【3章】フォーリンラブin室町
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「名前さん、どうしたんっすかね…」
「そうだな…」
山田先生の家みたいに客間がうちには無い。
私の私室を片付けて名前さんに使ってもらうことにした。
だが、就寝してしばらくすると名前さんが足音を立てないように気をつけながら外へ出ていった。
厠に行ったのだろう。
しばらくすると玄関先に気配を感じたので、戻ってきたのがわかった。
しかし、玄関先で足を止めて入ってくる様子がない。
そして再び足音が遠ざかった。
「もしかして、腹壊しちゃったのかな…」
「きり丸…」
名前さんの様子を気にしていたので、言い忘れる前にと思い、イナゴが彼女は苦手であるということを伝えた。
「そうだったんすか。悪いことしたな…」
「きり丸のせいじゃない。きり丸が悲しむと名前さんも悲しむから」
この件は誰が悪いということではない。
だが、なかなか帰ってこない彼女の体調が心配だ。
我々と違って繊細そうなお腹してそうだしな。
「私が様子見てくるから、きり丸は寝ていなさい」
とはいえ、厠で出待ちなどしたら不審者扱いされかねないので、再び玄関まで戻ってきたらにしよう。
しばらくは気にしていたきり丸も、動き続けた疲労から瞼は落ちていった。
*******************
私は厠と玄関先を行ったり来たりしていた。
「(ど、どうしよう…)」
今再び玄関先についた。
もうそろそろ戻らないと。
諦めて土間に足を踏み入れようとした時、目の前に人が立っていた。
「ど、土井先生…」
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込まれた。
「起こしちゃってごめんなさい…」
「それはいいんだ。体調悪い?」
「い、いえ…。そうじゃないんです…」
正直に話すか悩んだ。
でもこんな理由でウロウロしてるなんて恥ずかしい。
いい言い訳を考えていると、私のお腹が「きゅるるるる〜〜〜」と情けない音を出した。
「ご、ごめんなさい…」
もー!!
私のお腹空気読まなさすぎっ!
顔から火が出るかと思うほど恥ずかしかった。
仮にも気になってる男性にお腹の音聞かれるなんて。
イナゴを食べられなかったので、消化のいい炭水化物だけになってしまい、朝まで空腹がもたなかった。
「おやすみなさい…」
お腹が鳴る音聞かれるのが嫌で、厠と玄関を往復して気を紛らわしていたのだが、もう聞かれてしまったから布団を被って寝てしまおう。
土井先生の横をすり抜けようとした時、腕を掴まれた。
「夜食、食べない?」
そこから土井先生は再び火を起こして、白米を炊いてくれた。
「って、米しか今ないからおにぎりになるんだけど…」
「いえ、そんな!ごめんなさい。わざわざ…」
「私も食べたかったから」
絶対嘘だよ。
私がイナゴ食べてない分、二人に振り分けられたのだから。
「夜にこういうの食べると、いけないことしてる気分にならない?」
「なります」
それはちょっとわかる。
深夜のラーメンとか罪悪感すごいけど、心が満たされる。
二人分のおにぎりを塩を振って作った。
「おいしそう…!!」
炊きたてのごはんで作った塩おにぎり。
間違いなく美味しい。
二人で土間に腰掛けて頬張った。
「美味しいです…!」
お腹が減ってたから余計に。
二つ平らげた頃には、空腹はおさまっていた。
「ふぁっ…。お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃいました」
「ふふ…」
「え?なんで笑ったんですか?」
「は組の子達みたいだなって」
「子ども扱いしないでくださいっ」
「してないよ」
土井先生は私の頬に指を滑らせた。
「子ども扱いなんて……してない」
私が口を閉ざせば静寂に包まれた。
夜には特別な力があった。
たかがおにぎりでも、夜食に食べたら特別な物に感じる。
そして…。
土井先生は土井先生なのに。
差し込む月明かりに照らされた彼は、昼間とは違う魅力を放っていた。
