【9章】嫉妬
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自分の感情をコントロールすることは得意なはずだった。
厳密には感情の起伏があまりないと言った方が正しいのかもしれない。
だから昼休みに名前とマイクが中庭のベンチで食事を取っているのを見た時に沸き上がってきたこの苛立ちを上手くコントロールしきれていない自分に辟易した。
その結果、名前を傷つけた。
公私混同などもっての外だ。
今まで自分が女にここまで振り回されたことがあっただろうか。
情けなくて嫌になる。
先週末、一線は越えていないにしても寝食を共にしたにも関わらず、たかがあいつと昼飯を一緒に食ってたぐらいで何をそんなに焦る必要があるというのだ。
頭と感情が別物であるということを初めてこの身で感じた。
おそらくマイクの気持ちを知っていなければ、ここまでにはならなかったのかもしれない。
結局"たられば"だが。
「おい、ショータ」
「就業中だぞ」
「もう放課後じゃーん」
俺のことを名前で呼ぶ同僚に一喝した。
「・・・イレイザー様は何をそんなにご機嫌ナナメなんですかぁ?」
「別に悪くない」
「おいおい、本気で言ってんのかよ?」
「・・・俺が悪いことは分かってる」
「お?」
「後で謝ってくる」
「おー。そーしろ、そーしろ」
そう、ちゃんと謝ろう。
せっかく良い方向に関係を進めていたのに、こんなくだらない嫉妬で後退させてどうする。
ただの自滅だろうが。
そして、この同僚の余裕っぷりに腹が立つと同時に羨ましくもあった。
恋愛においては一枚も二枚もこいつの方が上手だ。
「え?何?」
「・・・」
「無視!?シヴィー!」
マイクに構っている時間はない。
とにかく早く仕事を終わらせなければ。
俺は意識を集中させて残りの業務に取り掛かった。
*******************
私は部屋の床に座り、さっきコンビニで買ってきたスイーツを食べながらテレビを見ていた。
「はあ・・・」
しかしスイーツの味もテレビの内容も全く入ってこない。
何でこうなっちゃったんだっけ。
ああ、私が仕事のミスをしたからだ。
最近相澤先生と自惚れかもしれないが、いい感じになってきたところにしっぺ返しを食らった気分だ。
いや、100%私が悪いし、私が引き起こしてしまったこと。
調子に乗ったからこんなことになったのだ。
信頼関係を築くのは時間が掛かるが、壊すのは一瞬だ。
「う~・・・」
職員室では我慢していた涙がボロボロ零れた。
もともと不審者同然の私の信頼なんて、あったとしてもとても脆い。
相澤先生に見放されたら私、どうしたらいいんだろう。
雇用打ち切りになったら?
ここから出て行けって言われたら?
ひゅうっと背筋が凍った。
「ひっく・・・」
心の中が不安で一杯になった。
****************
適度なところで仕事を切り上げ、名前の部屋に向かった。
コンコンと部屋の扉をノックした。
しばらく待つが応答がない。
もう一度二回ノックする。
「はい・・・」
聞き逃しそうになったが、中から小さく声が聞こえた。
「相澤だ。入ってもいいか?」
返事を待つが応答がない。
・・・まさか、入ったらダメなのか?
