【3章】フォーリンラブin室町
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そしてなんと。
あれから一週間もの月日が流れた。
帰ろうとするたびに「あと一日ぐらいよいではないか」と言いくるめられている。
そして、やはりお相手は殿様、私は妻候補ということもあり物凄く贅沢な暮らしをさせてもらっている。
女中さん的な人…はいないので、主に諸泉さんが私の身の回りの世話をしてくれている。
「でも、さすがにもうそろそろ帰りたいです」
何も持っていなかった私に、化粧品、小袖など身体は一つしかないのに沢山用意してくれた。
どれだけ贅沢な生活を提供されても、忍術学園に帰りたいという気持ちは変わらない。
尊奈門さん(名前で呼べるほどの仲になれたのは嬉しい)に懇願しても、困ったように眉を寄せるだけだった。
「組頭が殿を説得してくれているのですが……」
「どうしてそんなに私に拘るの…」
「それはやはり南蛮の知識があるから…」
どうしよう。
ぜーんぶ嘘です!南蛮人じゃないです!って言ってみる?
いやいや、ムリ…。
腹の底で何を考えているのかよくわからない不気味さが黄昏甚兵衛にはあった。
「ねぇ!!なんとかしてよー。尊奈門さん!」
両肩を掴んでガクガクと前後に揺らせば、抵抗せずに彼は前後に揺られた。
「そうしたいのは山々なのですが…私にはどうすることも…」
「帰りたい……」
こっちに来てから初めてふわふわな布団で寝た。
でも、今の私はペラペラな布団が恋しかった。
「帰りたいよ…」
尊奈門さんは苦々しく「名前さん…」と私の名前を呟いた。
********************
今、私は伊作と仙蔵、そして利吉くんとタソガレドキ城が見える森の中に身を隠している。
「なんで学園はタソガレドキ城に名前さんを行かせたんですかっ!」
声量は抑えているが、怒りを堪えきれていない利吉くんが私に突っかかってきた。
「まさかこんなことになるなんて思わなかったんだ」
「嘘ですね。一抹の不安ぐらいはあったんじゃないですか」
利吉くんの言う通りだった。
こうなる可能性があるから行かせたくなかったのだ。
「こうなったら我々で助け出すしかありません」
仙蔵が宝禄火矢を両手に構えている。
「名前さん……大丈夫かな。辛い目にあってないかな」
伊作は名前さんから貰ったというお守りをギュッと握りしめた。
遡ること数刻前。
庵では名前さんが帰ってこないことに対する会議が開かれていた。
「あと一日、あと一日と……もう一週間も経ってます!!助けに行きましょう」
「ですが、雑渡昆奈門の話では、客人として丁重にもてなしていると」
「そんなのこの目で見たわけじゃないのに分からないですよ!」
「丁重にもてなされすぎて、名前さん自身、帰りたくなくなってるかもしれないですよ」
安藤先生はそう言ったが、名前さんが金品に目が眩むとは思えなかった。
「せめて、名前さんに会って話がしたい!彼女が残りたいと言うなら身を引きますが」
学園長は腕組して、判断に悩んでいた。
「うーむ…。あの城主に睨まれるのは遠慮したいが…名前ちゃんのことも気になるし…」
早く決断してくれ、と心の中で思っていると、庵の襖がスパーンと開かれた。
「私が行って参ります!」
「利吉くん!」
利吉くんは忍務帰りなのか、少し硝煙の匂いがした。
「名前さんの姿が見えないと思ったら…。事情は小松田くんに聞きました。すぐに私が偵察に行って参ります」
「それは頼もしい。では名前さんの様子を見てきてくれるか。危険な目に遭っていなければ、一度引いて戻ってきてほしい」
「承知しました」
利吉くんは、颯爽と踵を返して去って行った。
「さて、土井先生には今しがた彼を追いかけていった善法寺伊作と立花仙蔵の見守りを忍務として与えようかの」
私はすぐに立ち上がり、学園長命令に従って彼らを追いかけた。
あれから一週間もの月日が流れた。
帰ろうとするたびに「あと一日ぐらいよいではないか」と言いくるめられている。
そして、やはりお相手は殿様、私は妻候補ということもあり物凄く贅沢な暮らしをさせてもらっている。
女中さん的な人…はいないので、主に諸泉さんが私の身の回りの世話をしてくれている。
「でも、さすがにもうそろそろ帰りたいです」
何も持っていなかった私に、化粧品、小袖など身体は一つしかないのに沢山用意してくれた。
どれだけ贅沢な生活を提供されても、忍術学園に帰りたいという気持ちは変わらない。
尊奈門さん(名前で呼べるほどの仲になれたのは嬉しい)に懇願しても、困ったように眉を寄せるだけだった。
「組頭が殿を説得してくれているのですが……」
「どうしてそんなに私に拘るの…」
「それはやはり南蛮の知識があるから…」
どうしよう。
ぜーんぶ嘘です!南蛮人じゃないです!って言ってみる?
