【2章】室町パニック
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学園の敷地は広大なので、ちょっと外れたら人気は少なくなる。
そよそよと私と仙蔵くんの髪を風が靡かせた。
せっかくお化粧したから伊作くんにも会いたかったなぁと思ったが、ここに来るまでにすれ違うことはなかった。
「どこに行くの?」
「特に決めてはなかったのですが…」
仙蔵くんが大きな木の下に座ったので、私も隣に腰を下ろした。
「何か怒ってる?」
「子供染みている自分に辟易していたところです」
眉を下げて失笑する仙蔵くん。
「名前さんを綺麗にしたのは私なのに、私ではない男に褒められて喜んでいる貴方を見て腹が立ちました」
「うえっ!?ごめん?」
腹が立ったと言われて咄嗟に謝ったけど、これって…?
「やきもち?」
素直に口に出してしまい、慌てて口を噤んだがもう遅い。
仙蔵くんはぱちくりと目を瞠ったかと思ったら、白い肌が紅く染まった。
「(え、なんか可愛い…)」
いつも飄々としてて、大人びている仙蔵くん。
そんな仙蔵くんが、嫉妬だなんて。
「えへへ」
「何がおかしいんですか?」
「んーん」
「まぁ、笑ってくれたならそれでいいですが」
もしかして、私最近上手く笑えてなかったのかな。
そんなつもりはなかったけど、自分で思っていた以上にいっぱいいっぱいだったことを土井先生に気づかされた。
仙蔵くんはもしかしたら感じ取ってくれていたのかも。
「仙蔵くんにこんなこと言ったら怒られそうなんだけど…」
私は女装した彼の小袖の裾を掌にのせた。
「仙蔵くんのこの姿、すごく安心する」
*******************
女装した姿を褒められるのは慣れている。
この姿で町に出れば、男共は鼻の下を伸ばすし、女性も「あの人綺麗だね」とコソコソ噂する。
しかし、名前さんに褒められると複雑な気分になった。
もう彼女の前で女装するのはやめようと思ったばかりだったのに、私の小袖をいじりながら安心すると言われてしまうとその気持ちも揺らいだ。
そこで気づいた。
よく考えれば、ここは男所帯。
くノ一長屋もあるが、基本的には隔たれている。
くのたま達と食堂で会ったりはしているようだが特段親しい様子は見受けられなかった。
それもそのはず。
忍たま達は、男だからか単純で、名前さんのことを美人だだの可愛いだのと好意的な人間が多いが、くのたま達はそんな忍たまに呆れて逆に警戒心を強めている。
「ほんと男って単純なんだから。どこかの間者じゃないの」
すれ違ったくのたまがそう噂していたのを聞いたこともある。
同性の友人がいない彼女は心細かったのではないだろうか。
シナ先生と食堂のおばちゃんは同性は同性だが友達になるには少し歳が離れすぎている。
女装した自分に同性としての安心感を得たというなら納得だ。
「今度、化粧をして町へ行きましょうか」
「えっ!いいの?」
キラキラした目で私を見上げてくる。
嬉しそうにしている名前さんを見ると私も嬉しく思った。
「この姿の時は仙子と名乗ってますので、外ではそう呼んでください」
「わかった!仙子ちゃん」
「今は学園内なので大丈夫です」
「呼んじゃだめ?」
そう呼びたい、と言われるとダメとは言えなかった。
渋々了承すると、嬉しそうに私の両手を握った。
「ありがとう、仙子ちゃん!」
私が思い描いている形とは違ったが、私にしかできない役割を全うしようと思った。
「「立花せんぱーい!!」」
遠くの方から小さな影が二つ近づいてきた。
「あ、あれは…」
「しんべヱくん!喜三太くん!」
なぜ、このタイミングに…。
ヒクヒクと歪む口元を押さえ、2人に何か用かと尋ねた。
「そこに宝禄火矢が落ちてたので立花先輩のやつかなって思って持ってきました!」
「宝禄火矢が落ちてた!?」
しんべヱが丸いそれを取り出した。
