【2章】室町パニック
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私の拳は潮江くんの身体に真正面から当たった。
「ええ…」
当たったけど、全く潮江くんは動いてない。
仙蔵くんといい、みんな体幹凄すぎる。
「名前さん、そんな遠慮せずに全力でやっていいんスよ」
「やったよ」
食満くんに言われたけど、これが全力だ。
手を抜いたわけではない。
さすがに少しぐらいダメージ与えられると思ってた。
そんなひ弱じゃないんだけどな……潮江くんの防御力が高いのだろう。
「ふっ、ハハハ」
「え?」
突然目の前で笑い出した潮江くん。
弱すぎて笑われてる?と思い、ちょっとムッとしたがそうではなかった。
「これではやはり到底間者など無理そうだ」
私を疑っていた自分が馬鹿らしくなったのだろう。
私もつられて笑ってしまった。
「ふふ。じゃあもう疑いは晴れた?」
「ええ。今まですみませんでした」
潮江くんは私が隠し事をしていることが気になってたみたいだから、一層のこと話してしまおうか…と思ったが、やっと雪解けを迎えたのに新しい雪を降らすのはどうなのだろうか…。
土井先生に一番に話すって約束もしてるしなぁ…。
そして何より、本当に正直に打ち明けるべきか悩んでる。
なぜなら怖いのだ。
現代に帰ることが。
だって、タイムスリップしているのだから、次にタイムスリップしたときに本当に現代に帰れる保証がない。
また違う時代に飛ばされたら?
室町でさえ生きるのに大変なのに、もっと時代が遡ったら?
逆にとんでもない未来に飛んだら?
第一、時間経過が今と同じかわからない。
こっちの一日が現代の一年分…とかズレが生じていたら、すでに私の知ってる現代では無いかもしれない。
全て空想で、確かめようがないのだが、今の現状と天秤に掛けたら帰るリスクの方がよっぽど高く感じた。
「名前さん?」
潮江くんは黙り込んだ私を心配してくれた。
「あのね…土井先生には話したんだけど…」
「知ってます」
「え?」
「土井先生から聞きました。来るべき時が来たら貴方から話があると」
土井先生は潮江くんにも手を回してくれていたんだ。
「貴方がもし間者だった場合は自分が責任を取ると言われました。だからもう傷つけるなと」
土井先生…。
そこまで私のことを信じてくれていることに、じんわり胸が温かくなった。
「絶対裏切らないよ。約束する」
「俺自身、もう疑ってないです」
雨降って地固まるってやつ?
和解できてよかった。
「じゃあこれで終わり。伊作くんに手当てしてもらおう?」
「終わりじゃないです」
私が伊作くんを呼ぼうとした時、潮江くんはパッと私の両手を掴んだ。
「………嫁入り前の大事な身体と心に傷をつけてしまったこと、深く反省しています」
急にどうした。
いや、見られたけど、傷はつけられてない。
まぁ……心は傷ついたけど。
「大切な物も壊してしまいました」
「もういいよ…」
「いいえ。よくありません」
「ええ…」
真剣な眼差しで何かを決意している様子の潮江くんが、握っていた手に力を込めた。
「ですから、俺は一生をかけて償うと決めました」
え、ちょっと待って。
なんか、潮江くん物凄く重大な決意してない?