いやいや、ムリ…。
腹の底で何を考えているのかよくわからない不気味さが黄昏甚兵衛にはあった。
「ねぇ!!なんとかしてよー。尊奈門さん!」
両肩を掴んでガクガクと前後に揺らせば、抵抗せずに彼は前後に揺られた。
「そうしたいのは山々なのですが…私にはどうすることも…」
「帰りたい……」
こっちに来てから初めてふわふわな布団で寝た。
でも、今の私はペラペラな布団が恋しかった。
「帰りたいよ…」
尊奈門さんは苦々しく「名前さん…」と私の名前を呟いた。
********************
今、私は伊作と仙蔵、そして利吉くんとタソガレドキ城が見える森の中に身を隠している。
「なんで学園はタソガレドキ城に名前さんを行かせたんですかっ!」
声量は抑えているが、怒りを堪えきれていない利吉くんが私に突っかかってきた。
「まさかこんなことになるなんて思わなかったんだ」
「嘘ですね。一抹の不安ぐらいはあったんじゃないですか」
利吉くんの言う通りだった。
こうなる可能性があるから行かせたくなかったのだ。
「こうなったら我々で助け出すしかありません」
仙蔵が宝禄火矢を両手に構えている。
「名前さん……大丈夫かな。辛い目にあってないかな」
伊作は名前さんから貰ったというお守りをギュッと握りしめた。
遡ること数刻前。
庵では名前さんが帰ってこないことに対する会議が開かれていた。
「あと一日、あと一日と……もう一週間も経ってます!!助けに行きましょう」
「ですが、雑渡昆奈門の話では、客人として丁重にもてなしていると」
「そんなのこの目で見たわけじゃないのに分からないですよ!」
「丁重にもてなされすぎて、名前さん自身、帰りたくなくなってるかもしれないですよ」
安藤先生はそう言ったが、名前さんが金品に目が眩むとは思えなかった。
「せめて、名前さんに会って話がしたい!彼女が残りたいと言うなら身を引きますが」
学園長は腕組して、判断に悩んでいた。
「うーむ…。あの城主に睨まれるのは遠慮したいが…名前ちゃんのことも気になるし…」
早く決断してくれ、と心の中で思っていると、庵の襖がスパーンと開かれた。
「私が行って参ります!」
「利吉くん!」
利吉くんは忍務帰りなのか、少し硝煙の匂いがした。
「名前さんの姿が見えないと思ったら…。事情は小松田くんに聞きました。すぐに私が偵察に行って参ります」
「それは頼もしい。では名前さんの様子を見てきてくれるか。危険な目に遭っていなければ、一度引いて戻ってきてほしい」
「承知しました」
利吉くんは、颯爽と踵を返して去って行った。
「さて、土井先生には今しがた彼を追いかけていった善法寺伊作と立花仙蔵の見守りを忍務として与えようかの」
私はすぐに立ち上がり、学園長命令に従って彼らを追いかけた。
