【2章】室町パニック
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食堂のおばちゃんにしてやられた。
おかしいと思った。
おばちゃんなら仕込みしながら一人分を追加で作るなど造作もないのに、わざわざ名前さんに作らせるなんて。
名前さんが作ったとなれば、私が練り物を食べるのではと考えたのだろう。
しかも名前さんは私の練り物嫌いを知らない。
「おばちゃん!わざとだろう?」
そう問いかけた時のおばちゃんの顔。
それが全ての答えを物語っていた。
私の中で名前さんと練り物の天秤がゆらゆら揺れている。
練り物以外の物から手を付けたのだが、あっという間に食べ終え、残すはほうれん草のお浸しと味噌汁。
うー…。
自分の練り物嫌いをこれほど恨んだ日はない。
名前さんが進まぬ箸に気づいて心配そうな目を向けている。
違うんだ。
美味しくないわけじゃなくて。
練り物嫌いなんて子供みたいなこと言えなかった。
名前さんが困ってる。
早く口に入れ込んでしまえ。
と自分に言い聞かせるが、箸を進めては引っ込めてを繰り返している。
そうやってモタモタしている内に、横からほうれん草の小鉢を利吉くんに食べられてしまった。
大嫌いなちくわも彼の口に入っていった。
いつもなら手放しで喜べるが、今日はそうじゃない。
利吉くんが褒めると名前さんは嬉しそうにはにかんだ。
名前さんの心が利吉くんに引き寄せられていることを見せつけられて、ぐっと奥歯を噛み締めた。
「お味噌汁も食べないなら私が…」
「食べるよ!!」
お味噌汁まで取られそうになって、慌てて飲み干した。
ちくわが喉を通過したのを感じ、思わずむせそうになった。
無理矢理嚥下すると、名前さんは悲しそうに空の御椀を眺めていた。
ち、違うんだ。
なんか壮大な勘違いをさせてしまっている。
「土井先生。いい加減白状したらどうですか。名前さん、悲しそうですよ」
利吉くんの指摘にウッと言葉が詰まった。
練り物が嫌いなんて、格好悪くて言えなかったけど…。
このまま隠し通したとしても、勘違いを彼女にさせたままになるだけなので、諦めて白状することにした。
「実は…私は練り物が苦手で」
「え?練り物?」
名前さんはきょとんと目を瞬かせた。
「うん。恥ずかしい話だけど」
「練り物って…ちくわですか?」
潔く認めると、名前さんは口元を手で隠した。
「そうだったんですね。てっきり美味しくなかったのかと」
「それは断じてない!!」
そこだけはちゃんと訂正しないと。
私は力強く否定した。
すると名前さんはさっき利吉くんに向けたのと同じ笑顔を私に向けてくれた。
「良かったぁ」
どうせ練り物嫌いがバレるのなら最初から潔く伝えておけばよかった。
変な自尊心がいつも事態をややこしくしている気がする。
「すまない、勘違いさせて」
「いいえ。誰にでも嫌いなものありますよ」
「名前さんはありますか?」
「んー…ピーマンとか苦手でしたけど、おばちゃんの料理で食べられるようになりました」
「土井先生、見習ったほうがいいですよ」
「誰にでも嫌いなものあるんじゃなかったのか…」
落ち込んでいると、名前さんが慌てて話題を変えた。
「そういえば!!利吉さんこんな時間にどうしたんですか?」
「そうだよ。もう夜なのに」
「夜は忍者のゴールデンタイムですから」
「なおさら仕事あるんじゃないの」
「ありますよ。でもちょっと時間があるので、早めに名前さんの予定押さえとこうと思いまして」
「私の予定?」
利吉くんは不思議そうにしている名前さんの隣に腰掛けた。
なんか……嫌な予感がする。
「今度、忍術学園が一週間ほどのお休みに入るのですが、名前さん一人で残るの寂しいんじゃないかと思いまして。よければうちの実家に来ませんか?」
「利吉さんのご実家?」
やられた。
まさか長期休暇を利用して誘い出そうとするとは。
