【3章】フォーリンラブin室町
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌朝。
今日は忍術学園に帰る日だ。
夜更かししたため、きり丸くんはまだ寝ていた。
「土井先生、少し散歩してきていいですか?」
しばらくここには来ないだろうから、せっかくなので周辺を見て回りたかった。
「いいけど、私もついていくよ」
「きり丸くんが起きた時に誰もいないと可哀想なので、居てください」
ほんとちょっとその辺歩くだけです、と言ったが土井先生は心配そうな顔をしていた。
四半刻経っても戻ってこなかったら探してください、と約束して外に出た。
「ん〜」
伸びをして朝日を浴びた。
とぼとぼ歩いていると、早い人はもう洗濯物を始めていた。
「おはようございます」
挨拶をしたら、しゃがんでいた御婦人はぺこりと頭を下げて返してくれた。
歩きながら櫛と簪が頭に挿さっていることを時折確認しては、再び私の手に戻ってきたのだと実感した。
「おはようございます」
土手を歩いていたら、後ろから声を掛けられた。
「あ……おはようございます」
ドブ掃除をしていた時に知り合った男性。
別に彼に何をされたわけじゃないのだけれど、きっとこの人と二人で居たら土井先生にいらぬ心配を掛けてしまうから、あまり二人で居るべきではないのではと思っている。
「いつまでこちらにいらっしゃるんですか?」
「実は今日、発つんです」
「そうなんですか…」
彼は残念そうに眉を下げた。
「次、こちらにいらしたとき、よければきり丸くんも一緒にお食事でもどうですか?」
「ごめんなさい」
そこに土井先生が含まれていない時点で彼の意図は透けて見えた。
「男性と食事をしたら半助さんが心配してしまうので」
「好きなんですか?彼のこと・・・」
「まだ、よく分からないです。でも・・・気になってます。異性として」
「あの・・・」
「私、気が多い女なんです。はっきりと好きと言えないのは、他にも三人気になっている人がいて」
「ええ!?」
「私の周り、男前が多いんです」
ケタケタと笑えば、男性は諦めたように苦笑した。
「それは・・・心の中が忙しいですね」
「ええ。毎日ドキドキしてます」
しかもその内の一人からははっきりと好意を伝えられている。
私の返事次第では恋仲になれるのだ。
気になる人が多数同時に存在している自分を受け入れ難かったが、もういっそ開き直ってやろうと思った。
だって仕方ないじゃないか。
皆格好いいんだもん。
見た目も、中身も。
男性に別れを告げようとしたとき、前方から人が走って来た。
「ちょっと!」
背中側から声を掛けられ、男性も振り向いた。
「あんた、うちに忍び込んだの!?」
「何のことですか?」
「だってその櫛と簪!!」
女は私の髪についている櫛と簪を指差した。
「ああ。土手をもう一度よく探したら、落ちてました。疑ってごめんなさい」
「はあ!?」
そんなことあるわけない、と女自身よく分かっているだろう。
しかし口にできない事情が彼女にはあった。
「これが貴方の物っていう証拠は?名前でも書いていますか?」
これでは結局地主を怒らせてしまうかもしれない。
しかし私はまだ内心怒っているのだ。
悔しそうに拳を握りしめている彼女と、事情を知らず困惑している男性に会釈をして、その場を後にした。
今日は忍術学園に帰る日だ。
夜更かししたため、きり丸くんはまだ寝ていた。
「土井先生、少し散歩してきていいですか?」
しばらくここには来ないだろうから、せっかくなので周辺を見て回りたかった。
「いいけど、私もついていくよ」
「きり丸くんが起きた時に誰もいないと可哀想なので、居てください」
ほんとちょっとその辺歩くだけです、と言ったが土井先生は心配そうな顔をしていた。
四半刻経っても戻ってこなかったら探してください、と約束して外に出た。
「ん〜」
伸びをして朝日を浴びた。
とぼとぼ歩いていると、早い人はもう洗濯物を始めていた。
「おはようございます」
挨拶をしたら、しゃがんでいた御婦人はぺこりと頭を下げて返してくれた。
歩きながら櫛と簪が頭に挿さっていることを時折確認しては、再び私の手に戻ってきたのだと実感した。
「おはようございます」
土手を歩いていたら、後ろから声を掛けられた。
「あ……おはようございます」
ドブ掃除をしていた時に知り合った男性。
別に彼に何をされたわけじゃないのだけれど、きっとこの人と二人で居たら土井先生にいらぬ心配を掛けてしまうから、あまり二人で居るべきではないのではと思っている。
「いつまでこちらにいらっしゃるんですか?」
「実は今日、発つんです」
「そうなんですか…」
彼は残念そうに眉を下げた。
「次、こちらにいらしたとき、よければきり丸くんも一緒にお食事でもどうですか?」
「ごめんなさい」
そこに土井先生が含まれていない時点で彼の意図は透けて見えた。
「男性と食事をしたら半助さんが心配してしまうので」
「好きなんですか?彼のこと・・・」
「まだ、よく分からないです。でも・・・気になってます。異性として」
「あの・・・」
「私、気が多い女なんです。はっきりと好きと言えないのは、他にも三人気になっている人がいて」
「ええ!?」
「私の周り、男前が多いんです」
ケタケタと笑えば、男性は諦めたように苦笑した。
「それは・・・心の中が忙しいですね」
「ええ。毎日ドキドキしてます」
しかもその内の一人からははっきりと好意を伝えられている。
私の返事次第では恋仲になれるのだ。
気になる人が多数同時に存在している自分を受け入れ難かったが、もういっそ開き直ってやろうと思った。
だって仕方ないじゃないか。
皆格好いいんだもん。
見た目も、中身も。
男性に別れを告げようとしたとき、前方から人が走って来た。
「ちょっと!」
背中側から声を掛けられ、男性も振り向いた。
「あんた、うちに忍び込んだの!?」
「何のことですか?」
「だってその櫛と簪!!」
女は私の髪についている櫛と簪を指差した。
「ああ。土手をもう一度よく探したら、落ちてました。疑ってごめんなさい」
「はあ!?」
そんなことあるわけない、と女自身よく分かっているだろう。
しかし口にできない事情が彼女にはあった。
「これが貴方の物っていう証拠は?名前でも書いていますか?」
これでは結局地主を怒らせてしまうかもしれない。
しかし私はまだ内心怒っているのだ。
悔しそうに拳を握りしめている彼女と、事情を知らず困惑している男性に会釈をして、その場を後にした。