そんな彼の醸し出す夜の雰囲気に、私はあてられてしまったのであった。
「そうだな…」
山田先生の家みたいに客間がうちには無い。
私の私室を片付けて名前さんに使ってもらうことにした。
だが、就寝してしばらくすると名前さんが足音を立てないように気をつけながら外へ出ていった。
厠に行ったのだろう。
しばらくすると玄関先に気配を感じたので、戻ってきたのがわかった。
しかし、玄関先で足を止めて入ってくる様子がない。
そして再び足音が遠ざかった。
「もしかして、腹壊しちゃったのかな…」
「きり丸…」
名前さんの様子を気にしていたので、言い忘れる前にと思い、イナゴが彼女は苦手であるということを伝えた。
「そうだったんすか。悪いことしたな…」
「きり丸のせいじゃない。きり丸が悲しむと名前さんも悲しむから」
この件は誰が悪いということではない。
だが、なかなか帰ってこない彼女の体調が心配だ。
我々と違って繊細そうなお腹してそうだしな。
「私が様子見てくるから、きり丸は寝ていなさい」
とはいえ、厠で出待ちなどしたら不審者扱いされかねないので、再び玄関まで戻ってきたらにしよう。
しばらくは気にしていたきり丸も、動き続けた疲労から瞼は落ちていった。
*******************
私は厠と玄関先を行ったり来たりしていた。
「(ど、どうしよう…)」
今再び玄関先についた。
もうそろそろ戻らないと。
諦めて土間に足を踏み入れようとした時、目の前に人が立っていた。
「ど、土井先生…」
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込まれた。
「起こしちゃってごめんなさい…」
「それはいいんだ。体調悪い?」
「い、いえ…。そうじゃないんです…」
正直に話すか悩んだ。
でもこんな理由でウロウロしてるなんて恥ずかしい。
いい言い訳を考えていると、私のお腹が「きゅるるるる〜〜〜」と情けない音を出した。
「ご、ごめんなさい…」
もー!!
私のお腹空気読まなさすぎっ!
顔から火が出るかと思うほど恥ずかしかった。
仮にも気になってる男性にお腹の音聞かれるなんて。
イナゴを食べられなかったので、消化のいい炭水化物だけになってしまい、朝まで空腹がもたなかった。
「おやすみなさい…」
お腹が鳴る音聞かれるのが嫌で、厠と玄関を往復して気を紛らわしていたのだが、もう聞かれてしまったから布団を被って寝てしまおう。
土井先生の横をすり抜けようとした時、腕を掴まれた。
「夜食、食べない?」
そこから土井先生は再び火を起こして、白米を炊いてくれた。
「って、米しか今ないからおにぎりになるんだけど…」
「いえ、そんな!ごめんなさい。わざわざ…」
「私も食べたかったから」
絶対嘘だよ。
私がイナゴ食べてない分、二人に振り分けられたのだから。
「夜にこういうの食べると、いけないことしてる気分にならない?」
「なります」
それはちょっとわかる。
深夜のラーメンとか罪悪感すごいけど、心が満たされる。
二人分のおにぎりを塩を振って作った。
「おいしそう…!!」
炊きたてのごはんで作った塩おにぎり。
間違いなく美味しい。
二人で土間に腰掛けて頬張った。
「美味しいです…!」
お腹が減ってたから余計に。
二つ平らげた頃には、空腹はおさまっていた。
「ふぁっ…。お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃいました」
「ふふ…」
「え?なんで笑ったんですか?」
「は組の子達みたいだなって」
「子ども扱いしないでくださいっ」
「してないよ」
土井先生は私の頬に指を滑らせた。
「子ども扱いなんて……してない」
私が口を閉ざせば静寂に包まれた。
夜には特別な力があった。
たかがおにぎりでも、夜食に食べたら特別な物に感じる。
そして…。
土井先生は土井先生なのに。
差し込む月明かりに照らされた彼は、昼間とは違う魅力を放っていた。
そんな彼の醸し出す夜の雰囲気に、私はあてられてしまったのであった。
