【3章】フォーリンラブin室町
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ドブ掃除が終わって、帰る準備をしていた時、大家さんが土井先生の傍に寄ってきた。
「半助、困るよ。あの子のことあまり無碍にしないでやってくれ」
「そう言われましても…」
「あそこの主人とは商売付き合いがあるから」
「って言われてもねぇ…」
土井先生は困った様子で髪をガシガシ掻いた。
「一層のことあの子の婿になるとか!逆玉だぞ!」
「嫌です……」
「せめて当たり障りなく頼むぞ」
「はあ…」
土井先生大変そうだなぁ…と他人事のように(実際他人事だが)眺めた。
「さあ、帰ろうか」
話終わった土井先生が私ときり丸くんに声をかけた。
「あっ、ちょっと待ってください」
私はドブに落としたらダメだと思って外しておいた櫛と簪を置いた場所に向かった。
「あれ…?」
絶対置いた場所を忘れないように目印をつけておいたのに。
目印はあるのに肝心の櫛と簪が無い。
「え、うそ…」
風で飛ばされたかと思い、辺りを探したが見つからない。
顔から血の気が引いていく。
「名前さん?」
きり丸くんが不思議そうに私に尋ねた。
「ごめんなさい。二人とも先に帰っててくれますか?」
こんな言い方で二人は素直に帰ってくれるはずもなく。
櫛と簪が無いことを話したら一緒に探してくれた。
「置いたのはここで間違いないんだよね?」
「はい。目印も動いてないので」
「今日、無風で晴天なのに飛んでいきますかね?」
きり丸くんの指摘は最もだった。
「盗られた可能性の方が高そうだな…」
「えっ…」
土井先生の言葉にドキリとした。
盗られた…?
「名前さん、ダメっすよー。大事な物は肌身離さず持ってなきゃ」
「そう…だよね」
私、馬鹿だ。
室町の治安は現代ほど良くないって分かってたのに。
本当はもっと探したかったけど、きり丸くんがお腹を空かせているし、私が残りたいって言ったら二人とも付き合ってくれるのが分かっていたから、諦めるしかなかった。
そして夜。
どうしても諦めきれない私は二人が寝たのを確認してからそっと外に出た。
月明かりと手持ちの蝋燭の灯りを頼りに失くした場所の周辺を探した。
もしかしたら誰かが蹴って飛んでっちゃったのかもしれないし。
無風だと思ってたけど、実はちょっと風吹いた瞬間があったのかもしれないし。
そもそも私が置いた場所を勘違いしているかもしれない。
暗くてよく見えない中、手探りで探した。
でも、どれだけ探してもやっぱり見つからなかった。
「(明日の昼間、もう一回来てみよう…)」
だけど、あともう少しだけ…。
もう少し…。
もう少し…。
「名前さん!!」
土井先生の声が聞こえて顔を上げた。
「何してるんだ!」
手首を掴まれた。
「あっ…ごめんなさい。やっぱり諦めきれなくて…」
「黙って出ていくなんて!心配したじゃないか」
ギュッと背中に腕を回して抱き締められた。
「無事でよかった…」
「無事じゃないです…」
我慢していた涙が溢れた。
「伊作くんとくのたまちゃん達がくれた宝物を失くしちゃったんです。全然無事じゃないです……」
始めから土井先生の家に置いておけばよかった。
落とすリスクがあっても、きり丸くんが言う通り外すべきじゃなかった。
自分の行動を責めた。
「明日、また一緒に探そう。今日はもう帰ろう」
土井先生に諭されて、後ろ髪引かれる思いで長屋に戻った。
「半助、困るよ。あの子のことあまり無碍にしないでやってくれ」
「そう言われましても…」
「あそこの主人とは商売付き合いがあるから」
「って言われてもねぇ…」
土井先生は困った様子で髪をガシガシ掻いた。
「一層のことあの子の婿になるとか!逆玉だぞ!」
「嫌です……」
「せめて当たり障りなく頼むぞ」
「はあ…」
土井先生大変そうだなぁ…と他人事のように(実際他人事だが)眺めた。
「さあ、帰ろうか」
話終わった土井先生が私ときり丸くんに声をかけた。
「あっ、ちょっと待ってください」
私はドブに落としたらダメだと思って外しておいた櫛と簪を置いた場所に向かった。
「あれ…?」
絶対置いた場所を忘れないように目印をつけておいたのに。
目印はあるのに肝心の櫛と簪が無い。
「え、うそ…」
風で飛ばされたかと思い、辺りを探したが見つからない。
顔から血の気が引いていく。
「名前さん?」
きり丸くんが不思議そうに私に尋ねた。
「ごめんなさい。二人とも先に帰っててくれますか?」
こんな言い方で二人は素直に帰ってくれるはずもなく。
櫛と簪が無いことを話したら一緒に探してくれた。
「置いたのはここで間違いないんだよね?」
「はい。目印も動いてないので」
「今日、無風で晴天なのに飛んでいきますかね?」
きり丸くんの指摘は最もだった。
「盗られた可能性の方が高そうだな…」
「えっ…」
土井先生の言葉にドキリとした。
盗られた…?
「名前さん、ダメっすよー。大事な物は肌身離さず持ってなきゃ」
「そう…だよね」
私、馬鹿だ。
室町の治安は現代ほど良くないって分かってたのに。
本当はもっと探したかったけど、きり丸くんがお腹を空かせているし、私が残りたいって言ったら二人とも付き合ってくれるのが分かっていたから、諦めるしかなかった。
そして夜。
どうしても諦めきれない私は二人が寝たのを確認してからそっと外に出た。
月明かりと手持ちの蝋燭の灯りを頼りに失くした場所の周辺を探した。
もしかしたら誰かが蹴って飛んでっちゃったのかもしれないし。
無風だと思ってたけど、実はちょっと風吹いた瞬間があったのかもしれないし。
そもそも私が置いた場所を勘違いしているかもしれない。
暗くてよく見えない中、手探りで探した。
でも、どれだけ探してもやっぱり見つからなかった。
「(明日の昼間、もう一回来てみよう…)」
だけど、あともう少しだけ…。
もう少し…。
もう少し…。
「名前さん!!」
土井先生の声が聞こえて顔を上げた。
「何してるんだ!」
手首を掴まれた。
「あっ…ごめんなさい。やっぱり諦めきれなくて…」
「黙って出ていくなんて!心配したじゃないか」
ギュッと背中に腕を回して抱き締められた。
「無事でよかった…」
「無事じゃないです…」
我慢していた涙が溢れた。
「伊作くんとくのたまちゃん達がくれた宝物を失くしちゃったんです。全然無事じゃないです……」
始めから土井先生の家に置いておけばよかった。
落とすリスクがあっても、きり丸くんが言う通り外すべきじゃなかった。
自分の行動を責めた。
「明日、また一緒に探そう。今日はもう帰ろう」
土井先生に諭されて、後ろ髪引かれる思いで長屋に戻った。
