【3章】フォーリンラブin室町
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死んだと思った名前さんは目の前でピンピンしていた。
組頭に目を向けると、やはり名前さんの首を持ったまま。
「???」
頭に浮かんだ疑問符は消えないが、大事なのは目の前に彼女が立っているという事実。
「早く、こっち。尊奈門は彼女を背負って」
組頭に急かされて、背中に飛び乗った名前さんを落とさないように慌てて抱えてついていく。
途中で陣内さんとすれ違った。
「無事に帰るんだぞ」
「ありがとうございます」
たった一言のやりとりだが、この状況が仕組まれたものだとすぐに理解できた。
「殿!状況報告に参りました」
「陣内が時間稼ぎしている間に行こう」
陣内さんが殿の部屋へ消えていくのを遠目に見届けて、私達は再び駆け出した。
*******************
もうすぐみんなに会える。
私は尊奈門さんの背中に乗りながら胸が逸った。
途中、事情を知ってるタソガレドキ忍軍の人達から「元気でな!」「忍術学園に会いに行くからな!」と声を掛けてもらい、私も「ありがとうございました」と頭を下げた。
森の中を駆け抜けて、喧騒が遠のいたところで、前を行く雑渡さんの足が止まった。
「着いたよ」
私は尊奈門さんの背中から顔を覗かせると、そこにはあのとき泣く泣く別れた四人が立っていた。
「名前さん」
聞き慣れた自分の名前なのに、物凄く特別なものに感じた。
「みんな…」
尊奈門さんに降ろしてもらった私は、みんなの元へ駆け寄った。
「ただいま」
泣きそうな表情 をしている伊作くんにそう言うと、彼は小さな声で「おかえりなさい」と言ってくれた。
「作戦は成功したってことでいいのかな?」
土井先生が雑渡さんに尋ねた。
「まぁ、概ね。死んだことになってるから、事実上うちの城出禁になっちゃったけど」
自作自演の大掛かりな死亡偽装。
黄昏甚兵衛に見つからないようにこれからは生きないといけないと思うと少し窮屈にはなるが、彼も私も町に頻繁に行く生活ではないため、ばったり会うことは確率的に低いだろう。
「迷惑かけてごめんね」
雑渡さんに謝られたが、私は首を横に振った。
「学園に帰りたかったけど、タソガレドキ忍軍の方達と過ごした時間は楽しかったです」
にこり、と笑うと雑渡さんは私の頭を撫でた。
「私も君といると心休まる時間を過ごせた。尊奈門関係なく、また会いに行くよ」
「美味しいお茶ご用意しますね」
私は次に尊奈門さんの前に立った。
「尊奈門さん、色々ありがとうございました」
「私は、何も……」
ただ、ただ、無事でよかった……と涙声で言ってくれた。
「また会いたいので、土井先生に勝負挑みにきてください」
土井先生は「勘弁してくれ」と言っているが、その顔は本心では無さそうだった。
「なら、明日行きます」
「来なくていい」
土井先生と尊奈門さんは意外といいペアだと思う。
ふふ、と笑うとそれまで傍観していた利吉さんが口を開いた。
「もうそろそろ」
「はい、すみません」
あれだけ帰りたかったが、いざ帰れるとなると雑渡さんと尊奈門さんにさよならするのが名残惜しい。
「では、お元気で」
「名前さんも」
二人に手を振り、私は土井先生の背中に身体を預けた。
----------------------
名前さん達の気配が感じられなくなったので、私は組頭の方を向いた。
「組頭、人が悪いですよ。どうして教えてくれなかったんですか」
「先に教えてたら、殿に気付かれるかもしれないでしょ」
騙すなら味方からって言うでしょ、という組頭に、自分以外の人達は知っていたみたいだったし、そもそも騙す本命も味方だし・・・と言いたい文句は全て胸の中にしまっておいた。
「でも、あの首…いつの間に用意したんですか」
「忍術学園の作法委員会が生首フィギュア作ってるからね。彼女のものを依頼したんだ」
「時が来たら……ってまさか」
「うん、生首が出来上がったらって意味」
はぁーと私は大きな溜息を吐いた。
「じゃあ、あの血は…?臭いが本物だったんですけど」
「本物の血を溜め込んで、フィギュアの中に隠して、濾過して垂れてくるようにしたんだよ」
戦なんてそこら中で起こってるから血なんて簡単に集まる、なんて言われて「うへぇ…」と苦虫を潰した表情になった。
「ま、無事に帰れて何より」
