【1章】さよなら令和、ようこそ室町
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名前さんを一人にしたことを深く後悔した。
ここは町で、野蛮な輩も行き交う場所だと分かっていたのに。
変装と彼女が一人になりたがっていたのとで判断が鈍ってしまった。
「本当にすまない」
「いやいや!土井先生が謝ることじゃないですから!」
「すごく怖かったんだろ?震えてる」
手を取ると小刻みに震えていた。
「違うんです…。それもあるけど…でも、違うんです」
そういう彼女は今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。
「大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
違う。
大丈夫かって聞いたら大丈夫だと答えるしかないじゃないか。
私は馬鹿か。
「何か…あった?」
「……」
「良かったら話してみて。少しは気持ちが楽になるかも」
「町に来て…実感してしまったんです。……自分は何も知らないって。そうしたら急に不安になってしまって…。すみません」
「謝らないで」
必死に自分を保とうとしている名前さんに心が痛んだ。
一体彼女の身に何が起こったというのだ。
解散する前後であまりにも様子が変わった彼女のことが心配だった。
「私、どうなっちゃうんでしょうか・・・」
ぽつりと呟いた名前さんの言葉は、今まで交わした中で一番の本音に感じた。
今の彼女はまるで私の存在が目には映っているけど、心に入っていないようだった。
私は忍たまと違ってプロの忍であり、教員だ。
だから本来簡単に彼女を信用してはならない。
しかし、初めて会ったときから感じていた。
名前さんは似ているのだ。
私やきり丸に。
今の名前さんはまるで世界に自分が独りぼっちであることを自覚してしまったような、そんな表情を浮かべている。
「どうもならないよ」
手に力を籠めると名前さんは俯いていた顔を上げた。
「私は名前さんの味方になる。今、この場で誓うよ。忍たまよりかは発言権あるから、学園での立場も進言できる。まあ、教員の中では若手だから頼りないかもしれないけど・・・」
「そんな・・・」
頼りないなんて、と首を緩く横に振る彼女に向って微笑んだ。
「今、貴方の情報を探しているから。仮に身元が分かっても帰すのが危険だと判断すれば追い出したりしない。だからどうか、そんな顔しないで」
名前さんは複雑な表情を浮かべていた。
「名前さん?」
「あの、土井先生・・・私」
ぎゅっと結んだ下唇をほどいて何かを伝えようとしている。
しばらく逡巡した後、彼女は再びその口を結んでしまった。
「いえ、何でもないです」
何か言いたいことがあるのは明白だった。
しかし、これが今の彼女の中での私の立ち位置なのだろう。
心の芯に入る権利を私はまだ得ていないのだ。
無理矢理聞き出すのはよくない。
もっと名前さんに信頼してもらわなければ。
いつか、全てを話したいと思える相手に、自分はなれるだろうか。
いや、なってやる、そう思った。
ここは町で、野蛮な輩も行き交う場所だと分かっていたのに。
変装と彼女が一人になりたがっていたのとで判断が鈍ってしまった。
「本当にすまない」
「いやいや!土井先生が謝ることじゃないですから!」
「すごく怖かったんだろ?震えてる」
手を取ると小刻みに震えていた。
「違うんです…。それもあるけど…でも、違うんです」
そういう彼女は今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。
「大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
違う。
大丈夫かって聞いたら大丈夫だと答えるしかないじゃないか。
私は馬鹿か。
「何か…あった?」
「……」
「良かったら話してみて。少しは気持ちが楽になるかも」
「町に来て…実感してしまったんです。……自分は何も知らないって。そうしたら急に不安になってしまって…。すみません」
「謝らないで」
必死に自分を保とうとしている名前さんに心が痛んだ。
一体彼女の身に何が起こったというのだ。
解散する前後であまりにも様子が変わった彼女のことが心配だった。
「私、どうなっちゃうんでしょうか・・・」
ぽつりと呟いた名前さんの言葉は、今まで交わした中で一番の本音に感じた。
今の彼女はまるで私の存在が目には映っているけど、心に入っていないようだった。
私は忍たまと違ってプロの忍であり、教員だ。
だから本来簡単に彼女を信用してはならない。
しかし、初めて会ったときから感じていた。
名前さんは似ているのだ。
私やきり丸に。
今の名前さんはまるで世界に自分が独りぼっちであることを自覚してしまったような、そんな表情を浮かべている。
「どうもならないよ」
手に力を籠めると名前さんは俯いていた顔を上げた。
「私は名前さんの味方になる。今、この場で誓うよ。忍たまよりかは発言権あるから、学園での立場も進言できる。まあ、教員の中では若手だから頼りないかもしれないけど・・・」
「そんな・・・」
頼りないなんて、と首を緩く横に振る彼女に向って微笑んだ。
「今、貴方の情報を探しているから。仮に身元が分かっても帰すのが危険だと判断すれば追い出したりしない。だからどうか、そんな顔しないで」
名前さんは複雑な表情を浮かべていた。
「名前さん?」
「あの、土井先生・・・私」
ぎゅっと結んだ下唇をほどいて何かを伝えようとしている。
しばらく逡巡した後、彼女は再びその口を結んでしまった。
「いえ、何でもないです」
何か言いたいことがあるのは明白だった。
しかし、これが今の彼女の中での私の立ち位置なのだろう。
心の芯に入る権利を私はまだ得ていないのだ。
無理矢理聞き出すのはよくない。
もっと名前さんに信頼してもらわなければ。
いつか、全てを話したいと思える相手に、自分はなれるだろうか。
いや、なってやる、そう思った。
