【2章】告白
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どうしてそんな顔をするんだ。
俺が取調室に入室した時の彼女の顔。
まるで飼い主に再会した迷子の子猫のようだった。
俺は彼女にそんな眼差しを向けられるほど何かをした記憶はない。
せいぜい傷の手当ぐらいだ。
「お疲れ様です」
「どうも」
彼女に向かい合って座っている警官の男に軽く頭を下げた。
「といっても俺も分かることなんてないですよ」
ちらっと彼女を一瞥すると、シュンと肩を落としていて何も俺は悪くないはずなのに(むしろ被害者)罪悪感が湧いた。
「埒があかないので、嘘発見器にも掛けたのですが、名前に対して引っかかりませんでした」
「つまり名前に関しては本当のことを言っていると?」
「はい」
何をどう質問すべきか考えていると、警官の腹の虫が鳴った。
「す、すみません。お昼食べ逃してしまって・・・」
「俺ここに居るんで、行って来ていいですよ」
「本当ですか!すぐに戻りますので」
ありがとうございます、と男は取調室を出て行った。
「さて・・・」
俺は先ほどまで警官が座っていた椅子に腰を下ろした。
「名前は?」
「名字名前です」
「今さらもう一度同じこと聞くけど、どうして俺の部屋にいた?」
「それは・・・本当に突然。自室で寝ていたはずなんですけど、起きたらあそこに」
嘘発見器に目をやるが、特に反応はない。
つまり本当のことを言っているのだ。
「お前は敵なのか?」
「ちっ違います!」
こちらも反応なし。
「名前はあるけど、戸籍がない。心当たりは?」
「・・・ないです」
ビーーー!!!!
「反応、引っかかってるぞ」
指摘すると、彼女は肩を落とした。
「心当たりは・・・本当はあります。でも頭おかしいって思われる」
「言ってみろ」
「いや・・・でも」
「このままだとここから出られないぞ」
「それは困ります・・・。出されても困るんですけどね」
ハハッと乾いた笑いを彼女は漏らした。
「異世界から来たかもしれないって言ったら信じてくれますか?」
「・・・・・・精神病棟から抜け出してきたんじゃないだろうな」
「ほらー!信じてくれない。だよね!分かってた」
嘘発見器は反応を示さない。
つまり少なくとも彼女は「本当にそうだと思っている」ということになる。
心に病を抱えている場合、本人が思い込んでいる以上嘘発見器にかけても意味がない。
しかし・・・。
「もう、どうしたらいいんだろう」
頭を抱える彼女はとても精神的に病んでいるようには見えなかった。
*******************
やっぱり、本当のことを言っても信じてもらえない。
そりゃそうだ。
夢女子でトリップ設定に慣れている私でさえ、これがまだ夢ではないかと思っているのだから。
夢なら夢でそれでいい。
一番マズイのは現実逃避した挙句、出られるチャンスを不意にしてしまうことだ。
さすがにこの状況でまだ「わー!相澤先生だ」なんて頭お花畑になれるほど馬鹿ではない。
いかにして相澤先生に助けてもらうか。
ここに来てくれたこのチャンスを逃してはならない。
だって、私は知っている。
相澤先生は優しい人だって。
そして、合理的な人であるということも。
とにかく、今は相澤先生が私に抱いている「精神的な病を抱えている」という疑念を払拭させなければ。
「あの・・・」
「質問を変えよう」
私が口を開く前に相澤先生が切り出した。
「どうして、俺がヒーロー科の教師であることを知っていた?」
「(・・・!!)」
やばい。
傷の手当していた時にそう言えばポロッと言ってしまった。
私はなんて返事をするか、頭を悩ませているとふと思いついた。
「(これってチャンスなんじゃ・・・?)」
大して良くない頭をフル回転させて、間違った発言をしないように注意する。
「私、雄英高校の未来が少しだけ分かるんです」
相澤先生は何言ってるんだ、こいつって表情をしている。
「相澤先生は今春1-Aのヒーロー科を担任する予定じゃないですか?」
「何で知って・・・」
「雄英高校はこの先・・・よくないことが起こります」
「よくないことって?」
