でおろした。
「それはいいんだケド・・・」
しかしそうなるとやはり気になるのは見られていた理由。
俺は言葉を選んだ。
「何か深刻そうだったからァ」
名前チャンは目を丸くしている。
そして少し視線を落とした。
「深刻ってほどのことじゃないけどちょっともやもやしてて・・・」
俺を見てもやもやするってどんな状況だァ?
曖昧に答えるあたり言いたくないのだろう。
深く聞かない方がいいかとも思ったがどうしても1つだけはっきりさせておきたかった。
「エ・・・俺なにかした?」
「あ、ううん。荒北くんのせいじゃないの!」
慌てて両手を振り否定する彼女に安心した。
「悩み事あンなら聞くからァ」
あまりしつこく聞いても良くないので当たり障りのない返事を返した。
「ありがとう・・・でも大丈夫だよ」
納得したわけじゃないが、もし助けを求められたら全力で助けよう。
それだけ心に誓い、俺はこれ以上何も聞かないことにした。
お互い自分の食事を再開すると、教室の扉が開く音がした。
「ねぇ、荒北いる?」
自分の名前が呼ばれたので振り向くと隣のクラスの女子がいた。
ほとんどの女子が俺に初めビビるけど、こいつはわりと最初から当たりがよかった。
「ここだけどォ」
俺は見えるように手を挙げた。
「ねぇ、今からちょっと時間ほしいんだけど」
めんどくせェな。
どーすっかなァ、と返事を考えていると何やらクラスの女子がこちらを見ている。
俺の腕を掴んでいる女子に対して敵意を向けている者もいれば、名前チャンのことを心配そうに見ている者もいる。
何かおかしい。
そう直感した。
「何か用?」
ここで話が終わるならそれが一番いいと思った。
「ここじゃ話しにくいしさ、ちょっと来てよ。荒北借りてもいいよね?」
名前チャンは突然話を振られ、驚いた様子と同時に狼狽えていた。
「え。あ、うん・・・」
歯切れの悪い返事と共に視線がみるみるうちに下がっていく。
そんな名前チャンと目の前の女子を交互に見た。
もしかして名前チャンこいつに苛められてンのかァ?
いや、でもこの2人は同じクラスになったことがなく面識はそこまでないはずだ。
それにもしそんなことがあればもっと早く俺が気づく。
とりあえず返事は1つしかなかった。
「あー、昼飯まだ途中だからまた今度でいいかァ?」
こんな様子の名前チャンを1人残すなんてことできない。
俺にしては名前チャン以外の女子に気を使った方だ。
なるべく傷つかない理由をつけた。
「あんた、もう終わってんじゃん」
おにぎりの包み紙を指差された。
こっちが気ィ使って建前作ったの気づけヨ。
「でも名前チャン終わってねェし」
俺はまだ半分以上残っている名前チャンの弁当を指差した。
「はあ?意味わかんない」
この言葉で俺の短い導火線に火が付いた。
人の時間を貰う態度じゃねェだろ。
「今日の昼休みは名前チャンと一緒って決まってンの。また今度か、それが嫌なら今ここで聞く」
俺の梃子でも動かない姿勢に女は「もういい」と怒って出て行った。
なんだ、ありゃ。
名前チャンを見るとポカンとしていて、何で行かなかったのと言いたげだった。
「早く食べないと昼休み終わっちゃうヨ」
「あ・・・うん」
俺が指摘すると名前チャンはからあげを口に入れた。
さっきまで全然箸が進んでいなかったが、何やら食欲を取り戻したらしく次々に弁当の中身を減らしていく。
「ちょっとは元気になったみたいでよかったネ」
俺の言葉を聞いて名前チャンはピタリと止まった。
何かまずいこと言ったかァ、俺。
「私、すごく性格悪いかもしれない・・・」
すぐに一喜一憂するのは女子の特徴だとつくづく思う。
他の女子だったらうぜェと思うけど、なぜだか名前チャンには思わない。
それどころか名前チャンの態度で俺の心情も変化する。
ほんと不思議だ。
「なんで?」
俺は疑問を投げ返した。
こんな性格が素直で虫も殺せそうにない人間は彼女ぐらいだと俺は思ってる。
いつも損な役引き受けてるし。
名前チャンはポツリと聞こえるか聞こえないかぐらい小さい声で呟いた。
「だって・・・さっき荒北くんが行かなくてよかったって思ってる」
俺は一瞬空耳かと思った。
いやいやいやいや。
一気に血流の巡りが活性化し、顔に集中した気がする。
自分でもわかるほど顔が熱い。
俺は片手で口元を隠した。
これってあれだよな、一般的な言葉で解釈すると「ヤキモチ」ってやつだよなァ?
本人は自覚なさそうだが、そうとしか思えなかった。
例えば、あの女子が俺のコトを気にかけているのを名前チャンが知って、それで変な一連の態度を取っていたと思ったら合点がいった。
めちゃくちゃ願望的推測だが。
けれどそれ以外で辻褄が合うストーリーを俺は作れなかった。
「やっぱり私、性格悪いよね・・・?」
何も答えない俺に名前チャンは不安そうな表情を浮かべた。
俺は慌てて答えた。
「名前チャンはすげェいい子だヨ」
もしかしたら彼女の気持ちは少しずつ変わっているのかもしれない、そんな実感を得た今日はツイてる。
俺はそう思った。
