【2章】室町パニック
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最近、伊作くんの様子がおかしい。
「伊作くん、包帯巻くの手伝おうか?」
「いえ、1年生がやってくれるので大丈夫です」
前なら「じゃあお願いしていいですか?」と任せてくれたのになぁ。
断られてしまった私は手持ち無沙汰で、伊作くんに何か話しかけようと思うのだが、話題が見つからずに結局すごすごと保健室を後にするしかなかった。
「目、合わなかったなぁ…」
今までならいつでもニコリと笑いかけてくれるのに。
黙々と薬草の仕分けをしていた伊作くんは顔すら上げてくれなかった。
忙しかったのかな。
うん、きっとそう。
いつでもずっと私の相手などしてられないのだ。
そう言い聞かせてみるものの、心はズンと沈んだ。
もしかしたら何か怒らせてしまったのかもしれない。
伊作くんはここに来てから一番最初に信頼を寄せた相手だ。
私にとって特別な人だった。
もし、私が何か粗相をしてしまったのだとしたら謝りたい。
私は今までの行動を思い返してみた。
*****************
翌日。
私は放課後に伊作くんを探した。
気になることがあったらとことん気にしてしまうタチなので、やっぱり直接原因を聞こうと思い立ったのだ。
「名前ちゃん!誰か探してるの?」
「あ、小松田さん!伊作くん見なかった?」
「彼ならついさっき薬草を摘みに行くって出ていったよ」
「薬草…」
随分前だが、ずっと学園にいる私の気分転換にと学園敷地内にある薬草が生えているところに連れて行ってもらった。
近場だったので場所は覚えている。
ついさっきなら追いつけるかも。
「あの!私も行きます!」
「はーい!じゃあ出門表にサインお願いします!」
私は、出門表にサラサラっと名前を書いて、小松田さんに渡した。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」
小松田さんに手を振って伊作くんを追いかけた。
「あれ?名前ちゃんって一人で外出していいんだっけ?」と後ろで小松田さんが首を傾げていたのを私は知る由もなかった。
「はぁっ、はぁっ…」
小走りで目的地を目指したが、早速息が上がってしまった。
「確か、こっちだったよね」
私は、このときの自分の行動を後悔した。
いつもならもっと慎重に考えるのに。
このときは伊作くんに早く追いつかないと焦ってしまった。
「えーっと、確かここは左で…あれ?この木こんなに大きかったっけ?まぁ、いっか」
「で、ここは真っすぐ…だったよね?」
地図もない道をただ記憶だけを頼りに歩いた。
「この先を抜けたら……」
茂みを抜けたら広がっているはずの光景。
以前連れてきてもらった薬草が沢山取れる、開けた場所に出るはずだった。
「あれ?」
しかし目の前には見覚えのない崖が広がっていた。
***************
「ただいま戻りました」
小松田さんに入門票を記入して渡した。
「あれ?名前ちゃんは一緒じゃないの?」
「え?名前さん?」
「うん。伊作くんを追いかけて行ったんだけど」
「ええ!?町に行ったんですか!?」
「あれ?薬草取りに行ってたんじゃなかったの?」
「それは一昨日です!!!今日は町に行くって言ったじゃないですか!」
「あれれ〜?」
頭を捻る小松田さんは相変わらずのポンコツ具合だ。
「名前さん…どうして」
どうして僕を追いかけたんですか。
自分自身、最近名前さんの顔をまともに見れていない自覚はあった。
乱太郎達と仲良くなってからというもの、1年生や噂を聞いた他学年の生徒が名前さんに接触するようになった。
ニコニコと彼らの話を聞く彼女を見ていると、心に靄が掛かった。
初日なんて僕のことだけを頼りにしてくれていたのに。
くだらない嫉妬だ。
僕だけを頼りにしてくれていたらいいのに。
本来なら今日の監視役は自分だった。
けれど、昼休みに1年は組とサッカーをしている名前さんを見たら、きっと放課後もどこかのクラスと遊ぶのだろうと思い、自分は町へ行くことにした。
やめておけばよかった。
薬草を摘みに行ったと勘違いして自分を追いかけたのであれば、おそらく以前連れて行ったことがあるあそこだ。
僕は全速力でそこに向かった。
