【1章】さよなら令和、ようこそ室町
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チュンチュンと鳴く小鳥の囀りと差し込む朝日で目が覚めた。
「やっぱり夢じゃない…」
遮光カーテンなんてついていない保健室は薬草の匂いがした。
薄い布団から身体を起こし、寝相で乱れた寝衣を整える。
昨日の夜、伊作くんは間違いなく言った。
❝戦乱の世❞だと。
彼の人となりは半日程度でも十分理解したつもりだ。
あの彼が嘘を付くとは思えない。
とにかく、私はどのみち足が痛くて動けないのだ。
考える時間は十分にある。
そして考えるだけではだめだ。
情報をもっと集めなければ。
「おはようございます。起きてますか?」
衝立の向こうから仙蔵くんの声が聞こえた。
「おはようございます。起きてますよ」
私の返事を聞くと彼は衝立を移動させた。
「朝食をお持ちしました。私もここで一緒に頂きます」
「美味しそう…」
和定食を二つ分持った彼は一つを私に差し出した。
「ありがとうございます」
至れり尽くせりで、本当にお姫様になった気分。
「いただきます」
手を合わせてありがたく頂いた。
腹が減っては戦はできぬっていうしね。
いや…洒落にならない状況か。
「本日は私が貴方の傍にお付きします」
綺麗な所作で焼き魚を丁寧にほぐしていく仙蔵くん。
「なんか…ごめんなさい。ややこしいことになってしまって」
宗教集落だのガタガタ言っていたが、厄介者であろう自分の世話をしなければならない彼らに対し申し訳無さを今更ながら感じた。
「いえ。貴方があのまま外に放り出されてたらそれこそ気になって夜も眠れなさそうです」
本当に気にしていなさそうでホッとした。
「むしろ迷惑なのはあの二人…」
「え?」
小声で何か呟いていたので聞き返したら仙蔵くんはコホンと咳払いした。
「いえ…少し私と相性の悪い人物がおりまして」
「へぇ…」
この仙蔵くんと相性が悪い人なんているんだ。
仙蔵くんはきっちりしてそうだから、大雑把な人かな?と七松くんを想像した。
わなわなとお箸を持つ手が震えていたので、咄嗟に話題を変えた。
「ところで…話は変わるのですが、仙蔵くんは今の世の中の状況をどんな言葉で表しますか?」
「問答ですか?」
「ううん。捻らなくていいので、仙蔵くんの思う答えを率直に聞かせてほしいです…」
「そうですね…。戦乱、もしくは動乱の世…でしょうか」
やはり伊作くんと同じ答えだ。
「伊作から聞きました。貴方は今の時世さえよく分かっていなさそうだと。やはり記憶が…?」
「そうみたいです…」
いや、私の記憶はばっちり・・・(以下同文)
「あの、街に行くことってできますか?」
「町ですか?それは・・・。万一貴方が伊作の言うようにどこかに囚われていて逃げ出したのだとしたら追手に見つかる可能性があるので」
それは100000%無いんだよなぁ・・・。
もっとこの目で情報を集めたいので外に行きたかった。
しかしこう言われてしまうとそれ以上は言えない。
「あ、しかし・・・そうだな」
「?」
「いえ、行けるかもしれません。妙案があります」
「本当ですか!?」
「ですがどちらにせよ足が治ってからです」
「承知しました!」
ビシッと敬礼すると、「なんですか、その仕草は」と笑われてしまった。
「それよりも私が気になるのは・・・」
仙蔵くんは私の髪を一束掬い上げた。
「たった一日で随分髪が傷んでしまいましたね」
正直、私も気になっていた。
ホテルに置いてある安物のリンスインシャンプーを使った時の方がマシなのではと思う程指通りが悪い。
昨日は伊作くんにシャンプー等は借りたのだ。
しかし手に取ってからこれは原材料何が使われているのかな?と思うほど私が普段使用しているものとは異なっていた。
あんなに親切にしてくれた人にまさか文句など言えまい。
「良ければ今日は私が頭を洗いましょうか」
「え!?それは申し訳ないです!」
手を負傷しているわけでもないのに。
「一目見てとても髪が綺麗な方だと思いました。せっかくの髪なのに勿体ないです。洗い方でも髪の仕上がりは変わりますから。触られるのに抵抗がなければぜひ」
「抵抗はないですが・・・」
「では、約束ということで」
仙蔵くんみたいなサラサラヘアーに近づけるなら是非ともお願いしたい。
