【2章】室町パニック
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これが下着って言うのを男の人達の前で堂々と言うことに恥ずかしさもあって、食堂のおばちゃんにだけ聞こえるように小声でぼそぼそ話した。
「へぇー!南蛮には便利なものがあるんだねぇ」
小松田さんには聞こえてしまったが、まあいいか。小松田さんだし。
「そうだったの。私も欲しいわ」
おばちゃんはまじまじと手に持ったそれを見て感心していた。
「でも、もう使えなくなっちゃったわねぇ…」
見るも無残な状態になった下着を私に返してくれた。
「あのね、潮江くん」
おばちゃんは立ち上がると、潮江くんと向き合った。
「私だって食堂で包丁扱ってて、その気になれば人をいくらでも傷つけられるわ」
「ですが、おばちゃんはそんなこと…」
「うん。わかってる。私を信用してくれてるのよね。それと同じよ。私は名前ちゃんを信用する。名前ちゃんのあれは暗器じゃないわ。私が保障する」
ここから見えるおばちゃんの背中に安心した。
ずっとこっちに来てから考えないようにしていたけど……。
「(お母さんに会いたい……)」
食堂のおばちゃんと自身の母親が重なった。
「私ね、名前ちゃんにもゆっくりご飯を食べてもらいたいの。いつも人がいない時間を狙って、気を遣って・・・」
再び私の傍に座るとそっと手を取って包んでくれた。
「皆がいなくなった後にお皿洗いを手伝ってくれるの。ここに来た時はすべすべだったお肌が少し荒れてきているのはその証拠よ」
小松田さんも援護射撃してくれた。
「僕もだよ!いっぱい手伝ってもらって助かってる!」
普段の私の行いを二人に認めてもらえて嬉しかった。
また涙が溢れてきた。
「名前ちゃん、大丈夫よ。もしここにいられなくなったら私の郷里にいらっしゃい」
「おばちゃんの故郷…?」
「ええ。ちょうどこの間帰ったら、知り合いの息子さんがお嫁さん探してるって言ってたから。利吉くんに負けず劣らずの色男よ!」
「ちょっと、おばちゃん!それは…」
土井先生の制止におばちゃんは目を吊り上げた。
「だったら土井先生がもっと名前ちゃんの場所を作っておやりよ!」
いきなり誰かのお嫁さんになるのは不安だなぁ…。
なんて答えたらいいのか迷っていたら、おばちゃんは続けた。
「お嫁さんが嫌なら、住み込みのアルバイトだって村にはあるわ。紹介してあげる。だからね……」
布団に隠していた手をギュッと握られた。
「そんな不安な顔しなくていいのよ」
おばちゃんの手は食堂を切り盛りしているだけあって、女性の手にしては逞しくて。
私の頼りない手を温かく包んでくれた。
「ここ以外にも居場所はあるわ」
私はここを追い出されたら行くところがないと思っていた。
だから、ちょっと嫌なことがあってもぐっと堪えて、歯を食いしばって。
外では生きていけないと思っていた。
でも長年ここで生きてきているおばちゃんが言うなら、他にも生きる選択肢があるかもしれない。
そう思ったら少しだけ肩の力を抜くことができた。
「ありがとうございます……」
涙を寝衣の袖で拭った。
「皆には私から説明しておくから。潮江くん、ちょっといらっしゃい」
おばちゃんは潮江くんを連れて、部屋を出た。
そこからおばちゃんが部屋に集まった人達に解散の指示を出してくれて、人が減った。
残ったのは土井先生、仙蔵くん、伊作くん、そして小松田さんだ。
「名前ちゃん、僕ももう部屋に戻ろうと思うんだけど、一人で大丈夫?」
「えっ」
小松田さんが立ち上がろうとしたのを咄嗟に引き留めてしまった。
「一人は怖い?」
そう聞かれて素直に頷いた。
「じゃあ一緒に寝る?」
「うんっ」
「「「それはダメだ!!!」」」
私と小松田さんの会話を聞いていた三人の声が揃ってびっくりしてしまった。
「ゴホン…。二人はいい歳した男女なんだから一緒に寝るなんてそれはさすがに許されないよ」
土井先生が教師らしく嗜めた。
いい歳した男女……という表現は私と小松田さんには似合わなかった。
「小松田さんと一緒がいいです……」
一人になったらあの不安な気持ちが押し寄せてしまいそうだった。
今は小松田さんと離れたくなかった。
「もう全員ここで一緒に寝たらいいじゃない」
おばちゃんが戻ってきた。
潮江くんはいない。
「だったらおばちゃんが名前さんと一緒に寝たらいいじゃないですか」
「私はダメよ。ほら…イビキが…ねぇ?」
おばちゃんは苦笑いをしていた。
「全員で寝たら間違いなんて起こりゃしないよ。じゃ、早く寝るんだよ。名前ちゃん、おやすみ。明日もお皿洗い手伝ってね」
私は去っていこうとするおばちゃんを慌てて追いかけた。
「あのっ。ありがとうございます……」
涙はもう止まったはずなのに、おばちゃんの顔を見たらまた目が潤んできた。
「本当に、ここに居られなくなったら頼ってもいいですか?」