「伊作くん、包帯巻くの手伝おうか?」
「いえ、1年生がやってくれるので大丈夫です」
前なら「じゃあお願いしていいですか?」と任せてくれたのになぁ。
断られてしまった私は手持ち無沙汰で、伊作くんに何か話しかけようと思うのだが、話題が見つからずに結局すごすごと保健室を後にするしかなかった。
「目、合わなかったなぁ…」
今までならいつでもニコリと笑いかけてくれるのに。
黙々と薬草の仕分けをしていた伊作くんは顔すら上げてくれなかった。
忙しかったのかな。
うん、きっとそう。
いつでもずっと私の相手などしてられないのだ。
そう言い聞かせてみるものの、心はズンと沈んだ。
もしかしたら何か怒らせてしまったのかもしれない。
伊作くんはここに来てから一番最初に信頼を寄せた相手だ。
私にとって特別な人だった。
もし、私が何か粗相をしてしまったのだとしたら謝りたい。
私は今までの行動を思い返してみた。
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翌日。
私は放課後に伊作くんを探した。
気になることがあったらとことん気にしてしまうタチなので、やっぱり直接原因を聞こうと思い立ったのだ。
「名前ちゃん!誰か探してるの?」
「あ、小松田さん!伊作くん見なかった?」
「彼ならついさっき薬草を摘みに行くって出ていったよ」
「薬草…」
随分前だが、ずっと学園にいる私の気分転換にと学園敷地内にある薬草が生えているところに連れて行ってもらった。
近場だったので場所は覚えている。
ついさっきなら追いつけるかも。
「あの!私も行きます!」
「はーい!じゃあ出門表にサインお願いします!」
私は、出門表にサラサラっと名前を書いて、小松田さんに渡した。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」
小松田さんに手を振って伊作くんを追いかけた。
「あれ?名前ちゃんって一人で外出していいんだっけ?」と後ろで小松田さんが首を傾げていたのを私は知る由もなかった。
「はぁっ、はぁっ…」
小走りで目的地を目指したが、早速息が上がってしまった。
「確か、こっちだったよね」
私は、このときの自分の行動を後悔した。
いつもならもっと慎重に考えるのに。
このときは伊作くんに早く追いつかないと焦ってしまった。
「えーっと、確かここは左で…あれ?この木こんなに大きかったっけ?まぁ、いっか」
「で、ここは真っすぐ…だったよね?」
地図もない道をただ記憶だけを頼りに歩いた。
「この先を抜けたら……」
茂みを抜けたら広がっているはずの光景。
以前連れてきてもらった薬草が沢山取れる、開けた場所に出るはずだった。
「あれ?」
しかし目の前には見覚えのない崖が広がっていた。
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「ただいま戻りました」
小松田さんに入門票を記入して渡した。
「あれ?名前ちゃんは一緒じゃないの?」
「え?名前さん?」
「うん。伊作くんを追いかけて行ったんだけど」
「ええ!?町に行ったんですか!?」
「あれ?薬草取りに行ってたんじゃなかったの?」
「それは一昨日です!!!今日は町に行くって言ったじゃないですか!」
「あれれ〜?」
頭を捻る小松田さんは相変わらずのポンコツ具合だ。
「名前さん…どうして」
どうして僕を追いかけたんですか。
自分自身、最近名前さんの顔をまともに見れていない自覚はあった。
乱太郎達と仲良くなってからというもの、1年生や噂を聞いた他学年の生徒が名前さんに接触するようになった。
ニコニコと彼らの話を聞く彼女を見ていると、心に靄が掛かった。
初日なんて僕のことだけを頼りにしてくれていたのに。
くだらない嫉妬だ。
僕だけを頼りにしてくれていたらいいのに。
本来なら今日の監視役は自分だった。
けれど、昼休みに1年は組とサッカーをしている名前さんを見たら、きっと放課後もどこかのクラスと遊ぶのだろうと思い、自分は町へ行くことにした。
やめておけばよかった。
薬草を摘みに行ったと勘違いして自分を追いかけたのであれば、おそらく以前連れて行ったことがあるあそこだ。
僕は全速力でそこに向かった。