「来年になれば、おそらく自分は城勤めすることになります。安定した給料も得られますので、貴方を養うことも可能です。ですから私の妻に……」
言い終わらない内に、スパーン!!!と仙蔵くんが潮江くんの後頭部を叩いた。
「自分を襲った男の妻になどなりたいわけなかろう。身の程を知れ」
「だ、大丈夫…?」
あまりにも綺麗に平手打ちが入り、驚いてしまった。
っていうか……潮江くんって……。
「真面目なんだねぇ…」
潮江くんのことちょっと分かってきたかも。
彼はドがつくほど真面目なんだ。
真っ直ぐで、全てのことに真正面からぶつかってしまうからこんなことになったんだ。
「ふ、あははは」
面白くなって笑ってしまった。
私につられて六年生皆も笑い出した。
こうして、タイムスリップしたこと以外の問題が全て解決して、新しい事務員としての生活が始まるのだった。
「ええ…」
当たったけど、全く潮江くんは動いてない。
仙蔵くんといい、みんな体幹凄すぎる。
「名前さん、そんな遠慮せずに全力でやっていいんスよ」
「やったよ」
食満くんに言われたけど、これが全力だ。
手を抜いたわけではない。
さすがに少しぐらいダメージ与えられると思ってた。
そんなひ弱じゃないんだけどな……潮江くんの防御力が高いのだろう。
「ふっ、ハハハ」
「え?」
突然目の前で笑い出した潮江くん。
弱すぎて笑われてる?と思い、ちょっとムッとしたがそうではなかった。
「これではやはり到底間者など無理そうだ」
私を疑っていた自分が馬鹿らしくなったのだろう。
私もつられて笑ってしまった。
「ふふ。じゃあもう疑いは晴れた?」
「ええ。今まですみませんでした」
潮江くんは私が隠し事をしていることが気になってたみたいだから、一層のこと話してしまおうか…と思ったが、やっと雪解けを迎えたのに新しい雪を降らすのはどうなのだろうか…。
土井先生に一番に話すって約束もしてるしなぁ…。
そして何より、本当に正直に打ち明けるべきか悩んでる。
なぜなら怖いのだ。
現代に帰ることが。
だって、タイムスリップしているのだから、次にタイムスリップしたときに本当に現代に帰れる保証がない。
また違う時代に飛ばされたら?
室町でさえ生きるのに大変なのに、もっと時代が遡ったら?
逆にとんでもない未来に飛んだら?
第一、時間経過が今と同じかわからない。
こっちの一日が現代の一年分…とかズレが生じていたら、すでに私の知ってる現代では無いかもしれない。
全て空想で、確かめようがないのだが、今の現状と天秤に掛けたら帰るリスクの方がよっぽど高く感じた。
「名前さん?」
潮江くんは黙り込んだ私を心配してくれた。
「あのね…土井先生には話したんだけど…」
「知ってます」
「え?」
「土井先生から聞きました。来るべき時が来たら貴方から話があると」
土井先生は潮江くんにも手を回してくれていたんだ。
「貴方がもし間者だった場合は自分が責任を取ると言われました。だからもう傷つけるなと」
土井先生…。
そこまで私のことを信じてくれていることに、じんわり胸が温かくなった。
「絶対裏切らないよ。約束する」
「俺自身、もう疑ってないです」
雨降って地固まるってやつ?
和解できてよかった。
「じゃあこれで終わり。伊作くんに手当てしてもらおう?」
「終わりじゃないです」
私が伊作くんを呼ぼうとした時、潮江くんはパッと私の両手を掴んだ。
「………嫁入り前の大事な身体と心に傷をつけてしまったこと、深く反省しています」
急にどうした。
いや、見られたけど、傷はつけられてない。
まぁ……心は傷ついたけど。
「大切な物も壊してしまいました」
「もういいよ…」
「いいえ。よくありません」
「ええ…」
真剣な眼差しで何かを決意している様子の潮江くんが、握っていた手に力を込めた。
「ですから、俺は一生をかけて償うと決めました」
え、ちょっと待って。
なんか、潮江くん物凄く重大な決意してない?
「来年になれば、おそらく自分は城勤めすることになります。安定した給料も得られますので、貴方を養うことも可能です。ですから私の妻に……」
言い終わらない内に、スパーン!!!と仙蔵くんが潮江くんの後頭部を叩いた。
「自分を襲った男の妻になどなりたいわけなかろう。身の程を知れ」
「だ、大丈夫…?」
あまりにも綺麗に平手打ちが入り、驚いてしまった。
っていうか……潮江くんって……。
「真面目なんだねぇ…」
潮江くんのことちょっと分かってきたかも。
彼はドがつくほど真面目なんだ。
真っ直ぐで、全てのことに真正面からぶつかってしまうからこんなことになったんだ。
「ふ、あははは」
面白くなって笑ってしまった。
私につられて六年生皆も笑い出した。
こうして、タイムスリップしたこと以外の問題が全て解決して、新しい事務員としての生活が始まるのだった。
