狼さんと一緒/荒北
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荒北くんとは3年間クラスが同じ。
1年の時入学式を終えて新しい人生の幕開けに心躍らせながら自分の教室に足を踏み入れたら驚いた。
なぜなら前扉の一番近い席にリーゼント姿が目に入ったから。
え?現代にリーゼント?
自分の頭では受け入れがたい現実に首を上げてもう一度クラスの表札を確認した。
そしてやはり自分のクラスであることを確認してとりあえず入った。
そのとき見なければいいのに、彼を二度見してしまった。
「ああ!?何見てンだ!」
「あっ、ごめんなさい」
そそくさと彼の前を離れ黒板に貼っている座席表を確認した。
「・・・うそ」
入学早々ついていない。
私は逃げるようにして歩いてきた道を再び戻った。
「って、お前隣かヨ」
荒北くんは自分の隣に座った私を見て声を上げた。
「さっきはすみません・・・。えっと、私名字名前です。よろしくお願いします」
一応自己紹介をする。
彼は一瞥すると何も答えず机に突っ伏した。
先生も彼の風貌に驚いていた様子だった。
入学早々、クラスの親睦を深めるという理由でオリエンテーションが組まれた。
内容は登山。
箱根学園が所有する敷地は広い。
学校を案内するという名目で一通り施設を案内された後、先生お薦めの景色を見るために普段は立ち入らない学園所有の山へと入った。
「あれ・・・?みんなどこ・・・?」
運動が苦手な私は最後尾をゆっくり登っていた。
まだ一緒に行動するほど仲のいい女子もおらず、マイペースに一人で歩いていたのがいけなかった。
靴ひもが解けて結ぶのに手間取っている間に目の前には誰もいなくなっていた。
「うそ・・・」
慌てて走って追いかけたが、もともと整備されていない山を登っていたので道という道がなかった。
下を見て地面の足跡を頼りに登った。
しかし5分ほど登っても誰も見つからない。
「どうしよう・・・」
携帯を開いてみたが圏外だった。
このとき、私の脳内はパニックになっていて下って学校に戻ることよりもみんなを探すことばかり考えてしまっていた。
我武者羅に登っていたら目の前の視界が開けた。
「わあ・・・綺麗」
眼前に箱根が広がる。
校舎も見えた。
自分の学び舎が見えたことで安堵した。
「あ?」
目の前の光景に感嘆していると不機嫌そうな声が隣から聞こえた。
「あああ荒北くん!?」
荒北くんは切り株に大股を開いて座っていた。
「なんでこんなとこにいんだヨ」
「えっと・・・実は迷子になっちゃって・・・」
自分が迷子になっていたことを思い出した寂しさと人に会えた安堵感で私は目の前が霞んだ。
「ちょっ・・・なんで泣くわけェ!?」
いきなり泣き出した私に荒北くんは目を丸くした。
「ううっ・・・荒北くんに会えてよかったぁ・・・」
荒北くんの顔が赤く染まった。
もうこのまま一人ぼっちかと思ったと子どものように泣きじゃくる私に荒北くんは、んなわけねぇだろと答えた。
「荒北くん、お願いがあるんだけど・・・」
「ナニ・・・」
私が荒北くんに身体を寄せたのと同時に荒北くんは少し切り株から腰を浮かせた。
「私と友達になってくれませんか?」
何を言い出すんだこいつ、という顔をしていた荒北くんだが赤くなった目でお願いする私にぷいと顔を横に向けた。
「まぁ・・・別にいいけどォ」
「よかった・・・でね、申し訳ないんだけど・・・」
学校まで連れって行ってほしいの、という私に荒北くんが声を上げて笑った。
「お前っ・・・いまさらかよ!」
それから数十分後、学園に戻った私は先生にすごく心配された。
荒北くんと一緒だったので余計に。
だからちゃんと迷子になったことと荒北くんが助けてくれたことを先生に説明した。
教室に戻ると席の後ろの席の女子に声をかけられた。
「ねぇ、名字さんって荒北くんと仲いいの?」
「えっと・・・さっきお友達になった・・・かな?」
私の曖昧な答えに彼女は首を傾げた。
「名前チャン」
誰かに名前を呼ばれたと思い、声がする方へ顔を向けると荒北くんと目があった。
「俺、荒北靖友。さっき自己紹介してなかったから」
クラス中が荒北くんを凝視していた。
「う、うん!改めてよろしくね」
この日から私はクラスから荒北くんの教育係に任命された。
実際は私の方がお世話されることになるのだが。
「名前チャン。何考えてんの?」
荒北くんは左隣に座っている私に声をかけた。
「ううん。2年前の春も同じ席だったなぁって思って。荒北くんのリーゼント姿思い出しちゃった」
3年になり、新しいクラスになったのだが始めは出席番号順でたまたま1年の時と同じ席の配置になった。
荒北くんは「あ」だからいつも一番前になるのが嫌だと文句を言っていた。
「俺の黒歴史思い出すなよ」
「ふふ。今年もよろしくね。荒北くん」
「へいへい」
今年はどんな日々が始まるのだろうか。
私はこれから始まる毎日が楽しみで仕方なかった。
1年の時入学式を終えて新しい人生の幕開けに心躍らせながら自分の教室に足を踏み入れたら驚いた。
なぜなら前扉の一番近い席にリーゼント姿が目に入ったから。
え?現代にリーゼント?