私の返事に満足そうに頷くと、彼は二人分の朝食を下げに保健室を出て行った。
「やっぱり夢じゃない…」
遮光カーテンなんてついていない保健室は薬草の匂いがした。
薄い布団から身体を起こし、寝相で乱れた寝衣を整える。
昨日の夜、伊作くんは間違いなく言った。
❝戦乱の世❞だと。
彼の人となりは半日程度でも十分理解したつもりだ。
あの彼が嘘を付くとは思えない。
とにかく、私はどのみち足が痛くて動けないのだ。
考える時間は十分にある。
そして考えるだけではだめだ。
情報をもっと集めなければ。
「おはようございます。起きてますか?」
衝立の向こうから仙蔵くんの声が聞こえた。
「おはようございます。起きてますよ」
私の返事を聞くと彼は衝立を移動させた。
「朝食をお持ちしました。私もここで一緒に頂きます」
「美味しそう…」
和定食を二つ分持った彼は一つを私に差し出した。
「ありがとうございます」
至れり尽くせりで、本当にお姫様になった気分。
「いただきます」
手を合わせてありがたく頂いた。
腹が減っては戦はできぬっていうしね。
いや…洒落にならない状況か。
「本日は私が貴方の傍にお付きします」
綺麗な所作で焼き魚を丁寧にほぐしていく仙蔵くん。
「なんか…ごめんなさい。ややこしいことになってしまって」
宗教集落だのガタガタ言っていたが、厄介者であろう自分の世話をしなければならない彼らに対し申し訳無さを今更ながら感じた。
「いえ。貴方があのまま外に放り出されてたらそれこそ気になって夜も眠れなさそうです」
本当に気にしていなさそうでホッとした。
「むしろ迷惑なのはあの二人…」
「え?」
小声で何か呟いていたので聞き返したら仙蔵くんはコホンと咳払いした。
「いえ…少し私と相性の悪い人物がおりまして」
「へぇ…」
この仙蔵くんと相性が悪い人なんているんだ。
仙蔵くんはきっちりしてそうだから、大雑把な人かな?と七松くんを想像した。
わなわなとお箸を持つ手が震えていたので、咄嗟に話題を変えた。
「ところで…話は変わるのですが、仙蔵くんは今の世の中の状況をどんな言葉で表しますか?」
「問答ですか?」
「ううん。捻らなくていいので、仙蔵くんの思う答えを率直に聞かせてほしいです…」
「そうですね…。戦乱、もしくは動乱の世…でしょうか」
やはり伊作くんと同じ答えだ。
「伊作から聞きました。貴方は今の時世さえよく分かっていなさそうだと。やはり記憶が…?」
「そうみたいです…」
いや、私の記憶はばっちり・・・(以下同文)
「あの、街に行くことってできますか?」
「町ですか?それは・・・。万一貴方が伊作の言うようにどこかに囚われていて逃げ出したのだとしたら追手に見つかる可能性があるので」
それは100000%無いんだよなぁ・・・。
もっとこの目で情報を集めたいので外に行きたかった。
しかしこう言われてしまうとそれ以上は言えない。
「あ、しかし・・・そうだな」
「?」
「いえ、行けるかもしれません。妙案があります」
「本当ですか!?」
「ですがどちらにせよ足が治ってからです」
「承知しました!」
ビシッと敬礼すると、「なんですか、その仕草は」と笑われてしまった。
「それよりも私が気になるのは・・・」
仙蔵くんは私の髪を一束掬い上げた。
「たった一日で随分髪が傷んでしまいましたね」
正直、私も気になっていた。
ホテルに置いてある安物のリンスインシャンプーを使った時の方がマシなのではと思う程指通りが悪い。
昨日は伊作くんにシャンプー等は借りたのだ。
しかし手に取ってからこれは原材料何が使われているのかな?と思うほど私が普段使用しているものとは異なっていた。
あんなに親切にしてくれた人にまさか文句など言えまい。
「良ければ今日は私が頭を洗いましょうか」
「え!?それは申し訳ないです!」
手を負傷しているわけでもないのに。
「一目見てとても髪が綺麗な方だと思いました。せっかくの髪なのに勿体ないです。洗い方でも髪の仕上がりは変わりますから。触られるのに抵抗がなければぜひ」
「抵抗はないですが・・・」
「では、約束ということで」
仙蔵くんみたいなサラサラヘアーに近づけるなら是非ともお願いしたい。
私の返事に満足そうに頷くと、彼は二人分の朝食を下げに保健室を出て行った。
