【3章】フォーリンラブin室町
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「なんだか名前ちゃん、元気無いわね」
「ええ」
母上の言葉に私は頷いた。
昼は川でのんびり過ごした。
三泊なんてあっという間だった。
恋仲であれば、一週間ずっとここに居て欲しいという我儘も言えるのであろう。
名前さんはあの首筋に書いた記号を見つけてくれただろうか。
綺麗に落とされていたから、見つけはしたのだろう。
まだ自分の気持ちを伝えるつもりはなかった。
弱気な私は、もう少し勝算がありそうな状態にもっていってから…と思っていた。
だが、あまり悠長にしている時間はない。
ここを去れば次は土井先生の元に行くことになる。
自分とは違って圧倒的に過ごす時間が長い彼の方が俄然有利だ。
だから思い切って私を意識してもらうきっかけとして話してしまおうか、と焼ける魚を見ながら思ったのだが結局言えずじまいだった。
そして、山田家で囲む最後の夕食。
名前さんは少し元気がなかった。
食後のお茶を淹れている母上と私はそのことに気づいて、どうしたのだろうと首を傾げた。
特に何かがあったというわけではないはずなのだが…。
「大変だ!」
父上がバタバタと母上の元へ駆け寄った。
「実はかくかくしかじかで…」
「まあ…なんてこと」
母上の昔のくノ一仲間の身が危険に晒されているとの情報が入ってきた。
名前さんはどうしたのだろう、と首を居間から覗かせている。
「利吉、私も彼女を助けに行ってくるわ」
「今夜は戻れぬかもしれん」
「母上の代わりに私が行きましょうか?」
「いいえ。彼女にはお世話になったから、私が直接行きたいの」
母上は名前さんの傍に腰を下ろした。
「慌ただしくてごめんなさいね。もしかしたら明日貴方が発つときに居ないかもしれないから。またいつでも遊びに来てちょうだい」
「あのっ。お世話になりました。ありがとうございました」
「利吉、明日ちゃんと半助のところへ送るんだぞ!」
私が何かを言う前にもう二人は目の前からいなくなっていた。
「………すみません。慌ただしくて」
「い、いえ。忍者って大変なんですね…」
心配そうに二人が出ていった戸に視線を向けた名前さん。
「私が言うのもなんですが、二人とも一流の忍なので心配ないですよ」
「はい…」
仕方がないとはいえ、まさか最後の夜を二人で過ごすことになるとは。
「先に湯浴みをどうぞ」
あまり意識しすぎるとぎこちなくなってしまう。
私は平静を装って、名前さんに湯浴みを促した。
「ありがとうございます。ではお先に頂きます…」
とぼとぼと居間を後にする彼女を尻目に、今のうちに次の仕事の確認をしておくことにした。
「はあ…」
人知れず漏れた溜息。
こんな調子で忍務大丈夫なのか。
私しかいない居間はシン…と静まり返っていた。
「ええ」
母上の言葉に私は頷いた。
昼は川でのんびり過ごした。
三泊なんてあっという間だった。
恋仲であれば、一週間ずっとここに居て欲しいという我儘も言えるのであろう。
名前さんはあの首筋に書いた記号を見つけてくれただろうか。
綺麗に落とされていたから、見つけはしたのだろう。
まだ自分の気持ちを伝えるつもりはなかった。
弱気な私は、もう少し勝算がありそうな状態にもっていってから…と思っていた。
だが、あまり悠長にしている時間はない。
ここを去れば次は土井先生の元に行くことになる。
自分とは違って圧倒的に過ごす時間が長い彼の方が俄然有利だ。
だから思い切って私を意識してもらうきっかけとして話してしまおうか、と焼ける魚を見ながら思ったのだが結局言えずじまいだった。
そして、山田家で囲む最後の夕食。
名前さんは少し元気がなかった。
食後のお茶を淹れている母上と私はそのことに気づいて、どうしたのだろうと首を傾げた。
特に何かがあったというわけではないはずなのだが…。
「大変だ!」
父上がバタバタと母上の元へ駆け寄った。
「実はかくかくしかじかで…」
「まあ…なんてこと」
母上の昔のくノ一仲間の身が危険に晒されているとの情報が入ってきた。
名前さんはどうしたのだろう、と首を居間から覗かせている。
「利吉、私も彼女を助けに行ってくるわ」
「今夜は戻れぬかもしれん」
「母上の代わりに私が行きましょうか?」
「いいえ。彼女にはお世話になったから、私が直接行きたいの」
母上は名前さんの傍に腰を下ろした。
「慌ただしくてごめんなさいね。もしかしたら明日貴方が発つときに居ないかもしれないから。またいつでも遊びに来てちょうだい」
「あのっ。お世話になりました。ありがとうございました」
「利吉、明日ちゃんと半助のところへ送るんだぞ!」
私が何かを言う前にもう二人は目の前からいなくなっていた。
「………すみません。慌ただしくて」
「い、いえ。忍者って大変なんですね…」
心配そうに二人が出ていった戸に視線を向けた名前さん。
「私が言うのもなんですが、二人とも一流の忍なので心配ないですよ」
「はい…」
仕方がないとはいえ、まさか最後の夜を二人で過ごすことになるとは。
「先に湯浴みをどうぞ」
あまり意識しすぎるとぎこちなくなってしまう。
私は平静を装って、名前さんに湯浴みを促した。
「ありがとうございます。ではお先に頂きます…」
とぼとぼと居間を後にする彼女を尻目に、今のうちに次の仕事の確認をしておくことにした。
「はあ…」
人知れず漏れた溜息。
こんな調子で忍務大丈夫なのか。
私しかいない居間はシン…と静まり返っていた。