訝しむ表情の相澤先生に私は交渉を持ちかけた。
「それは・・・ここから出して頂けたら教えます」
俺が取調室に入室した時の彼女の顔。
まるで飼い主に再会した迷子の子猫のようだった。
俺は彼女にそんな眼差しを向けられるほど何かをした記憶はない。
せいぜい傷の手当ぐらいだ。
「お疲れ様です」
「どうも」
彼女に向かい合って座っている警官の男に軽く頭を下げた。
「といっても俺も分かることなんてないですよ」
ちらっと彼女を一瞥すると、シュンと肩を落としていて何も俺は悪くないはずなのに(むしろ被害者)罪悪感が湧いた。
「埒があかないので、嘘発見器にも掛けたのですが、名前に対して引っかかりませんでした」
「つまり名前に関しては本当のことを言っていると?」
「はい」
何をどう質問すべきか考えていると、警官の腹の虫が鳴った。
「す、すみません。お昼食べ逃してしまって・・・」
「俺ここに居るんで、行って来ていいですよ」
「本当ですか!すぐに戻りますので」
ありがとうございます、と男は取調室を出て行った。
「さて・・・」
俺は先ほどまで警官が座っていた椅子に腰を下ろした。
「名前は?」
「名字名前です」
「今さらもう一度同じこと聞くけど、どうして俺の部屋にいた?」
「それは・・・本当に突然。自室で寝ていたはずなんですけど、起きたらあそこに」
嘘発見器に目をやるが、特に反応はない。
つまり本当のことを言っているのだ。
「お前は敵なのか?」
「ちっ違います!」
こちらも反応なし。
「名前はあるけど、戸籍がない。心当たりは?」
「・・・ないです」
ビーーー!!!!
「反応、引っかかってるぞ」
指摘すると、彼女は肩を落とした。
「心当たりは・・・本当はあります。でも頭おかしいって思われる」
「言ってみろ」
「いや・・・でも」
「このままだとここから出られないぞ」
「それは困ります・・・。出されても困るんですけどね」
ハハッと乾いた笑いを彼女は漏らした。
「異世界から来たかもしれないって言ったら信じてくれますか?」
「・・・・・・精神病棟から抜け出してきたんじゃないだろうな」
「ほらー!信じてくれない。だよね!分かってた」
嘘発見器は反応を示さない。
つまり少なくとも彼女は「本当にそうだと思っている」ということになる。
心に病を抱えている場合、本人が思い込んでいる以上嘘発見器にかけても意味がない。
しかし・・・。
「もう、どうしたらいいんだろう」
頭を抱える彼女はとても精神的に病んでいるようには見えなかった。
*******************
やっぱり、本当のことを言っても信じてもらえない。
そりゃそうだ。
夢女子でトリップ設定に慣れている私でさえ、これがまだ夢ではないかと思っているのだから。
夢なら夢でそれでいい。
一番マズイのは現実逃避した挙句、出られるチャンスを不意にしてしまうことだ。
さすがにこの状況でまだ「わー!相澤先生だ」なんて頭お花畑になれるほど馬鹿ではない。
いかにして相澤先生に助けてもらうか。
ここに来てくれたこのチャンスを逃してはならない。
だって、私は知っている。
相澤先生は優しい人だって。
そして、合理的な人であるということも。
とにかく、今は相澤先生が私に抱いている「精神的な病を抱えている」という疑念を払拭させなければ。
「あの・・・」
「質問を変えよう」
私が口を開く前に相澤先生が切り出した。
「どうして、俺がヒーロー科の教師であることを知っていた?」
「(・・・!!)」
やばい。
傷の手当していた時にそう言えばポロッと言ってしまった。
私はなんて返事をするか、頭を悩ませているとふと思いついた。
「(これってチャンスなんじゃ・・・?)」
大して良くない頭をフル回転させて、間違った発言をしないように注意する。
「私、雄英高校の未来が少しだけ分かるんです」
相澤先生は何言ってるんだ、こいつって表情をしている。
「相澤先生は今春1-Aのヒーロー科を担任する予定じゃないですか?」
「何で知って・・・」
「雄英高校はこの先・・・よくないことが起こります」
「よくないことって?」
訝しむ表情の相澤先生に私は交渉を持ちかけた。
「それは・・・ここから出して頂けたら教えます」