【1章】さよなら令和、ようこそ室町
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「ええっと…」
私は手鏡で完成した変装を見せてもらった。
野暮ったい田舎の娘という印象だ。
「誰…」
「一般的な顔立ちに変えました。名前さんがそのまま町に行くと美人で目立ってしまいます」
鉢屋くん、許そう。
化粧ではなく、変装と言われたのだから勝手に期待した私が悪い。
「なんだ、賑やかだな」
保健室に入ってきたのは土井先生だった。
「土井先生、こんにちは」
「その声は…名前さん?」
「はい」
「随分と印象が変わったね。何で変装?」
「これから町に行こうかと思ってます」
「何か思い出せるかもしれないので」
「ヘームヘム!!」
土井先生が入ってきた後ろから、ヘムヘムが姿を現した。
一生懸命何かを伝えてる。
「ええ!?今から五・六年は任務?」
伊作くんの解読は合っていたようで、ヘムヘムが頷いている。
「うーん…。名前さん、すみません。外出はまた今度でもいいでしょうか?」
「代わりに私が行こう」
土井先生が代打を買って出てくれた。
「ちょうど家賃を払いに行かなければと思っていたんだ」
「いいんですか?」
「ああ」
伊作くんがジト目でこちらを見ているが、私としては1日でも早く外に行ってこの目で確かめたい。
「では、行こうか」
******************
・・・街に行きたいと言ったのは私だ。
文句を言ってはいけない。
分かってはいるが・・・。
「(つ、疲れた・・・)」
履きなれない草鞋で整備されていない砂利道を進んでいるので、足が棒のように痛い。
甘かった。
私の認識が甘かった。
コンクリートが恋しい。
「大丈夫かい?」
「は、はい」
「少し休もうか」
「いえ、お気遣いなく。ところであとどれぐらいで街に着きそうですか?」
「あと四半時ぐらいかなぁ。でも今のペースだと半刻かかるかもしれない」
半刻!?
それって1時間ってことだよね?
太陽の位置で時間を知る術など持たない私は体感で時間を数えるしかない。
今までも1時間ぐらい歩いた感覚なんですけど!
「ちなみに今歩いてきた距離で四半時だから、ちょうど半分ぐらいかな」
気絶しそう。
全然体感合ってなかった。
「・・・やっぱりちょっと休憩してもいいですか?」
「もちろん」
優しい笑みを浮かべた土井先生は、腰掛けやすい岩に誘導してくれた。
水分をとって、ふくらはぎを揉んだ。
「大丈夫かい?」
「体力なくてごめんなさい」
「それは構わないけど・・・。やはりこの距離を歩けないとなると、普段は牛車で移動していたのかもしれないね」
「・・・ですかねぇ」
牛車じゃなくて電車やバスですね。
ハハハと苦笑いを浮かべた。
「あまり遅くなると店も閉まってしまうし、少し急ごうか」
「は、はい」
私が言いだしたんだから泣き言言ってられない。
気合いを入れて立ち上がろうとしたら、私の前に土井先生がしゃがんだ。
「土井先生?」
「ほら、乗って」
「いやいや、それは悪いですよ!」
「私が早く行きたいだけだよ」
や、優しい。
確かにこのまま無理を押しても街までたどり着ける自信が無かったのでお言葉に甘えることにした。
「では・・・お邪魔します」
伊作くんにお姫様抱っこされたのも初めてだけど、男性におんぶされたのも初めてだ。
広い背中は頼もしく感じた。
「しっかり捕まって」
「ありがとうございます」
背中に上体を預けて前に腕を回すと、土井先生は走り出した。
「走るんですか!?はやっ!!」
早歩きぐらいを想定していたので、私を抱えて軽々走る土井先生に目を瞠った。
「しんべヱで鍛えられてるからね」
私の脳裏にふくよかな乱太郎くんのお友達が浮かんだ。
私は手鏡で完成した変装を見せてもらった。
野暮ったい田舎の娘という印象だ。
「誰…」
「一般的な顔立ちに変えました。名前さんがそのまま町に行くと美人で目立ってしまいます」
鉢屋くん、許そう。
化粧ではなく、変装と言われたのだから勝手に期待した私が悪い。
「なんだ、賑やかだな」
保健室に入ってきたのは土井先生だった。
「土井先生、こんにちは」
「その声は…名前さん?」
「はい」
「随分と印象が変わったね。何で変装?」
「これから町に行こうかと思ってます」
「何か思い出せるかもしれないので」
「ヘームヘム!!」
土井先生が入ってきた後ろから、ヘムヘムが姿を現した。
一生懸命何かを伝えてる。
「ええ!?今から五・六年は任務?」
伊作くんの解読は合っていたようで、ヘムヘムが頷いている。
「うーん…。名前さん、すみません。外出はまた今度でもいいでしょうか?」
「代わりに私が行こう」
土井先生が代打を買って出てくれた。
「ちょうど家賃を払いに行かなければと思っていたんだ」
「いいんですか?」
「ああ」
伊作くんがジト目でこちらを見ているが、私としては1日でも早く外に行ってこの目で確かめたい。
「では、行こうか」
******************
・・・街に行きたいと言ったのは私だ。
文句を言ってはいけない。
分かってはいるが・・・。
「(つ、疲れた・・・)」
履きなれない草鞋で整備されていない砂利道を進んでいるので、足が棒のように痛い。
甘かった。
私の認識が甘かった。
コンクリートが恋しい。
「大丈夫かい?」
「は、はい」
「少し休もうか」
「いえ、お気遣いなく。ところであとどれぐらいで街に着きそうですか?」
「あと四半時ぐらいかなぁ。でも今のペースだと半刻かかるかもしれない」
半刻!?
それって1時間ってことだよね?
太陽の位置で時間を知る術など持たない私は体感で時間を数えるしかない。
今までも1時間ぐらい歩いた感覚なんですけど!
「ちなみに今歩いてきた距離で四半時だから、ちょうど半分ぐらいかな」
気絶しそう。
全然体感合ってなかった。
「・・・やっぱりちょっと休憩してもいいですか?」
「もちろん」
優しい笑みを浮かべた土井先生は、腰掛けやすい岩に誘導してくれた。
水分をとって、ふくらはぎを揉んだ。
「大丈夫かい?」
「体力なくてごめんなさい」
「それは構わないけど・・・。やはりこの距離を歩けないとなると、普段は牛車で移動していたのかもしれないね」
「・・・ですかねぇ」
牛車じゃなくて電車やバスですね。
ハハハと苦笑いを浮かべた。
「あまり遅くなると店も閉まってしまうし、少し急ごうか」
「は、はい」
私が言いだしたんだから泣き言言ってられない。
気合いを入れて立ち上がろうとしたら、私の前に土井先生がしゃがんだ。
「土井先生?」
「ほら、乗って」
「いやいや、それは悪いですよ!」
「私が早く行きたいだけだよ」
や、優しい。
確かにこのまま無理を押しても街までたどり着ける自信が無かったのでお言葉に甘えることにした。
「では・・・お邪魔します」
伊作くんにお姫様抱っこされたのも初めてだけど、男性におんぶされたのも初めてだ。
広い背中は頼もしく感じた。
「しっかり捕まって」
「ありがとうございます」
背中に上体を預けて前に腕を回すと、土井先生は走り出した。
「走るんですか!?はやっ!!」
早歩きぐらいを想定していたので、私を抱えて軽々走る土井先生に目を瞠った。
「しんべヱで鍛えられてるからね」
私の脳裏にふくよかな乱太郎くんのお友達が浮かんだ。