了承の返事を貰えないと入れない。
どうしたもんかと扉の前に立ち尽くしていると、ゆっくりとドアノブが回った。
「どうぞ・・・」
俯く名前に促されて中へ入る。
適当な場所に座ると名前も腰を下ろした。
「・・・」
いつもならもう少し近い場所に座るはず。
しかし、今の名前は二人で会話するにはいささか遠い場所に座っている。
まるでこれが心の距離だといわんばかり。
内心傷ついたが、顔には出さなかった。
「何でそんなに離れてるんだ」
「いえ・・・」
名前はクッションを抱えた。
それがさらに壁を作られた気がして、俺は強引にその距離を詰めた。
「・・・っ!」
「・・・泣いていたのか」
俯く名前を覗き込み、無理矢理目を合わせた。
少し充血した瞳に濡れた睫毛。
目の下に指を添えると少し湿っていた。
厳密には感情の起伏があまりないと言った方が正しいのかもしれない。
だから昼休みに名前とマイクが中庭のベンチで食事を取っているのを見た時に沸き上がってきたこの苛立ちを上手くコントロールしきれていない自分に辟易した。
その結果、名前を傷つけた。
公私混同などもっての外だ。
今まで自分が女にここまで振り回されたことがあっただろうか。
情けなくて嫌になる。
先週末、一線は越えていないにしても寝食を共にしたにも関わらず、たかがあいつと昼飯を一緒に食ってたぐらいで何をそんなに焦る必要があるというのだ。
頭と感情が別物であるということを初めてこの身で感じた。
おそらくマイクの気持ちを知っていなければ、ここまでにはならなかったのかもしれない。
結局"たられば"だが。
「おい、ショータ」
「就業中だぞ」
「もう放課後じゃーん」
俺のことを名前で呼ぶ同僚に一喝した。
「・・・イレイザー様は何をそんなにご機嫌ナナメなんですかぁ?」
「別に悪くない」
「おいおい、本気で言ってんのかよ?」
「・・・俺が悪いことは分かってる」
「お?」
「後で謝ってくる」
「おー。そーしろ、そーしろ」
そう、ちゃんと謝ろう。
せっかく良い方向に関係を進めていたのに、こんなくだらない嫉妬で後退させてどうする。
ただの自滅だろうが。
そして、この同僚の余裕っぷりに腹が立つと同時に羨ましくもあった。
恋愛においては一枚も二枚もこいつの方が上手だ。
「え?何?」
「・・・」
「無視!?シヴィー!」
マイクに構っている時間はない。
とにかく早く仕事を終わらせなければ。
俺は意識を集中させて残りの業務に取り掛かった。
*******************
私は部屋の床に座り、さっきコンビニで買ってきたスイーツを食べながらテレビを見ていた。
「はあ・・・」
しかしスイーツの味もテレビの内容も全く入ってこない。
何でこうなっちゃったんだっけ。
ああ、私が仕事のミスをしたからだ。
最近相澤先生と自惚れかもしれないが、いい感じになってきたところにしっぺ返しを食らった気分だ。
いや、100%私が悪いし、私が引き起こしてしまったこと。
調子に乗ったからこんなことになったのだ。
信頼関係を築くのは時間が掛かるが、壊すのは一瞬だ。
「う~・・・」
職員室では我慢していた涙がボロボロ零れた。
もともと不審者同然の私の信頼なんて、あったとしてもとても脆い。
相澤先生に見放されたら私、どうしたらいいんだろう。
雇用打ち切りになったら?
ここから出て行けって言われたら?
ひゅうっと背筋が凍った。
「ひっく・・・」
心の中が不安で一杯になった。
****************
適度なところで仕事を切り上げ、名前の部屋に向かった。
コンコンと部屋の扉をノックした。
しばらく待つが応答がない。
もう一度二回ノックする。
「はい・・・」
聞き逃しそうになったが、中から小さく声が聞こえた。
「相澤だ。入ってもいいか?」
返事を待つが応答がない。
・・・まさか、入ったらダメなのか?
了承の返事を貰えないと入れない。
どうしたもんかと扉の前に立ち尽くしていると、ゆっくりとドアノブが回った。
「どうぞ・・・」
俯く名前に促されて中へ入る。
適当な場所に座ると名前も腰を下ろした。
「・・・」
いつもならもう少し近い場所に座るはず。
しかし、今の名前は二人で会話するにはいささか遠い場所に座っている。
まるでこれが心の距離だといわんばかり。
内心傷ついたが、顔には出さなかった。
「何でそんなに離れてるんだ」
「いえ・・・」
名前はクッションを抱えた。
それがさらに壁を作られた気がして、俺は強引にその距離を詰めた。
「・・・っ!」
「・・・泣いていたのか」
俯く名前を覗き込み、無理矢理目を合わせた。
少し充血した瞳に濡れた睫毛。
目の下に指を添えると少し湿っていた。
