【3章】フォーリンラブin室町
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僕は、仙蔵と名前さんが売り込みに行った後、きり丸と露店に立って来たお客さん達を捌いていた。
きり丸が呼び込みを行っているので、僕は会計担当。
大量に編んだ追加のミサンガ達は続々と売れて行った。
「私、この色がいいなぁ」
「私はこっちにしようかしら」
女性が手に取ったのは僕が編んだやつで、それらが売れて行くたびに嬉しい気持ちと子供が巣立つような少し寂しい気持ちが交差した。
僕は売りながら、名前さんと一緒にミサンガを編んだ時間を思い出した。
遡ること数日前。
「伊作くん、手伝ってくれてありがとう」
「いいえ。力になれて嬉しいです」
最初は一本仕上げるのに時間がかかったミサンガも、今では手元を見ずとも編めるまでに成長した。
「次も売れたらいいなぁ」
「売れますよ!前回飛ぶように売れたので」
土井先生との触れ込みが功を奏したことは嬉しかったけど、僕も名前さんと町を歩きたかったなぁ・・・なんて思った。
訪ねてくるお客さんが「美男美女の恋仲に教えてもらった」と言っていて、ああ名前さんと土井先生のことだなとすぐに分かった。
二人が町へ歩いていく後ろ姿はとてもお似合いだった。
「名前さん・・・」
「何?」
「えっ、あ・・・名前さんって何色が好きなんですか?」
呼ぶつもりはなかったのに、無意識に名前が口から漏れてしまって慌てて取り繕った。
「うーん・・・結構なんでも好きだよ。しいていうなら暗いより明るい色の方が好きかなぁ?」
できれば名前さんにもミサンガを渡したいと思っていた。
名前さんの好きな色で作ろうと思ったけど、結構範囲が広めだったので名前さんに似合う色で選ぶことにしよう。
「(うーん・・・)」
床に散らばった色とりどりの糸に目を配る。
「(これにしよう・・・)」
僕は白を手に取った。
名前さんを初めて見た時、白雪のような人だと思ったから。
でも、白だけで作ると、肌の色が白い名前さんには同系色すぎて似合わないかもしれない。
もう一色混ぜようと思って、再び糸に目を通す。
僕はえんじ色を手に取った。
以前名前さんが「伊作くんはえんじ色が似合うね」と言ってくれたから。
僕と名前さんの色。
僕の中の勝手なイメージだけど。
名前さんがくノ一の子達に言っていたように、離れていてもずっと一緒に居られる気がした。
僕は名前さんに気付かれないように、手早くそれを編みこむと、懐に入れた。
名前さんのことだから絶対喜んでくれると分かっていたけれど。
それでも実際にその瞬間の笑顔を見た時は、想像以上に僕の心を明るく照らしてくれた。
*******************
最近、私が仕えている城の主の機嫌があまり良くない。
「ふーむ・・・。ここ最近戦という戦が無くてつまらんが・・・」
タソガレソキ城主、黄昏甚兵衛様はため息を吐かれた。
戦が無いことは良いことだと思うとは口が裂けても言えない。
しかし、ため息を吐いた次には口元の髭を触ってどこか愉快そうな表情を浮かべた。
「面白い話を耳にしてな。尊奈門、知っておるか?町で南蛮の商品が出回っていることを」
「いえ・・・知りませんでした」
隣に私と共に控えている組頭に目配せすると、包帯の隙間から見える目が細まった。
「なんでも少し前は脱水機、今はミサンガというものが出回っているらしい」
「へぇ・・・」
ここ最近、休みが無かったので知らなかった。
「あ、もしかして、それですか?」
殿の隣に不自然に鎮座している桶のような物が気にはなっていたのだ。
「そうだ。そしてこれを売り込んでいたのは忍術学園の者らしい」
「そ、そうなんですか」
「しかし、おかしいとは思わないか。忍術学園がなぜ今いきなり南蛮の物を売り始める?南蛮に精通した者などあそこにはおらぬはず・・・」
そこで私はハッとした。
脳裏に名前さんの姿が過る。
「誰か南蛮に精通した者が最近居るのかもしれぬ。是非とも話がしてみたい」
「えっと・・・」
「尊奈門、お主はよく忍術学園に出入りしているな。知らぬか?」
私は勢いよく首を横に振った。
「そ、そのような人は居なかったように思います!」
