【8章】デート
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「おお・・・」
水族館なんて久しぶりだ。
元の世界でも、この歳になれば女友達と水族館に行くなんてことはなく。
せいぜい彼氏と付き合いたての時か、はたまた付き合う前のデートで行くぐらいだ。
付き合う前・・・そう、ちょうど今みたいに。
「って!違う違う」
「何がだ」
「あっ、いえ。何でもありません」
相澤先生に促され、入り口のゲートをくぐった。
「わ~。綺麗ですね」
元の世界では見た事のない魚が沢山いる。
個性を使った品種改良が進んでいるのだろう。
魚を見てはその紹介文に目を通した。
元の世界の水族館なら適当に流し見する程度なのだが、こうやって物珍しい物を見てしまうとなかなか一つの展示場所から動けない。
「見て下さい!この子、模様がハート柄です」
「最近流行ってるらしいな」
「そうなんですね」
「ペットでも人気らしい」
自分の噂をされているなんて微塵も分かっていなさそうな魚は、目の前をふよふよと周回した。
「相澤先生は水族館よく来るんですか?」
「・・・来るように見えるか?」
「見えないです」
「学生時代の校外学習ぶりじゃないかな」
「校外学習!」
彼女と来たりしなかったんですか?と聞きそうになったが自分が嫌な思いをするだけなのでやめておいた。
ん・・・?
彼女?
そうだ!
私まだ相澤先生に恋人がいるかどうか知らない。
なんか、漫画のキャラ設定的にいないだろうなって勝手に決めていた。
しかし、そんなの分からない。
「(いや・・・でも)」
彼女がいるのに、こんなところに私と来るだろうか?
相澤先生の性格的にそれこそ考えにくかった。
こっそり相澤先生に視線を送ると、何を考えているか分からない無表情で魚を眺めている。
「(楽しんでくれてるかな・・・?)」
彼女の有無をはっきりさせるのは怖いので、これ以上考えないことにした。
それよりも、相澤先生はここに来て楽しいのだろうか・・・?
魚を見て楽しむ・・・という趣向は持ってなさそうだが。
「イルカショー・・・見に行くか?」
「え!?」
「・・・そんなおかしいこと言ったか?」
「いえ!見に行きたいです」
こっちにもイルカショーあるんだという驚きと、相澤先生がそういう場所を率先して発案してくれたことと二重に驚いた。
相澤先生が持っているパンフレットによると、ショーの時間から逆算してもうそろそろ席を確保した方がいい時間帯だった。
「こっちですね」
頭上の案内番に従い、屋外へ出た。
私達は正面の後ろの方の席に座った。
「もっと前じゃなくていいのか?」
「後ろの方が全体を見渡せて見やすくないですか?」
「分かる」
「映画館も後ろの方が好きです」
「俺は一番後ろ派だ。蹴られないし、少しスペース広いだろ」
「相澤先生足長いですもんね~」
雑談している内に席はどんどん埋まっていき、開始時刻にはほぼ満席になった。
****************
イルカショーは盛況で、インストラクターのお姉さんの掛け声に合わせて特技を披露している。
「わっ!皆賢いですね~」
「上鳴より頭いいかもな」
「それはひどい」
口ではひどいと言いながら私も遠慮なく笑ってしまっている。
ショーは滞りなく終わり、イルカたちは堂々たる演技を見せてくれた。
周囲の人々が立ち上がったので、私も立ち上がった。
「私達も行きましょうか」
「そうだな」
「ペンギン見に行きたいです!」
まだ行っていないペンギン展示スペースに向かって歩く。
「こっちかな?」
パンフレット片手にイルカショーを終えた人混みの合間を縫いながらふらふら進む。
「あっ、こっちじゃなかった」
方向を間違えていることに気付き、右から左へ進む方向を変えた。
「ペンギン、ペンギン」
あの愛くるしい動物に会いたい。
そんな気持ちが先行しすぎた。
「・・・っ名前!!」
相澤先生の声が聞こえて立ち止まった。
その瞬間、私のパンフレットを持っていない空いた方の手が掴まれた。
「急に方向変えるなよ・・・」
「あっ、ごめんなさい」
私はどうやら相澤先生のことを置いてきぼりにしてしまったらしい。
彼は少し焦っていた。
「ほら・・・ペンギン見に行くんだろ」
「は、はい」
飲み会の時に部屋に戻ろうとした私を掴んだ時とは違って、相澤先生はペンギンブースに着いてからもその手を離さなかった。
水族館なんて久しぶりだ。
元の世界でも、この歳になれば女友達と水族館に行くなんてことはなく。
せいぜい彼氏と付き合いたての時か、はたまた付き合う前のデートで行くぐらいだ。
付き合う前・・・そう、ちょうど今みたいに。
「って!違う違う」
「何がだ」
「あっ、いえ。何でもありません」
相澤先生に促され、入り口のゲートをくぐった。
「わ~。綺麗ですね」
元の世界では見た事のない魚が沢山いる。
個性を使った品種改良が進んでいるのだろう。
魚を見てはその紹介文に目を通した。
元の世界の水族館なら適当に流し見する程度なのだが、こうやって物珍しい物を見てしまうとなかなか一つの展示場所から動けない。
「見て下さい!この子、模様がハート柄です」
「最近流行ってるらしいな」
「そうなんですね」
「ペットでも人気らしい」
自分の噂をされているなんて微塵も分かっていなさそうな魚は、目の前をふよふよと周回した。
「相澤先生は水族館よく来るんですか?」
「・・・来るように見えるか?」
「見えないです」
「学生時代の校外学習ぶりじゃないかな」
「校外学習!」
彼女と来たりしなかったんですか?と聞きそうになったが自分が嫌な思いをするだけなのでやめておいた。
ん・・・?
