【2章】室町パニック
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学園の敷地内で校舎からもさして離れていない場所。
聡明な彼女は少し教えただけで、ある程度薬草を見分けられるようになっていた。
ここを抜けたら例の場所だ。
「名前さん!」
茂みから飛び出して辺りを見回すが、誰もいない。
「名前さーん?」
念のため周辺を探してみるがやはりいない。
「どこに行ったんだ・・・?」
もしかして入違ったのかも?
そう思って再度学園へと戻った。
***************
やばい、やばい。
どうしよう。
「完全に迷った・・・」
右を見ても木。
左を見ても木。
あまり動きすぎるとさらに迷子になりそうだったので、ひとまず開かれた崖を拠点に帰ってこれる範囲内で帰り道を探した。
最近、ここでの生活にも少し慣れてきて調子に乗っていた。
忍術学園は森の中にあって、非常に迷いやすいのだ。
「あーー!!!どうしよー!!!誰かぁあああ」
力の限り声を上げると、茂みの向こうからガサガサと音がした。
「えっ・・・やば。もしかして熊さん・・・?」
足を後退させて距離を取るが、崖の端っこに行きついてしまいこれ以上下がれない。
極限に身体を縮こませてみる。
茂みからひょこりと顔を出したのは、大きな熊・・・ではなく、私が探していた彼だった。
「伊作くん!」
「名前さん!」
伊作くんはいつもの忍装束ではなくえんじ色の袴を着ていた。
「見つけられてよかった」
パタパタと傍に駆け寄って来た彼は、私の肩に両手を置いた。
「どこも怪我はないですか?」
「うん。今回は裸足じゃないしね」
足を指さすと、伊作くんはクスリと笑った。
「伊作くんが薬草摘みに言ったって聞いたから前に教えてもらった場所だと思って追いかけたんだけど、道間違えちゃって」
「いえ・・・そもそも僕薬草摘みに行ってないんです」
「ええ!」
聞けば小松田くんの伝達ミスではないか。
おおい、相変わらずだな。
でもこうして会えたから、まぁいっか。
そうだ。
そもそも伊作くんを探していたのは話がしたいからだった。
今の雰囲気なら聞けそうだ。
そう思って口を開いたとき、伊作くんの背後からガサガサと音がした。
「い、伊作くん・・・」
「はい?」
「う、後ろ・・・」
ひょっこりと顔を茂みから出したのは、イノシシだった。
「・・・っ!!」
伊作くんは私を背中に庇ってくれた。
イノシシは目を吊り上げて、私達を完全にロックオンしてる。
前足を地面に前後に擦り付けて今にも駆け出さんとしている。
「何であのイノシシあんなに怒ってるの」
「食べ物を狙っているか、子供が近くにいるか・・・ですね」
「ご、ごめんね!今何も持ってないし、危害を加えるつもりはないの!」
「言って聞く相手じゃないです・・・」
ダメ元だよ。
ヘムヘムだってあんなに言葉理解してるんだからワンチャンいける可能性あるかもじゃん。
「ふふ、無理ですよ」
「あっ。笑った!」
なんだか伊作くんの笑顔久しぶりに見た気がする。
「名前さん・・・あの」
伊作くんが何かを言いかけたとき、イノシシの攻撃態勢が整ったらしい。
「く、来るよ」
「僕が突進してきたイノシシを崖下に落とすので、名前さんはこっちの道から先に逃げてください。まっすぐ行ったら開けた場所があるのでそこで待っててください」
私も何かするよ、と言いたいところだが足手まといにならないことが一番だろう。
私は頷くと伊作くんに指定された道に向かって走ろうとした。
その時。
「うわあっ!」
「伊作くん!」
イノシシを誘導するために崖先にいた彼の足元が崩れ落ちた。
私は伊作くんに駆け寄って咄嗟に手を伸ばした。
しかし、当然引き上げる力は私には無く、重力に従って2人揃って落ちていった。
「フガ?」
崖の上から覗き込んでいるイノシシは踵を返して森の中へと消えていった。
聡明な彼女は少し教えただけで、ある程度薬草を見分けられるようになっていた。
ここを抜けたら例の場所だ。
「名前さん!」
茂みから飛び出して辺りを見回すが、誰もいない。
「名前さーん?」
念のため周辺を探してみるがやはりいない。
「どこに行ったんだ・・・?」
もしかして入違ったのかも?