おばちゃんは大きく頷いて、にっこり笑った。
「もちろんよ。私に任せて」
おばちゃんが廊下の曲がり角を曲がって見えなくなるまで、私は見送った。
「へぇー!南蛮には便利なものがあるんだねぇ」
小松田さんには聞こえてしまったが、まあいいか。小松田さんだし。
「そうだったの。私も欲しいわ」
おばちゃんはまじまじと手に持ったそれを見て感心していた。
「でも、もう使えなくなっちゃったわねぇ…」
見るも無残な状態になった下着を私に返してくれた。
「あのね、潮江くん」
おばちゃんは立ち上がると、潮江くんと向き合った。
「私だって食堂で包丁扱ってて、その気になれば人をいくらでも傷つけられるわ」
「ですが、おばちゃんはそんなこと…」
「うん。わかってる。私を信用してくれてるのよね。それと同じよ。私は名前ちゃんを信用する。名前ちゃんのあれは暗器じゃないわ。私が保障する」
ここから見えるおばちゃんの背中に安心した。
ずっとこっちに来てから考えないようにしていたけど……。
「(お母さんに会いたい……)」
食堂のおばちゃんと自身の母親が重なった。
「私ね、名前ちゃんにもゆっくりご飯を食べてもらいたいの。いつも人がいない時間を狙って、気を遣って・・・」
再び私の傍に座るとそっと手を取って包んでくれた。
「皆がいなくなった後にお皿洗いを手伝ってくれるの。ここに来た時はすべすべだったお肌が少し荒れてきているのはその証拠よ」
小松田さんも援護射撃してくれた。
「僕もだよ!いっぱい手伝ってもらって助かってる!」
普段の私の行いを二人に認めてもらえて嬉しかった。
また涙が溢れてきた。
「名前ちゃん、大丈夫よ。もしここにいられなくなったら私の郷里にいらっしゃい」
「おばちゃんの故郷…?」
「ええ。ちょうどこの間帰ったら、知り合いの息子さんがお嫁さん探してるって言ってたから。利吉くんに負けず劣らずの色男よ!」
「ちょっと、おばちゃん!それは…」
土井先生の制止におばちゃんは目を吊り上げた。
「だったら土井先生がもっと名前ちゃんの場所を作っておやりよ!」
いきなり誰かのお嫁さんになるのは不安だなぁ…。
なんて答えたらいいのか迷っていたら、おばちゃんは続けた。
「お嫁さんが嫌なら、住み込みのアルバイトだって村にはあるわ。紹介してあげる。だからね……」
布団に隠していた手をギュッと握られた。
「そんな不安な顔しなくていいのよ」
おばちゃんの手は食堂を切り盛りしているだけあって、女性の手にしては逞しくて。
私の頼りない手を温かく包んでくれた。
「ここ以外にも居場所はあるわ」
私はここを追い出されたら行くところがないと思っていた。
だから、ちょっと嫌なことがあってもぐっと堪えて、歯を食いしばって。
外では生きていけないと思っていた。
でも長年ここで生きてきているおばちゃんが言うなら、他にも生きる選択肢があるかもしれない。
そう思ったら少しだけ肩の力を抜くことができた。
「ありがとうございます……」
涙を寝衣の袖で拭った。
「皆には私から説明しておくから。潮江くん、ちょっといらっしゃい」
おばちゃんは潮江くんを連れて、部屋を出た。
そこからおばちゃんが部屋に集まった人達に解散の指示を出してくれて、人が減った。
残ったのは土井先生、仙蔵くん、伊作くん、そして小松田さんだ。
「名前ちゃん、僕ももう部屋に戻ろうと思うんだけど、一人で大丈夫?」
「えっ」
小松田さんが立ち上がろうとしたのを咄嗟に引き留めてしまった。
「一人は怖い?」
そう聞かれて素直に頷いた。
「じゃあ一緒に寝る?」
「うんっ」
「「「それはダメだ!!!」」」
私と小松田さんの会話を聞いていた三人の声が揃ってびっくりしてしまった。
「ゴホン…。二人はいい歳した男女なんだから一緒に寝るなんてそれはさすがに許されないよ」
土井先生が教師らしく嗜めた。
いい歳した男女……という表現は私と小松田さんには似合わなかった。
「小松田さんと一緒がいいです……」
一人になったらあの不安な気持ちが押し寄せてしまいそうだった。
今は小松田さんと離れたくなかった。
「もう全員ここで一緒に寝たらいいじゃない」
おばちゃんが戻ってきた。
潮江くんはいない。
「だったらおばちゃんが名前さんと一緒に寝たらいいじゃないですか」
「私はダメよ。ほら…イビキが…ねぇ?」
おばちゃんは苦笑いをしていた。
「全員で寝たら間違いなんて起こりゃしないよ。じゃ、早く寝るんだよ。名前ちゃん、おやすみ。明日もお皿洗い手伝ってね」
私は去っていこうとするおばちゃんを慌てて追いかけた。
「あのっ。ありがとうございます……」
涙はもう止まったはずなのに、おばちゃんの顔を見たらまた目が潤んできた。
「本当に、ここに居られなくなったら頼ってもいいですか?」
おばちゃんは大きく頷いて、にっこり笑った。
「もちろんよ。私に任せて」
おばちゃんが廊下の曲がり角を曲がって見えなくなるまで、私は見送った。