組頭の言葉に同意し、私ももう見えなくなってしまった森の奥に視線を向けた。
組頭に目を向けると、やはり名前さんの首を持ったまま。
「???」
頭に浮かんだ疑問符は消えないが、大事なのは目の前に彼女が立っているという事実。
「早く、こっち。尊奈門は彼女を背負って」
組頭に急かされて、背中に飛び乗った名前さんを落とさないように慌てて抱えてついていく。
途中で陣内さんとすれ違った。
「無事に帰るんだぞ」
「ありがとうございます」
たった一言のやりとりだが、この状況が仕組まれたものだとすぐに理解できた。
「殿!状況報告に参りました」
「陣内が時間稼ぎしている間に行こう」
陣内さんが殿の部屋へ消えていくのを遠目に見届けて、私達は再び駆け出した。
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もうすぐみんなに会える。
私は尊奈門さんの背中に乗りながら胸が逸った。
途中、事情を知ってるタソガレドキ忍軍の人達から「元気でな!」「忍術学園に会いに行くからな!」と声を掛けてもらい、私も「ありがとうございました」と頭を下げた。
森の中を駆け抜けて、喧騒が遠のいたところで、前を行く雑渡さんの足が止まった。
「着いたよ」
私は尊奈門さんの背中から顔を覗かせると、そこにはあのとき泣く泣く別れた四人が立っていた。
「名前さん」
聞き慣れた自分の名前なのに、物凄く特別なものに感じた。
「みんな…」
尊奈門さんに降ろしてもらった私は、みんなの元へ駆け寄った。
「ただいま」
泣きそうな
「作戦は成功したってことでいいのかな?」
土井先生が雑渡さんに尋ねた。
「まぁ、概ね。死んだことになってるから、事実上うちの城出禁になっちゃったけど」
自作自演の大掛かりな死亡偽装。
黄昏甚兵衛に見つからないようにこれからは生きないといけないと思うと少し窮屈にはなるが、彼も私も町に頻繁に行く生活ではないため、ばったり会うことは確率的に低いだろう。
「迷惑かけてごめんね」
雑渡さんに謝られたが、私は首を横に振った。
「学園に帰りたかったけど、タソガレドキ忍軍の方達と過ごした時間は楽しかったです」
にこり、と笑うと雑渡さんは私の頭を撫でた。
「私も君といると心休まる時間を過ごせた。尊奈門関係なく、また会いに行くよ」
「美味しいお茶ご用意しますね」
私は次に尊奈門さんの前に立った。
「尊奈門さん、色々ありがとうございました」
「私は、何も……」
ただ、ただ、無事でよかった……と涙声で言ってくれた。
「また会いたいので、土井先生に勝負挑みにきてください」
土井先生は「勘弁してくれ」と言っているが、その顔は本心では無さそうだった。
「なら、明日行きます」
「来なくていい」
土井先生と尊奈門さんは意外といいペアだと思う。
ふふ、と笑うとそれまで傍観していた利吉さんが口を開いた。
「もうそろそろ」
「はい、すみません」
あれだけ帰りたかったが、いざ帰れるとなると雑渡さんと尊奈門さんにさよならするのが名残惜しい。
「では、お元気で」
「名前さんも」
二人に手を振り、私は土井先生の背中に身体を預けた。
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名前さん達の気配が感じられなくなったので、私は組頭の方を向いた。
「組頭、人が悪いですよ。どうして教えてくれなかったんですか」
「先に教えてたら、殿に気付かれるかもしれないでしょ」
騙すなら味方からって言うでしょ、という組頭に、自分以外の人達は知っていたみたいだったし、そもそも騙す本命も味方だし・・・と言いたい文句は全て胸の中にしまっておいた。
「でも、あの首…いつの間に用意したんですか」
「忍術学園の作法委員会が生首フィギュア作ってるからね。彼女のものを依頼したんだ」
「時が来たら……ってまさか」
「うん、生首が出来上がったらって意味」
はぁーと私は大きな溜息を吐いた。
「じゃあ、あの血は…?臭いが本物だったんですけど」
「本物の血を溜め込んで、フィギュアの中に隠して、濾過して垂れてくるようにしたんだよ」
戦なんてそこら中で起こってるから血なんて簡単に集まる、なんて言われて「うへぇ…」と苦虫を潰した表情になった。
「ま、無事に帰れて何より」
組頭の言葉に同意し、私ももう見えなくなってしまった森の奥に視線を向けた。
