【2章】室町パニック
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みんなで名前さんの部屋で雑魚寝することになった夜。
名前さんと小松田くんが横並びに布団を並べた周りを囲むようにして我々も布団を敷いた。
「みなさん、おやすみなさい」
小松田くんの声で、全員寝る体勢に入った。
一番近かった私が蝋燭の火を消すと、部屋が暗闇に包まれた。
「ねぇねぇ名前ちゃん」
「何?」
横になって数分もしない内に小松田くんが小さな声で名前さんに話しかけた。
「あれってもう使えないの?」
「あー…うん…」
小松田くんが言っているのは例の暗器と間違えられたやつだろう。
そういえばあれが何か私達はおばちゃんに聞いていない。
優先順位的に名前さんが先だと思ったからだ。
「直せないのかな?」
「あそこまでボロボロになったら無理じゃないかな」
「一緒にやってみようか?」
「や、それはさすがに小松田さんといえども恥ずかしい…」
小松田くんといえども恥ずかしい?
名前さんの返しに頭に疑問符が浮かんだ。
「でも、大事なものだったんでしょ?」
「うん…。あれがあるのと無いのとでは心の持ちようが違うっていうか…」
「そっかぁ。僕女の子じゃないからわからないけど、あれで胸隠してたら安心できるものなの?」
「うん。女の子にとっては鎧…みたいなものかな」
!!!????
二人のやりとりで、あれの使用用途が何かわかってしまった。
「南蛮って文明が進んでるんだねぇ」
「ね(南蛮じゃなくて現代だけど)」
確かに形状的に二つ丸みがあって、まるで何かを入れる入れ物のように見えた。
その二つの丸みを作るためにあの暗器と言われた物が使われていたように思う。
もしかしてそこに……。
頭の中で全て理解したときには思わず顔を手で覆った。
「でも怖かったでしょ?その鎧を無理矢理取られちゃったんだもんね」
「うん…怖かった」
もぞもぞと小松田さんにすり寄っていく名前さんを見て、胸が痛んだ。
そして名前さんはおそらく我々が部屋にいるのを忘れているのではないだろうか。
私達が同じ事を問うたらああやって素直に全部話してくれるだろうか。
いや、きっと無理だろう。
私達に今できることはとにかく気配を消して空気となり、名前さんの胸の内を小松田くんに曝け出させることだった。
少しでも彼女の気持ちが楽になれば…。
そうさせてあげられるのが自分ではないことが悔しかったが、今の小松田くんには敵わないことを認めざるを得ない。
チラリと伊作と仙蔵を見やると、二人とも顔を真っ赤にしていたので、私と同じ結論に辿り着いたのだろう。
❝潮江は部屋に居たか?❞
❝いいえ。布団を取りに行った時には居ませんでした❞
矢羽音で仙蔵に尋ねた。
彼は食堂のおばちゃんに事実を聞かされてどう思っているのだろうか。
まだ疑っているかもしれない。
おばちゃんに任せたものの、潮江をこのままにはしておけない。
どうしたものか…と考えを張り巡らせていると名前さん達の会話の内容は変わっていた。
「あのね…小松田さん。私って誰かのお嫁さんになれると思う?」
「お嫁さん?」
「うん……。おばちゃんにいきなり言われて驚いたけど、ゼロ日婚だって世の中あるぐらいだし、案外やっていけたりするのかな……なんて」
「ぜろにちこん……???」
「やっぱり何でもない」
思わずカバリと布団から飛び起きそうになったが、名前さんが話を取りやめたのでなんとか耐えた。
「あっ、そうだ!いいこと思いついた」
「え?」
「僕のお兄ちゃん、扇子屋やってるんだ!兄ちゃんのお嫁さんはどう?」
「小松田さんのお兄さん?」
「うん。僕よりしっかりしてるし、名前ちゃんのこと絶対気に入るよ!あれ?兄ちゃんと名前ちゃんが結婚したら……僕達は姉弟になるってこと?」
「小松田さんと姉弟?面白そうだね。もし、お兄さんが私を気に入ってくれたら……だけど」
「「「絶対ダメだ(です)!!!」」」
我慢できなくなって、三人とも飛び起きてしまった。
「え?」
ポカン、と名前さんは目を丸くしていた。
「あ……。みんなが居たこと忘れてた」
やっぱり。
自分がどういう会話をしていたかを思い出して、恥ずかしそうに布団に隠れてしまった。
「心配しなくていいから。ちゃんと名前さんが安心できる居場所作るから」
私は名前さんが頭まで被っている布団に話しかけた。
口先だけじゃない。
私には一つの考えがあった。
「でも……こんなに大騒ぎになっちゃって…」
「絶対大丈夫。追い出させたりなんてしない」
まだ口先だけの段階で、どれだけ彼女に安心を与えられるかわからないけど。
力強い私の言葉に、名前さんは目だけを布団から出してこっちを見てくれた。
「……ありがとうございます」
そして、誰かの嫁になるぐらいなら、私のところに来て欲しい。
そう言いたかったが、その言葉は飲み込んだ。
名前さんと小松田くんが横並びに布団を並べた周りを囲むようにして我々も布団を敷いた。
「みなさん、おやすみなさい」
小松田くんの声で、全員寝る体勢に入った。
一番近かった私が蝋燭の火を消すと、部屋が暗闇に包まれた。
「ねぇねぇ名前ちゃん」
「何?」
横になって数分もしない内に小松田くんが小さな声で名前さんに話しかけた。
「あれってもう使えないの?」
「あー…うん…」
小松田くんが言っているのは例の暗器と間違えられたやつだろう。
そういえばあれが何か私達はおばちゃんに聞いていない。
優先順位的に名前さんが先だと思ったからだ。
「直せないのかな?」
「あそこまでボロボロになったら無理じゃないかな」
「一緒にやってみようか?」
「や、それはさすがに小松田さんといえども恥ずかしい…」
小松田くんといえども恥ずかしい?