しかしこれではっきりした。
利吉くんは名前さんのことが好きなんだ。
「ちょっと待って。利吉くんの家は山田先生も帰られるから家族水入らずの方がいいんじゃないかな?元々名前さんは私の家に連れて行こうと思っていたんだ」
「そうなんですか!?」
名前さんからしたら初耳だから驚くのも当然だ。
そもそも長期休暇があることすら知らなかっただろう。
そしてたった今利吉くんに応戦するために思いついただけだ。
「何言ってるんですか。独身男のところに行かせるわけないでしょ」
「利吉くんこそ何言ってるんだい。うちにはきり丸がいるだろ」
「えっ!?土井先生ときり丸くんって身内なんですか!?」
名前さんは色々出てきた情報に混乱しているようだった。
あとで説明するからちょっと待って。
「山田先生のご実家は山の中だから、そこまで名前さんが歩けるとは思えない」
「私が背負いますよ。土井先生の家こそ、町の長屋で物騒な人間が多くて危険じゃないですか」
自分のことなのに置いてきぼりを食らっている名前さん。
とりあえず私達の会話に耳を傾けてくれているようだ。
「名前さんが好きな方を選べばいいですよ」
利吉くんは私から名前さんに視線を移した。
「えっと…やっぱり土井先生が言う通り、利吉さんの家族水入らずをお邪魔するのは申し訳ないです」
「それは大丈夫ですよ。どうせいつも父は言い訳して帰らないんで。むしろ名前さんが来てくれたら、父も帰ってくれるのではと期待してます」
小癪だな。
名前さんに役割を付加することで傾けさせようという魂胆か。
「名前さんが来てくれたらきり丸も喜ぶと思う」
は組と信頼関係を築いている名前さんはきり丸の名前を出せば揺らぐと分かっていた。
案の定、彼女は困った表情で私達の顔を見比べた。
「んっと…どちらかの家に一週間ずっとというのは申し訳ないので、半分ずつはダメですか?」
本当はずっと居てほしいけど…。
お互い彼女を正攻法で説得できる材料を他に持っておらず、結局3泊4日ずつということで話は決着したのであった。
おかしいと思った。
おばちゃんなら仕込みしながら一人分を追加で作るなど造作もないのに、わざわざ名前さんに作らせるなんて。
名前さんが作ったとなれば、私が練り物を食べるのではと考えたのだろう。
しかも名前さんは私の練り物嫌いを知らない。
「おばちゃん!わざとだろう?」
そう問いかけた時のおばちゃんの顔。
それが全ての答えを物語っていた。
私の中で名前さんと練り物の天秤がゆらゆら揺れている。
練り物以外の物から手を付けたのだが、あっという間に食べ終え、残すはほうれん草のお浸しと味噌汁。
うー…。
自分の練り物嫌いをこれほど恨んだ日はない。
名前さんが進まぬ箸に気づいて心配そうな目を向けている。
違うんだ。
美味しくないわけじゃなくて。
練り物嫌いなんて子供みたいなこと言えなかった。
名前さんが困ってる。
早く口に入れ込んでしまえ。
と自分に言い聞かせるが、箸を進めては引っ込めてを繰り返している。
そうやってモタモタしている内に、横からほうれん草の小鉢を利吉くんに食べられてしまった。
大嫌いなちくわも彼の口に入っていった。
いつもなら手放しで喜べるが、今日はそうじゃない。
利吉くんが褒めると名前さんは嬉しそうにはにかんだ。
名前さんの心が利吉くんに引き寄せられていることを見せつけられて、ぐっと奥歯を噛み締めた。
「お味噌汁も食べないなら私が…」
「食べるよ!!」
お味噌汁まで取られそうになって、慌てて飲み干した。
ちくわが喉を通過したのを感じ、思わずむせそうになった。
無理矢理嚥下すると、名前さんは悲しそうに空の御椀を眺めていた。
ち、違うんだ。
なんか壮大な勘違いをさせてしまっている。
「土井先生。いい加減白状したらどうですか。名前さん、悲しそうですよ」
利吉くんの指摘にウッと言葉が詰まった。
練り物が嫌いなんて、格好悪くて言えなかったけど…。