彼女?
そうだ!
私まだ相澤先生に恋人がいるかどうか知らない。
なんか、漫画のキャラ設定的にいないだろうなって勝手に決めていた。
しかし、そんなの分からない。
「(いや・・・でも)」
彼女がいるのに、こんなところに私と来るだろうか?
相澤先生の性格的にそれこそ考えにくかった。
こっそり相澤先生に視線を送ると、何を考えているか分からない無表情で魚を眺めている。
「(楽しんでくれてるかな・・・?)」
彼女の有無をはっきりさせるのは怖いので、これ以上考えないことにした。
それよりも、相澤先生はここに来て楽しいのだろうか・・・?
魚を見て楽しむ・・・という趣向は持ってなさそうだが。
「イルカショー・・・見に行くか?」
「え!?」
「・・・そんなおかしいこと言ったか?」
「いえ!見に行きたいです」
こっちにもイルカショーあるんだという驚きと、相澤先生がそういう場所を率先して発案してくれたことと二重に驚いた。
相澤先生が持っているパンフレットによると、ショーの時間から逆算してもうそろそろ席を確保した方がいい時間帯だった。
「こっちですね」
頭上の案内番に従い、屋外へ出た。
私達は正面の後ろの方の席に座った。
「もっと前じゃなくていいのか?」
「後ろの方が全体を見渡せて見やすくないですか?」
「分かる」
「映画館も後ろの方が好きです」
「俺は一番後ろ派だ。蹴られないし、少しスペース広いだろ」
「相澤先生足長いですもんね~」
雑談している内に席はどんどん埋まっていき、開始時刻にはほぼ満席になった。
****************
イルカショーは盛況で、インストラクターのお姉さんの掛け声に合わせて特技を披露している。
「わっ!皆賢いですね~」
「上鳴より頭いいかもな」
「それはひどい」
口ではひどいと言いながら私も遠慮なく笑ってしまっている。
ショーは滞りなく終わり、イルカたちは堂々たる演技を見せてくれた。
周囲の人々が立ち上がったので、私も立ち上がった。
「私達も行きましょうか」
「そうだな」
「ペンギン見に行きたいです!」
まだ行っていないペンギン展示スペースに向かって歩く。
「こっちかな?」
パンフレット片手にイルカショーを終えた人混みの合間を縫いながらふらふら進む。
「あっ、こっちじゃなかった」
方向を間違えていることに気付き、右から左へ進む方向を変えた。
「ペンギン、ペンギン」
あの愛くるしい動物に会いたい。
そんな気持ちが先行しすぎた。
「・・・っ名前!!」
相澤先生の声が聞こえて立ち止まった。
その瞬間、私のパンフレットを持っていない空いた方の手が掴まれた。
「急に方向変えるなよ・・・」
「あっ、ごめんなさい」
私はどうやら相澤先生のことを置いてきぼりにしてしまったらしい。
彼は少し焦っていた。
「ほら・・・ペンギン見に行くんだろ」
「は、はい」
飲み会の時に部屋に戻ろうとした私を掴んだ時とは違って、相澤先生はペンギンブースに着いてからもその手を離さなかった。
