【3章】フォーリンラブin室町
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きり丸くんが作ってくれた夕食にイナゴが入っている問題。
まさかイナゴがこの時代の一般的な食用になっているなんて知らず。
しかし、きり丸くんが作ってくれたのに残すわけにはいかない…。
覚悟を決めて、口に入れようとしたその時、遠くの方でチャリーンと金属の音がした。
「銭ぃぃーーーー!!!!」
食事を放り出して、銭を追いかけに行ったきり丸くん。
「こら!食事中だぞ!」
土井先生の叱責がきり丸くんの背中に飛んだ。
「銭っ!銭っ!」
丸い小銭を人差し指と親指で挟んで、嬉しそうに帰ってきた。
「……あれ?」
一連の流れを見ている間に、私の御椀に入っていたイナゴが消えた。
底から掬い上げてみるが、やはりいなくなってる。
え?まさか生きてた?
いやいや、んなアホな。
土井先生を見上げると、コソッと耳打ちされた。
「イナゴが食べられないって知らなくて…。すまない」
私はブンブン首を横に振った。
「私の方こそごめんなさい。イナゴが一般的な家庭料理だと知らず…」
「一般的かどうかは微妙だな…。きり丸の節約根性でうちの食卓によく上がるだけだから」
「二人してコソコソどーしたんすか」
「「なんでもない!」」
私達は会話を切り上げて、食事を再開した。
*******************
………初日から失敗した。
きり丸に食事にイナゴを使うなと伝えることを失念していた。
一般的に食べられる人が多いとはいえ、女性は好まない人も多い。
だから名前さんもイナゴは苦手かもしれないから食卓には出さないように念押ししようと思っていたのに。
内職をした後、ほのぼのとお茶を飲んで休憩している間に忘れてしまった。
そして、調味料はケチってなかったが、イナゴは入っていた。
はじめは美味しそうに口に運んでいたから、イナゴ食べられるのか…?と思ったが、ただ気づいていないだけだった。
きり丸が食べているのを見て言葉を失っていたから。
「(ああ……まずい…)」
顔面蒼白になっている名前さんの考えていることは手に取るようにわかった。
せっかくきり丸が作ってくれたのだから、と頑張ろうとしてくれているが己の中で葛藤があるのだろう。
いつかの私と状況が全く同じだ。
わかる、わかるよ。
私も今の君と同じ気持ちだったんだ。
きり丸の気持ちを汲んでくれようとする名前さんに嬉しくなった。
名前さんの気持ちも立てつつ、問題を解決するにはこれしかない。
私は銭を遠くへ放り投げて、きり丸が釣られている間に彼女の御椀からイナゴを取った。
「土井先生、ありがとうございました」
「とんでもない。こちらこそごめんね」
食事が終わり、作ってくれたきり丸には休ませて、二人で洗い物をした。
優しい彼女は「美味しかったよ」ときり丸に声を掛けてくれたが、本心は山田先生の家に帰りたいと思っているかもしれない。
いや、優しいからそんなこときっと考えないか。
むしろイナゴを食べられない自分を責めてそうだ。
「明日からはイナゴは出てこないから安心して」
「すみません…」
申し訳なさそうな顔をしている名前さんに、どうもいつも歯車が噛み合わない歯がゆさを感じる。
利吉くんの実家とは違った休みを満喫して欲しい…と思っているのだが、アルバイトを詰め込まれたこの状況でどうやったら可能なのか、私は頭を悩ませるのであった。
まさかイナゴがこの時代の一般的な食用になっているなんて知らず。
しかし、きり丸くんが作ってくれたのに残すわけにはいかない…。
覚悟を決めて、口に入れようとしたその時、遠くの方でチャリーンと金属の音がした。
「銭ぃぃーーーー!!!!」
食事を放り出して、銭を追いかけに行ったきり丸くん。
「こら!食事中だぞ!」
土井先生の叱責がきり丸くんの背中に飛んだ。
「銭っ!銭っ!」
丸い小銭を人差し指と親指で挟んで、嬉しそうに帰ってきた。
「……あれ?」
一連の流れを見ている間に、私の御椀に入っていたイナゴが消えた。
底から掬い上げてみるが、やはりいなくなってる。
え?まさか生きてた?
いやいや、んなアホな。
土井先生を見上げると、コソッと耳打ちされた。
「イナゴが食べられないって知らなくて…。すまない」
私はブンブン首を横に振った。
「私の方こそごめんなさい。イナゴが一般的な家庭料理だと知らず…」
「一般的かどうかは微妙だな…。きり丸の節約根性でうちの食卓によく上がるだけだから」
「二人してコソコソどーしたんすか」
「「なんでもない!」」
私達は会話を切り上げて、食事を再開した。
*******************
………初日から失敗した。
きり丸に食事にイナゴを使うなと伝えることを失念していた。
一般的に食べられる人が多いとはいえ、女性は好まない人も多い。
だから名前さんもイナゴは苦手かもしれないから食卓には出さないように念押ししようと思っていたのに。
内職をした後、ほのぼのとお茶を飲んで休憩している間に忘れてしまった。
そして、調味料はケチってなかったが、イナゴは入っていた。
はじめは美味しそうに口に運んでいたから、イナゴ食べられるのか…?と思ったが、ただ気づいていないだけだった。
きり丸が食べているのを見て言葉を失っていたから。
「(ああ……まずい…)」
顔面蒼白になっている名前さんの考えていることは手に取るようにわかった。
せっかくきり丸が作ってくれたのだから、と頑張ろうとしてくれているが己の中で葛藤があるのだろう。
いつかの私と状況が全く同じだ。
わかる、わかるよ。
私も今の君と同じ気持ちだったんだ。
きり丸の気持ちを汲んでくれようとする名前さんに嬉しくなった。
名前さんの気持ちも立てつつ、問題を解決するにはこれしかない。
私は銭を遠くへ放り投げて、きり丸が釣られている間に彼女の御椀からイナゴを取った。
「土井先生、ありがとうございました」
「とんでもない。こちらこそごめんね」
食事が終わり、作ってくれたきり丸には休ませて、二人で洗い物をした。
優しい彼女は「美味しかったよ」ときり丸に声を掛けてくれたが、本心は山田先生の家に帰りたいと思っているかもしれない。
いや、優しいからそんなこときっと考えないか。
むしろイナゴを食べられない自分を責めてそうだ。
「明日からはイナゴは出てこないから安心して」
「すみません…」
申し訳なさそうな顔をしている名前さんに、どうもいつも歯車が噛み合わない歯がゆさを感じる。
利吉くんの実家とは違った休みを満喫して欲しい…と思っているのだが、アルバイトを詰め込まれたこの状況でどうやったら可能なのか、私は頭を悩ませるのであった。
