【2章】室町パニック
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「これ、今日のお代です」
手に銭を乗せようとしたが、名前さんは首を横に振って拒んだ。
「貰えないです。今日、私何もできてないです」
「それは私が決めることです」
無理矢理手に銭を握らせるが、それを必死に私に返そうとしてきた。
「やっぱり受け取れないです」
「意外と頑固ですね」
ハハ、と笑うと名前さんは対照的にじわりと目に涙を浮かべた。
私はギョッとして名前さんを覗き込んだ。
「受け取りたくないんです。これを受け取ったら、私・・・もう身売りするしか稼ぐ方法ないんじゃないかって思えてくるから・・・」
ぐずっと鼻を啜る名前さんからは、今まで私が想像もしていなかった考えが出てきた。
「字が読めない、体力仕事もできない、不器用だから内職もダメ。こんな私に残された仕事って、そういうのしか残ってないんじゃないかって・・・」
なんてことだ。
私が軽はずみな提案をしてしまったばっかりに。
そんなつもりは毛頭もなかったのだが、名前さんは自分は私に買われたという発想になっていたんだ。
多分・・・私があんな冗談を言ったのがいけなかった。
「大丈夫です。名前さんが身売りするなんてこと絶対にさせません」
「・・・」
「私に紹介できそうな仕事があれば名前さんに回します。だから、ね?」
「私にできる仕事なんてあるんでしょうか…」
「お皿洗いとかは?」
「それならできます」
「でしょ?町は仕事で溢れかえってますから。私が付き添えば学園も許可してくれると思いますし」
「その時は紹介料と付き添い料払います・・・」
「いらないですよ」
自分が女性を金で買う最低な男だと思ってほしくなくて。
必死に名前さんの求めていることに応えられるように挽回した。
正直、忍務で多忙だけれど、フリーな分融通も効く。
今までは仕事中毒と言われるほどパンパンに忍務を詰め込んでいたが、人並みに落としてその空いた時間を名前さんに当てれば良い。
逆に楽しみができて効率が上がりそうだ。
でも…この銭を受け取ってもらえないとなると。
「最後に寄りたいところがあるんですが、いいですか?」
路地裏から出て、再び大通りに戻った。
先程は素通りしてしまった、化粧道具を売っている店。
「あの…」
「銭は受け取ってもらえないんでしょう?ならせめて紅を贈らせてください」
「えっ…」
断る隙も与えないように、強引に店に押し込んだ。
「店主、彼女に合う紅を見繕ってくれ」
「まぁ、可愛らしいお嬢さんだこと」
店主につかせることで退路を絶った。
店主は名前さんに紅の説明を始めた。
私も店の商品見て回った。
「(この色綺麗だな…)」
おそらく、何種類かの紅を混ぜて作られているのだろう。
一番近い色は赤だが、でも純粋な赤ではない。
何色をどの分量で配合したらこの色が仕上がるのだろうか。
形容しがたい、けれど上品な色合いに惹きつけられた。
立て札に書かれた売り文句も「一点物」となっており、私にとって唯一無二の存在である名前さんに相応しいと思った。
一点物なので、値段は少々張るがそんなことは構わなかった。
チラリと彼女を横目で見ると、店主に勧められた商品を見て目を輝かせていた。
化粧をしていなくとも充分に可愛らしいが、やはり人並みに物欲はあるようで、嬉しそうに商品を眺めていた。
やがて彼女はそのうちの1つを手にとって、私の元へやってきた。
「あの、利吉さん。私、これがいいです」
差し出された紅は橙がベースでそこに赤が混ざっているであろうものだった。
しかし、それは明らかに量産されているどこにでも売っていそうな紅だった。
「私はこれが似合うんじゃないかと思ったんですけど」
私が指差した紅を名前さんは見た。
「うわぁっ。すごく綺麗ですね」
名前さんの表情見ると、やはり私同様この紅に惹きつけられているのがわかった。
しかし名前さんは自分が持っている紅を再び私に差し出した。
「でも、やっぱりこれがいいです」
だめですか?と聞かれたらダメだとは勿論言えなかった。
そんなに気に入ったのであれば…と思い、その紅を受け取り店主に勘定を頼んだ。
私を待っている間、名前さんは他の商品を眺めていた。
「お兄さん、実はね…」