自分の頭では受け入れがたい現実に首を上げてもう一度クラスの表札を確認した。
そしてやはり自分のクラスであることを確認してとりあえず入った。
そのとき見なければいいのに、彼を二度見してしまった。
「ああ!?何見てンだ!」
「あっ、ごめんなさい」
そそくさと彼の前を離れ黒板に貼っている座席表を確認した。
「・・・うそ」
入学早々ついていない。
私は逃げるようにして歩いてきた道を再び戻った。
「って、お前隣かヨ」
荒北くんは自分の隣に座った私を見て声を上げた。
「さっきはすみません・・・。えっと、私名字名前です。よろしくお願いします」
一応自己紹介をする。
彼は一瞥すると何も答えず机に突っ伏した。
先生も彼の風貌に驚いていた様子だった。
入学早々、クラスの親睦を深めるという理由でオリエンテーションが組まれた。
内容は登山。
箱根学園が所有する敷地は広い。
学校を案内するという名目で一通り施設を案内された後、先生お薦めの景色を見るために普段は立ち入らない学園所有の山へと入った。
「あれ・・・?みんなどこ・・・?」
運動が苦手な私は最後尾をゆっくり登っていた。
まだ一緒に行動するほど仲のいい女子もおらず、マイペースに一人で歩いていたのがいけなかった。
靴ひもが解けて結ぶのに手間取っている間に目の前には誰もいなくなっていた。
「うそ・・・」
慌てて走って追いかけたが、もともと整備されていない山を登っていたので道という道がなかった。
下を見て地面の足跡を頼りに登った。
しかし5分ほど登っても誰も見つからない。
「どうしよう・・・」
携帯を開いてみたが圏外だった。
このとき、私の脳内はパニックになっていて下って学校に戻ることよりもみんなを探すことばかり考えてしまっていた。
我武者羅に登っていたら目の前の視界が開けた。
「わあ・・・綺麗」
眼前に箱根が広がる。
校舎も見えた。
自分の学び舎が見えたことで安堵した。
「あ?」
目の前の光景に感嘆していると不機嫌そうな声が隣から聞こえた。
「あああ荒北くん!?」
荒北くんは切り株に大股を開いて座っていた。
「なんでこんなとこにいんだヨ」
「えっと・・・実は迷子になっちゃって・・・」
自分が迷子になっていたことを思い出した寂しさと人に会えた安堵感で私は目の前が霞んだ。
「ちょっ・・・なんで泣くわけェ!?」
いきなり泣き出した私に荒北くんは目を丸くした。
「ううっ・・・荒北くんに会えてよかったぁ・・・」
荒北くんの顔が赤く染まった。
もうこのまま一人ぼっちかと思ったと子どものように泣きじゃくる私に荒北くんは、んなわけねぇだろと答えた。
「荒北くん、お願いがあるんだけど・・・」
「ナニ・・・」
私が荒北くんに身体を寄せたのと同時に荒北くんは少し切り株から腰を浮かせた。
「私と友達になってくれませんか?」
何を言い出すんだこいつ、という顔をしていた荒北くんだが赤くなった目でお願いする私にぷいと顔を横に向けた。
「まぁ・・・別にいいけどォ」
「よかった・・・でね、申し訳ないんだけど・・・」
学校まで連れって行ってほしいの、という私に荒北くんが声を上げて笑った。
「お前っ・・・いまさらかよ!」
それから数十分後、学園に戻った私は先生にすごく心配された。
荒北くんと一緒だったので余計に。
だからちゃんと迷子になったことと荒北くんが助けてくれたことを先生に説明した。
教室に戻ると席の後ろの席の女子に声をかけられた。
「ねぇ、名字さんって荒北くんと仲いいの?」
「えっと・・・さっきお友達になった・・・かな?」
私の曖昧な答えに彼女は首を傾げた。
「名前チャン」
誰かに名前を呼ばれたと思い、声がする方へ顔を向けると荒北くんと目があった。
「俺、荒北靖友。さっき自己紹介してなかったから」
クラス中が荒北くんを凝視していた。
「う、うん!改めてよろしくね」
この日から私はクラスから荒北くんの教育係に任命された。
実際は私の方がお世話されることになるのだが。
「名前チャン。何考えてんの?」
荒北くんは左隣に座っている私に声をかけた。
「ううん。2年前の春も同じ席だったなぁって思って。荒北くんのリーゼント姿思い出しちゃった」
3年になり、新しいクラスになったのだが始めは出席番号順でたまたま1年の時と同じ席の配置になった。
荒北くんは「あ」だからいつも一番前になるのが嫌だと文句を言っていた。
「俺の黒歴史思い出すなよ」
「ふふ。今年もよろしくね。荒北くん」
「へいへい」
今年はどんな日々が始まるのだろうか。
私はこれから始まる毎日が楽しみで仕方なかった。
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