「そうか。ではこの目で確かめるとしよう」
「え!?」
殿はピラピラと紙を指先で摘まんだ。
それは忍術学園運動会の招待状だった。
きり丸が呼び込みを行っているので、僕は会計担当。
大量に編んだ追加のミサンガ達は続々と売れて行った。
「私、この色がいいなぁ」
「私はこっちにしようかしら」
女性が手に取ったのは僕が編んだやつで、それらが売れて行くたびに嬉しい気持ちと子供が巣立つような少し寂しい気持ちが交差した。
僕は売りながら、名前さんと一緒にミサンガを編んだ時間を思い出した。
遡ること数日前。
「伊作くん、手伝ってくれてありがとう」
「いいえ。力になれて嬉しいです」
最初は一本仕上げるのに時間がかかったミサンガも、今では手元を見ずとも編めるまでに成長した。
「次も売れたらいいなぁ」
「売れますよ!前回飛ぶように売れたので」
土井先生との触れ込みが功を奏したことは嬉しかったけど、僕も名前さんと町を歩きたかったなぁ・・・なんて思った。
訪ねてくるお客さんが「美男美女の恋仲に教えてもらった」と言っていて、ああ名前さんと土井先生のことだなとすぐに分かった。
二人が町へ歩いていく後ろ姿はとてもお似合いだった。
「名前さん・・・」
「何?」
「えっ、あ・・・名前さんって何色が好きなんですか?」
呼ぶつもりはなかったのに、無意識に名前が口から漏れてしまって慌てて取り繕った。
「うーん・・・結構なんでも好きだよ。しいていうなら暗いより明るい色の方が好きかなぁ?」
できれば名前さんにもミサンガを渡したいと思っていた。
名前さんの好きな色で作ろうと思ったけど、結構範囲が広めだったので名前さんに似合う色で選ぶことにしよう。
「(うーん・・・)」
床に散らばった色とりどりの糸に目を配る。
「(これにしよう・・・)」
僕は白を手に取った。
名前さんを初めて見た時、白雪のような人だと思ったから。
でも、白だけで作ると、肌の色が白い名前さんには同系色すぎて似合わないかもしれない。
もう一色混ぜようと思って、再び糸に目を通す。
僕はえんじ色を手に取った。
以前名前さんが「伊作くんはえんじ色が似合うね」と言ってくれたから。
僕と名前さんの色。
僕の中の勝手なイメージだけど。
名前さんがくノ一の子達に言っていたように、離れていてもずっと一緒に居られる気がした。
僕は名前さんに気付かれないように、手早くそれを編みこむと、懐に入れた。
名前さんのことだから絶対喜んでくれると分かっていたけれど。
それでも実際にその瞬間の笑顔を見た時は、想像以上に僕の心を明るく照らしてくれた。
*******************
最近、私が仕えている城の主の機嫌があまり良くない。
「ふーむ・・・。ここ最近戦という戦が無くてつまらんが・・・」
タソガレソキ城主、黄昏甚兵衛様はため息を吐かれた。
戦が無いことは良いことだと思うとは口が裂けても言えない。
しかし、ため息を吐いた次には口元の髭を触ってどこか愉快そうな表情を浮かべた。
「面白い話を耳にしてな。尊奈門、知っておるか?町で南蛮の商品が出回っていることを」
「いえ・・・知りませんでした」
隣に私と共に控えている組頭に目配せすると、包帯の隙間から見える目が細まった。
「なんでも少し前は脱水機、今はミサンガというものが出回っているらしい」
「へぇ・・・」
ここ最近、休みが無かったので知らなかった。
「あ、もしかして、それですか?」
殿の隣に不自然に鎮座している桶のような物が気にはなっていたのだ。
「そうだ。そしてこれを売り込んでいたのは忍術学園の者らしい」
「そ、そうなんですか」
「しかし、おかしいとは思わないか。忍術学園がなぜ今いきなり南蛮の物を売り始める?南蛮に精通した者などあそこにはおらぬはず・・・」
そこで私はハッとした。
脳裏に名前さんの姿が過る。
「誰か南蛮に精通した者が最近居るのかもしれぬ。是非とも話がしてみたい」
「えっと・・・」
「尊奈門、お主はよく忍術学園に出入りしているな。知らぬか?」
私は勢いよく首を横に振った。
「そ、そのような人は居なかったように思います!」
「そうか。ではこの目で確かめるとしよう」
「え!?」
殿はピラピラと紙を指先で摘まんだ。
それは忍術学園運動会の招待状だった。