「宝禄火矢?」
初めて見るらしく、宝禄火矢の説明をした上で私がそれを得意とすることを教えると感嘆した表情を名前さんは見せた。
「でもそれすっごく危険なものなんだよね?気をつけないと…」
「火を点ける!」
名前さん!それを言っては…。
お決まりの展開を知らない彼女はさらっと地雷を踏んで、しんべヱが火を点けた。
「しんべヱ!!!火を点けろじゃない!気をつけろだ!!!」
驚いたしんべヱは頭上に宝禄火矢を放り投げた。
「へ?」
宝禄火矢はまるで狙ったかのように名前さんの頭上目掛けて落下した。
「危ない!」
彼女を庇って上から覆いかぶさったと同時に宝禄火矢が爆発した。
「「立花せんぱーい!!ごめんなさーい!!」」
しんべヱと喜三太の声が遠くに聞こえた。
目を覚ますと、一番に視界に入ったのは名前さんの顔だった。
「仙蔵くん!よかった!気がついたんだね」
名前さんの顔の背景には葉っぱがゆさゆさ揺れていた。
頭の下に柔らかい感触があることから、私は膝枕されているのだと気づいた。
「私のことを庇ったばっかりに…。保健室まで運ぼうとしたんだけど、しんべヱくんと喜三太くんはいつものことだから大丈夫だって言うし…」
あの二人は……。
ピキピキとこめかみに青筋が立った。
「ごめんね。痛かったよね」
眉を下げて様子を伺う名前さんに、これ以上心配は掛けられないと身体を起こした。
「いえ。あの二人が言うようにいつものことなので…」
「いつものこと…?あ、もしかして前に言ってた相性が悪い人って…」
私が頷くと、名前さんは驚いていた。
「まさかは組の子達だったなんて」
「なぜかあの二人がセットになると良くないことが起こるんです」
「そうなんだ…。せっかく綺麗な髪が…」
煙でチリチリになった髪を名前さんが掬った。
「今日は私が仙子ちゃんの髪を洗うよ!」
にこにこと笑う彼女に、あの二人への怒りは萎んでいった。
「女同士ですから。一緒に入りますか?」
意地悪くそう尋ねると、真っ赤な顔をして彼女は手を横に振った。
そよそよと私と仙蔵くんの髪を風が靡かせた。
せっかくお化粧したから伊作くんにも会いたかったなぁと思ったが、ここに来るまでにすれ違うことはなかった。
「どこに行くの?」
「特に決めてはなかったのですが…」
仙蔵くんが大きな木の下に座ったので、私も隣に腰を下ろした。
「何か怒ってる?」
「子供染みている自分に辟易していたところです」
眉を下げて失笑する仙蔵くん。
「名前さんを綺麗にしたのは私なのに、私ではない男に褒められて喜んでいる貴方を見て腹が立ちました」
「うえっ!?ごめん?」
腹が立ったと言われて咄嗟に謝ったけど、これって…?
「やきもち?」
素直に口に出してしまい、慌てて口を噤んだがもう遅い。
仙蔵くんはぱちくりと目を瞠ったかと思ったら、白い肌が紅く染まった。
「(え、なんか可愛い…)」
いつも飄々としてて、大人びている仙蔵くん。
そんな仙蔵くんが、嫉妬だなんて。
「えへへ」
「何がおかしいんですか?」
「んーん」
「まぁ、笑ってくれたならそれでいいですが」
もしかして、私最近上手く笑えてなかったのかな。
そんなつもりはなかったけど、自分で思っていた以上にいっぱいいっぱいだったことを土井先生に気づかされた。
仙蔵くんはもしかしたら感じ取ってくれていたのかも。
「仙蔵くんにこんなこと言ったら怒られそうなんだけど…」
私は女装した彼の小袖の裾を掌にのせた。
「仙蔵くんのこの姿、すごく安心する」
*******************
女装した姿を褒められるのは慣れている。
この姿で町に出れば、男共は鼻の下を伸ばすし、女性も「あの人綺麗だね」とコソコソ噂する。
しかし、名前さんに褒められると複雑な気分になった。
もう彼女の前で女装するのはやめようと思ったばかりだったのに、私の小袖をいじりながら安心すると言われてしまうとその気持ちも揺らいだ。
