【1章】さよなら令和、ようこそ室町
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しくじった!!!
つい呟いてしまった独り言をしっかり拾い上げられてしまった。
「時の数え方を覚えているんですよね…?」
私は観念して小さく頷いた。
「私の記憶では…一日を二十四分割して…」
とりあえず私の常識を伝えてみた。
一通り説明し終えると、土井先生は口元に手を当てて驚きの表情を浮かべていた。
「随分細かく設定されているのですね。こちらとはまるで異なるので、やはり南蛮から来られた方という見立てが濃厚か…」
また南蛮説が勝手に有力化されてしまった。
「あの、南蛮の方によく会ったりしますか?」
「いえ。滅多に」
私は胸をなでおろした。
南蛮の人に尋ねられたら終わる。
嘘ついてるとはっきりバレる。
「でも南蛮の方はもっと見た目からして我々と違うので、不思議なんですよね」
疑われているのだろうか…。
「言語も南蛮人はもっと訛ってるし」
次々に指摘される南蛮人とは違う点。
ひぃっと冷や汗が背中を伝う。
「私の考えでは南蛮人ではないと思うんです」
「正直、私もそう思います…」
やはり南蛮人を押し通すのは無理がある気がするので、あくまで記憶は曖昧だが…というニュアンスを含めて土井先生の意見を肯定した。
「もしかしたら南蛮の知識を持っている大名の娘なのかも」
お、おお。
ここで土井先生が新たな説を浮上させた。
まぁ、間違ってるんですけどね。
「例えば、大名の娘は勢力拡大のために利のある相手に嫁がされる場合が多いので、嫁ぎ先から逃げてきたのでは…というのが私の見立てです。あの衣は南蛮貿易にて仕入れたのではないでしょうか。大名の娘なら可能だと思います」
「でも、大名の娘ならもっと教養が備わっているのでは…?時の読み方さえ分かっていなかったんですよ?」
「それはほら、記憶が混濁してるから。逆に覚えている時の刻み方は南蛮の知識なのでは?」
全然違うんだけど、一見辻褄が合ってるように聞こえる不思議。
「…って。貴方の話なのに私が決めつけるのもおかしな話ですね」
「私は他人事のように聞いて納得してしまってました」
顔を見合わせてクスクス笑い合った。
***********************
本当に不思議な人だ。
無知なのかと思いきや、私でも知らない知識を披露された。
陶器のように滑らかな肌質から身分が高いと推測されるが、話している雰囲気からはいい意味で高貴さが感じられない。
手を握ったとき、間者なら咄嗟に反応するかと思ったが、きょとんと目を丸くするだけでまるで隙だらけだ。
その一方、何かを隠してる様子も見られた。
というか、名前さんはあまりにも嘘が下手だ。
下手すぎて笑い出しそうになった。
新野先生が戻るまでの四半時で出した私の結論。
おそらく彼女は何かを隠している。
間者ではないが、姫でも無さそうだな…。
害は無さそうなので、このままここに滞在しても問題ないだろう。
むしろ私自身、名前さんが何者なのか気になってしまった。
つい呟いてしまった独り言をしっかり拾い上げられてしまった。
「時の数え方を覚えているんですよね…?」
私は観念して小さく頷いた。
「私の記憶では…一日を二十四分割して…」
とりあえず私の常識を伝えてみた。
一通り説明し終えると、土井先生は口元に手を当てて驚きの表情を浮かべていた。
「随分細かく設定されているのですね。こちらとはまるで異なるので、やはり南蛮から来られた方という見立てが濃厚か…」
また南蛮説が勝手に有力化されてしまった。
「あの、南蛮の方によく会ったりしますか?」
「いえ。滅多に」
私は胸をなでおろした。
南蛮の人に尋ねられたら終わる。
嘘ついてるとはっきりバレる。
「でも南蛮の方はもっと見た目からして我々と違うので、不思議なんですよね」
疑われているのだろうか…。
「言語も南蛮人はもっと訛ってるし」
次々に指摘される南蛮人とは違う点。
ひぃっと冷や汗が背中を伝う。
「私の考えでは南蛮人ではないと思うんです」
「正直、私もそう思います…」
やはり南蛮人を押し通すのは無理がある気がするので、あくまで記憶は曖昧だが…というニュアンスを含めて土井先生の意見を肯定した。
「もしかしたら南蛮の知識を持っている大名の娘なのかも」
お、おお。
ここで土井先生が新たな説を浮上させた。
まぁ、間違ってるんですけどね。
「例えば、大名の娘は勢力拡大のために利のある相手に嫁がされる場合が多いので、嫁ぎ先から逃げてきたのでは…というのが私の見立てです。あの衣は南蛮貿易にて仕入れたのではないでしょうか。大名の娘なら可能だと思います」
「でも、大名の娘ならもっと教養が備わっているのでは…?時の読み方さえ分かっていなかったんですよ?」
「それはほら、記憶が混濁してるから。逆に覚えている時の刻み方は南蛮の知識なのでは?」
全然違うんだけど、一見辻褄が合ってるように聞こえる不思議。
「…って。貴方の話なのに私が決めつけるのもおかしな話ですね」
「私は他人事のように聞いて納得してしまってました」
顔を見合わせてクスクス笑い合った。
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本当に不思議な人だ。
無知なのかと思いきや、私でも知らない知識を披露された。
陶器のように滑らかな肌質から身分が高いと推測されるが、話している雰囲気からはいい意味で高貴さが感じられない。
手を握ったとき、間者なら咄嗟に反応するかと思ったが、きょとんと目を丸くするだけでまるで隙だらけだ。
その一方、何かを隠してる様子も見られた。
というか、名前さんはあまりにも嘘が下手だ。
下手すぎて笑い出しそうになった。
新野先生が戻るまでの四半時で出した私の結論。
おそらく彼女は何かを隠している。
間者ではないが、姫でも無さそうだな…。
害は無さそうなので、このままここに滞在しても問題ないだろう。
むしろ私自身、名前さんが何者なのか気になってしまった。