このまま隠し通したとしても、勘違いを彼女にさせたままになるだけなので、諦めて白状することにした。
「実は…私は練り物が苦手で」
「え?練り物?」
名前さんはきょとんと目を瞬かせた。
「うん。恥ずかしい話だけど」
「練り物って…ちくわですか?」
潔く認めると、名前さんは口元を手で隠した。
「そうだったんですね。てっきり美味しくなかったのかと」
「それは断じてない!!」
そこだけはちゃんと訂正しないと。
私は力強く否定した。
すると名前さんはさっき利吉くんに向けたのと同じ笑顔を私に向けてくれた。
「良かったぁ」
どうせ練り物嫌いがバレるのなら最初から潔く伝えておけばよかった。
変な自尊心がいつも事態をややこしくしている気がする。
「すまない、勘違いさせて」
「いいえ。誰にでも嫌いなものありますよ」
「名前さんはありますか?」
「んー…ピーマンとか苦手でしたけど、おばちゃんの料理で食べられるようになりました」
「土井先生、見習ったほうがいいですよ」
「誰にでも嫌いなものあるんじゃなかったのか…」
落ち込んでいると、名前さんが慌てて話題を変えた。
「そういえば!!利吉さんこんな時間にどうしたんですか?」
「そうだよ。もう夜なのに」
「夜は忍者のゴールデンタイムですから」
「なおさら仕事あるんじゃないの」
「ありますよ。でもちょっと時間があるので、早めに名前さんの予定押さえとこうと思いまして」
「私の予定?」
利吉くんは不思議そうにしている名前さんの隣に腰掛けた。
なんか……嫌な予感がする。
「今度、忍術学園が一週間ほどのお休みに入るのですが、名前さん一人で残るの寂しいんじゃないかと思いまして。よければうちの実家に来ませんか?」
「利吉さんのご実家?」
やられた。
まさか長期休暇を利用して誘い出そうとするとは。
しかしこれではっきりした。
利吉くんは名前さんのことが好きなんだ。
「ちょっと待って。利吉くんの家は山田先生も帰られるから家族水入らずの方がいいんじゃないかな?元々名前さんは私の家に連れて行こうと思っていたんだ」
「そうなんですか!?」
名前さんからしたら初耳だから驚くのも当然だ。
そもそも長期休暇があることすら知らなかっただろう。
そしてたった今利吉くんに応戦するために思いついただけだ。
「何言ってるんですか。独身男のところに行かせるわけないでしょ」
「利吉くんこそ何言ってるんだい。うちにはきり丸がいるだろ」
「えっ!?土井先生ときり丸くんって身内なんですか!?」
名前さんは色々出てきた情報に混乱しているようだった。
あとで説明するからちょっと待って。
「山田先生のご実家は山の中だから、そこまで名前さんが歩けるとは思えない」
「私が背負いますよ。土井先生の家こそ、町の長屋で物騒な人間が多くて危険じゃないですか」
自分のことなのに置いてきぼりを食らっている名前さん。
とりあえず私達の会話に耳を傾けてくれているようだ。
「名前さんが好きな方を選べばいいですよ」
利吉くんは私から名前さんに視線を移した。
「えっと…やっぱり土井先生が言う通り、利吉さんの家族水入らずをお邪魔するのは申し訳ないです」
「それは大丈夫ですよ。どうせいつも父は言い訳して帰らないんで。むしろ名前さんが来てくれたら、父も帰ってくれるのではと期待してます」
小癪だな。
名前さんに役割を付加することで傾けさせようという魂胆か。
「名前さんが来てくれたらきり丸も喜ぶと思う」
は組と信頼関係を築いている名前さんはきり丸の名前を出せば揺らぐと分かっていた。
案の定、彼女は困った表情で私達の顔を見比べた。
「んっと…どちらかの家に一週間ずっとというのは申し訳ないので、半分ずつはダメですか?」
本当はずっと居てほしいけど…。
お互い彼女を正攻法で説得できる材料を他に持っておらず、結局3泊4日ずつということで話は決着したのであった。