そこで気づいた。
よく考えれば、ここは男所帯。
くノ一長屋もあるが、基本的には隔たれている。
くのたま達と食堂で会ったりはしているようだが特段親しい様子は見受けられなかった。
それもそのはず。
忍たま達は、男だからか単純で、名前さんのことを美人だだの可愛いだのと好意的な人間が多いが、くのたま達はそんな忍たまに呆れて逆に警戒心を強めている。
「ほんと男って単純なんだから。どこかの間者じゃないの」
すれ違ったくのたまがそう噂していたのを聞いたこともある。
同性の友人がいない彼女は心細かったのではないだろうか。
シナ先生と食堂のおばちゃんは同性は同性だが友達になるには少し歳が離れすぎている。
女装した自分に同性としての安心感を得たというなら納得だ。
「今度、化粧をして町へ行きましょうか」
「えっ!いいの?」
キラキラした目で私を見上げてくる。
嬉しそうにしている名前さんを見ると私も嬉しく思った。
「この姿の時は仙子と名乗ってますので、外ではそう呼んでください」
「わかった!仙子ちゃん」
「今は学園内なので大丈夫です」
「呼んじゃだめ?」
そう呼びたい、と言われるとダメとは言えなかった。
渋々了承すると、嬉しそうに私の両手を握った。
「ありがとう、仙子ちゃん!」
私が思い描いている形とは違ったが、私にしかできない役割を全うしようと思った。
「「立花せんぱーい!!」」
遠くの方から小さな影が二つ近づいてきた。
「あ、あれは…」
「しんべヱくん!喜三太くん!」
なぜ、このタイミングに…。
ヒクヒクと歪む口元を押さえ、2人に何か用かと尋ねた。
「そこに宝禄火矢が落ちてたので立花先輩のやつかなって思って持ってきました!」
「宝禄火矢が落ちてた!?」
しんべヱが丸いそれを取り出した。
「宝禄火矢?」
初めて見るらしく、宝禄火矢の説明をした上で私がそれを得意とすることを教えると感嘆した表情を名前さんは見せた。
「でもそれすっごく危険なものなんだよね?気をつけないと…」
「火を点ける!」
名前さん!それを言っては…。
お決まりの展開を知らない彼女はさらっと地雷を踏んで、しんべヱが火を点けた。
「しんべヱ!!!火を点けろじゃない!気をつけろだ!!!」
驚いたしんべヱは頭上に宝禄火矢を放り投げた。
「へ?」
宝禄火矢はまるで狙ったかのように名前さんの頭上目掛けて落下した。
「危ない!」
彼女を庇って上から覆いかぶさったと同時に宝禄火矢が爆発した。
「「立花せんぱーい!!ごめんなさーい!!」」
しんべヱと喜三太の声が遠くに聞こえた。
目を覚ますと、一番に視界に入ったのは名前さんの顔だった。
「仙蔵くん!よかった!気がついたんだね」
名前さんの顔の背景には葉っぱがゆさゆさ揺れていた。
頭の下に柔らかい感触があることから、私は膝枕されているのだと気づいた。
「私のことを庇ったばっかりに…。保健室まで運ぼうとしたんだけど、しんべヱくんと喜三太くんはいつものことだから大丈夫だって言うし…」
あの二人は……。
ピキピキとこめかみに青筋が立った。
「ごめんね。痛かったよね」
眉を下げて様子を伺う名前さんに、これ以上心配は掛けられないと身体を起こした。
「いえ。あの二人が言うようにいつものことなので…」
「いつものこと…?あ、もしかして前に言ってた相性が悪い人って…」
私が頷くと、名前さんは驚いていた。
「まさかは組の子達だったなんて」
「なぜかあの二人がセットになると良くないことが起こるんです」
「そうなんだ…。せっかく綺麗な髪が…」
煙でチリチリになった髪を名前さんが掬った。
「今日は私が仙子ちゃんの髪を洗うよ!」
にこにこと笑う彼女に、あの二人への怒りは萎んでいった。
「女同士ですから。一緒に入りますか?」
意地悪くそう尋ねると、真っ赤な顔をして彼女は手を横に振った。