そう思って再度学園へと戻った。
***************
やばい、やばい。
どうしよう。
「完全に迷った・・・」
右を見ても木。
左を見ても木。
あまり動きすぎるとさらに迷子になりそうだったので、ひとまず開かれた崖を拠点に帰ってこれる範囲内で帰り道を探した。
最近、ここでの生活にも少し慣れてきて調子に乗っていた。
忍術学園は森の中にあって、非常に迷いやすいのだ。
「あーー!!!どうしよー!!!誰かぁあああ」
力の限り声を上げると、茂みの向こうからガサガサと音がした。
「えっ・・・やば。もしかして熊さん・・・?」
足を後退させて距離を取るが、崖の端っこに行きついてしまいこれ以上下がれない。
極限に身体を縮こませてみる。
茂みからひょこりと顔を出したのは、大きな熊・・・ではなく、私が探していた彼だった。
「伊作くん!」
「名前さん!」
伊作くんはいつもの忍装束ではなくえんじ色の袴を着ていた。
「見つけられてよかった」
パタパタと傍に駆け寄って来た彼は、私の肩に両手を置いた。
「どこも怪我はないですか?」
「うん。今回は裸足じゃないしね」
足を指さすと、伊作くんはクスリと笑った。
「伊作くんが薬草摘みに言ったって聞いたから前に教えてもらった場所だと思って追いかけたんだけど、道間違えちゃって」
「いえ・・・そもそも僕薬草摘みに行ってないんです」
「ええ!」
聞けば小松田くんの伝達ミスではないか。
おおい、相変わらずだな。
でもこうして会えたから、まぁいっか。
そうだ。
そもそも伊作くんを探していたのは話がしたいからだった。
今の雰囲気なら聞けそうだ。
そう思って口を開いたとき、伊作くんの背後からガサガサと音がした。
「い、伊作くん・・・」
「はい?」
「う、後ろ・・・」
ひょっこりと顔を茂みから出したのは、イノシシだった。
「・・・っ!!」
伊作くんは私を背中に庇ってくれた。
イノシシは目を吊り上げて、私達を完全にロックオンしてる。
前足を地面に前後に擦り付けて今にも駆け出さんとしている。
「何であのイノシシあんなに怒ってるの」
「食べ物を狙っているか、子供が近くにいるか・・・ですね」
「ご、ごめんね!今何も持ってないし、危害を加えるつもりはないの!」
「言って聞く相手じゃないです・・・」
ダメ元だよ。
ヘムヘムだってあんなに言葉理解してるんだからワンチャンいける可能性あるかもじゃん。
「ふふ、無理ですよ」
「あっ。笑った!」
なんだか伊作くんの笑顔久しぶりに見た気がする。
「名前さん・・・あの」
伊作くんが何かを言いかけたとき、イノシシの攻撃態勢が整ったらしい。
「く、来るよ」
「僕が突進してきたイノシシを崖下に落とすので、名前さんはこっちの道から先に逃げてください。まっすぐ行ったら開けた場所があるのでそこで待っててください」
私も何かするよ、と言いたいところだが足手まといにならないことが一番だろう。
私は頷くと伊作くんに指定された道に向かって走ろうとした。
その時。
「うわあっ!」
「伊作くん!」
イノシシを誘導するために崖先にいた彼の足元が崩れ落ちた。
私は伊作くんに駆け寄って咄嗟に手を伸ばした。
しかし、当然引き上げる力は私には無く、重力に従って2人揃って落ちていった。
「フガ?」
崖の上から覗き込んでいるイノシシは踵を返して森の中へと消えていった。