勘定をしようとして銭を出した時、店主は私の耳元でヒソヒソと内緒話をしてきた。
手に銭を乗せようとしたが、名前さんは首を横に振って拒んだ。
「貰えないです。今日、私何もできてないです」
「それは私が決めることです」
無理矢理手に銭を握らせるが、それを必死に私に返そうとしてきた。
「やっぱり受け取れないです」
「意外と頑固ですね」
ハハ、と笑うと名前さんは対照的にじわりと目に涙を浮かべた。
私はギョッとして名前さんを覗き込んだ。
「受け取りたくないんです。これを受け取ったら、私・・・もう身売りするしか稼ぐ方法ないんじゃないかって思えてくるから・・・」
ぐずっと鼻を啜る名前さんからは、今まで私が想像もしていなかった考えが出てきた。
「字が読めない、体力仕事もできない、不器用だから内職もダメ。こんな私に残された仕事って、そういうのしか残ってないんじゃないかって・・・」
なんてことだ。
私が軽はずみな提案をしてしまったばっかりに。
そんなつもりは毛頭もなかったのだが、名前さんは自分は私に買われたという発想になっていたんだ。
多分・・・私があんな冗談を言ったのがいけなかった。
「大丈夫です。名前さんが身売りするなんてこと絶対にさせません」
「・・・」
「私に紹介できそうな仕事があれば名前さんに回します。だから、ね?」
「私にできる仕事なんてあるんでしょうか…」
「お皿洗いとかは?」
「それならできます」
「でしょ?町は仕事で溢れかえってますから。私が付き添えば学園も許可してくれると思いますし」
「その時は紹介料と付き添い料払います・・・」
「いらないですよ」
自分が女性を金で買う最低な男だと思ってほしくなくて。
必死に名前さんの求めていることに応えられるように挽回した。
正直、忍務で多忙だけれど、フリーな分融通も効く。
今までは仕事中毒と言われるほどパンパンに忍務を詰め込んでいたが、人並みに落としてその空いた時間を名前さんに当てれば良い。
逆に楽しみができて効率が上がりそうだ。
でも…この銭を受け取ってもらえないとなると。
「最後に寄りたいところがあるんですが、いいですか?」
路地裏から出て、再び大通りに戻った。
先程は素通りしてしまった、化粧道具を売っている店。
「あの…」
「銭は受け取ってもらえないんでしょう?ならせめて紅を贈らせてください」
「えっ…」
断る隙も与えないように、強引に店に押し込んだ。
「店主、彼女に合う紅を見繕ってくれ」
「まぁ、可愛らしいお嬢さんだこと」
店主につかせることで退路を絶った。
店主は名前さんに紅の説明を始めた。
私も店の商品見て回った。
「(この色綺麗だな…)」
おそらく、何種類かの紅を混ぜて作られているのだろう。
一番近い色は赤だが、でも純粋な赤ではない。
何色をどの分量で配合したらこの色が仕上がるのだろうか。
形容しがたい、けれど上品な色合いに惹きつけられた。
立て札に書かれた売り文句も「一点物」となっており、私にとって唯一無二の存在である名前さんに相応しいと思った。
一点物なので、値段は少々張るがそんなことは構わなかった。
チラリと彼女を横目で見ると、店主に勧められた商品を見て目を輝かせていた。
化粧をしていなくとも充分に可愛らしいが、やはり人並みに物欲はあるようで、嬉しそうに商品を眺めていた。
やがて彼女はそのうちの1つを手にとって、私の元へやってきた。
「あの、利吉さん。私、これがいいです」
差し出された紅は橙がベースでそこに赤が混ざっているであろうものだった。
しかし、それは明らかに量産されているどこにでも売っていそうな紅だった。
「私はこれが似合うんじゃないかと思ったんですけど」
私が指差した紅を名前さんは見た。
「うわぁっ。すごく綺麗ですね」
名前さんの表情見ると、やはり私同様この紅に惹きつけられているのがわかった。
しかし名前さんは自分が持っている紅を再び私に差し出した。
「でも、やっぱりこれがいいです」
だめですか?と聞かれたらダメだとは勿論言えなかった。
そんなに気に入ったのであれば…と思い、その紅を受け取り店主に勘定を頼んだ。
私を待っている間、名前さんは他の商品を眺めていた。
「お兄さん、実はね…」
勘定をしようとして銭を出した時、店主は私の耳元でヒソヒソと内緒話をしてきた。