名前さんの返しに頭に疑問符が浮かんだ。
「でも、大事なものだったんでしょ?」
「うん…。あれがあるのと無いのとでは心の持ちようが違うっていうか…」
「そっかぁ。僕女の子じゃないからわからないけど、あれで胸隠してたら安心できるものなの?」
「うん。女の子にとっては鎧…みたいなものかな」
!!!????
二人のやりとりで、あれの使用用途が何かわかってしまった。
「南蛮って文明が進んでるんだねぇ」
「ね(南蛮じゃなくて現代だけど)」
確かに形状的に二つ丸みがあって、まるで何かを入れる入れ物のように見えた。
その二つの丸みを作るためにあの暗器と言われた物が使われていたように思う。
もしかしてそこに……。
頭の中で全て理解したときには思わず顔を手で覆った。
「でも怖かったでしょ?その鎧を無理矢理取られちゃったんだもんね」
「うん…怖かった」
もぞもぞと小松田さんにすり寄っていく名前さんを見て、胸が痛んだ。
そして名前さんはおそらく我々が部屋にいるのを忘れているのではないだろうか。
私達が同じ事を問うたらああやって素直に全部話してくれるだろうか。
いや、きっと無理だろう。
私達に今できることはとにかく気配を消して空気となり、名前さんの胸の内を小松田くんに曝け出させることだった。
少しでも彼女の気持ちが楽になれば…。
そうさせてあげられるのが自分ではないことが悔しかったが、今の小松田くんには敵わないことを認めざるを得ない。
チラリと伊作と仙蔵を見やると、二人とも顔を真っ赤にしていたので、私と同じ結論に辿り着いたのだろう。
❝潮江は部屋に居たか?❞
❝いいえ。布団を取りに行った時には居ませんでした❞
矢羽音で仙蔵に尋ねた。
彼は食堂のおばちゃんに事実を聞かされてどう思っているのだろうか。
まだ疑っているかもしれない。
おばちゃんに任せたものの、潮江をこのままにはしておけない。
どうしたものか…と考えを張り巡らせていると名前さん達の会話の内容は変わっていた。
「あのね…小松田さん。私って誰かのお嫁さんになれると思う?」
「お嫁さん?」
「うん……。おばちゃんにいきなり言われて驚いたけど、ゼロ日婚だって世の中あるぐらいだし、案外やっていけたりするのかな……なんて」
「ぜろにちこん……???」
「やっぱり何でもない」
思わずカバリと布団から飛び起きそうになったが、名前さんが話を取りやめたのでなんとか耐えた。
「あっ、そうだ!いいこと思いついた」
「え?」
「僕のお兄ちゃん、扇子屋やってるんだ!兄ちゃんのお嫁さんはどう?」
「小松田さんのお兄さん?」
「うん。僕よりしっかりしてるし、名前ちゃんのこと絶対気に入るよ!あれ?兄ちゃんと名前ちゃんが結婚したら……僕達は姉弟になるってこと?」
「小松田さんと姉弟?面白そうだね。もし、お兄さんが私を気に入ってくれたら……だけど」
「「「絶対ダメだ(です)!!!」」」
我慢できなくなって、三人とも飛び起きてしまった。
「え?」
ポカン、と名前さんは目を丸くしていた。
「あ……。みんなが居たこと忘れてた」
やっぱり。
自分がどういう会話をしていたかを思い出して、恥ずかしそうに布団に隠れてしまった。
「心配しなくていいから。ちゃんと名前さんが安心できる居場所作るから」
私は名前さんが頭まで被っている布団に話しかけた。
口先だけじゃない。
私には一つの考えがあった。
「でも……こんなに大騒ぎになっちゃって…」
「絶対大丈夫。追い出させたりなんてしない」
まだ口先だけの段階で、どれだけ彼女に安心を与えられるかわからないけど。
力強い私の言葉に、名前さんは目だけを布団から出してこっちを見てくれた。
「……ありがとうございます」
そして、誰かの嫁になるぐらいなら、私のところに来て欲しい。
そう言いたかったが、その言葉は飲み込んだ。