【3章】フォーリンラブin室町
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なんとか指定の時間までに造花を作り終え、ホッとした。
「本当にありがとうござまっす!!」
「いえいえ」
依頼主から銭を受け取ったきり丸くんはウハウハしていた。
彼が戦災孤児だと知ってから、私も負けてられないなぁ…と勝手に勇気を貰っている。
こんなに小さな子が頑張ってるんだ。
私も頑張らないと。
「じゃあ夕食作ろうか」
「僕がやるんで二人とも座っててください!」
きり丸くんに促されて、私達は居間でしばしの休憩を取ることにした。
「きり丸くん、ずーっと動いてるけど大丈夫でしょうか…」
「名前さんが来ることずっと楽しみにしていたんだよ」
「え、嬉しい」
きり丸くんって仲良し三人組の中でも銭が絡まなければ一番大人びていると思う。
だから、私に対してそんな風に思ってくれてるなんて。
アルバイト要員としてカウントされてるだけだと思っていた。
「あの子は母親を亡くしてるから…。名前さんに思うところがあるのかもしれない」
母親にしては歳が近すぎるけど。
そう言って土井先生は台所に立つきり丸くんに優しい眼差しを向けた。
「お待たせしました!!」
「ありがとう」
きり丸くんが出来上がったご飯を持ってきてくれた。
御椀が三つお盆に乗っていて、その内の一つを受け取った。
「おかわりあるんで!」
「「いただきます」」
三人で円を描いて手を合わせた。
レンゲで御椀のお汁を掬って一口飲む。
「美味しい!ちょうどいい味付けだね。きり丸くんは料理男子なんだ!」
「へへっ…」
「(ちゃんと味付けたんだな…。調味料ケチるかと思ってた)」
「土井先生?」
「あ、いや…。なんでも」
「き、きり丸くん!?」
「はい?」
私は驚いてしまった。
だってきり丸くん……虫食べてる…。
「(えっ!?えっ…?)」
「名前さん?」
虫を食べてるきり丸くんのこと、土井先生も見てるのに何も言わない。
「(ま、まさか……)」
そっとレンゲを底に沈めると、固形物に接触した感覚があった。
怖怖それを掬い上げてみると、きり丸くんが食べてるものと同じ物が姿を出した。
「(ひぃっ……!!!)」
慌ててレンゲをひっくり返し、底にリリースした。
「(イナゴだ……!!!)」
そういうことか!!
きり丸くんがイナゴを見つけたらテンション上がるのを以前見かけて「虫が好きなんて少年らしいところもあるんだなぁ」なんてほのぼのしてた。銭以外に好きなものがあるんだと。
「(食用だったんだ…!!!)」
虫好きじゃなくて、食料を確保したことに歓喜していただけだと分かり、彼はある意味筋が通ってると思った。
「大丈夫っすか…?お口合わないですか?」
「ううん!そんなことないよ!」
今の私、いつかの土井先生練り物事件と同じ状態だ。
きり丸くんが作ってくれたのに残すわけにはいかないっ……!!!
とりあえず、ちまちま米と上澄みの汁を啜って食べてる感を出す。
レンゲで確認したところ、入っているのは一匹だ。
「(い、いくしかない……)」
目を瞑ればいけるか…!?
現代だってまだイナゴを食べてる地域はあるし、昆虫食だって頭角を現し始めているではないか。
これを期に新たな世界に挑戦してみるのも…。
なんとか自分に言い聞かせようとしたが、レンゲで掬ってソイツを見る度にやはり勇気が出ず底にリリースしてしまう。
「(ど、どうしよう……)」
事前に土井先生に嫌いな食べ物ないか聞かれていたのに。
まさかこの選択肢があるとは思わなかったのだ。
「(よ、よし……)」
何度目かの正直。
一気に口に入り込んでしまおう、と覚悟を決めた。
「本当にありがとうござまっす!!」
「いえいえ」
依頼主から銭を受け取ったきり丸くんはウハウハしていた。
彼が戦災孤児だと知ってから、私も負けてられないなぁ…と勝手に勇気を貰っている。
こんなに小さな子が頑張ってるんだ。
私も頑張らないと。
「じゃあ夕食作ろうか」
「僕がやるんで二人とも座っててください!」
きり丸くんに促されて、私達は居間でしばしの休憩を取ることにした。
「きり丸くん、ずーっと動いてるけど大丈夫でしょうか…」
「名前さんが来ることずっと楽しみにしていたんだよ」
「え、嬉しい」
きり丸くんって仲良し三人組の中でも銭が絡まなければ一番大人びていると思う。
だから、私に対してそんな風に思ってくれてるなんて。
アルバイト要員としてカウントされてるだけだと思っていた。
「あの子は母親を亡くしてるから…。名前さんに思うところがあるのかもしれない」
母親にしては歳が近すぎるけど。
そう言って土井先生は台所に立つきり丸くんに優しい眼差しを向けた。
「お待たせしました!!」
「ありがとう」
きり丸くんが出来上がったご飯を持ってきてくれた。
御椀が三つお盆に乗っていて、その内の一つを受け取った。
「おかわりあるんで!」
「「いただきます」」
三人で円を描いて手を合わせた。
レンゲで御椀のお汁を掬って一口飲む。
「美味しい!ちょうどいい味付けだね。きり丸くんは料理男子なんだ!」
「へへっ…」
「(ちゃんと味付けたんだな…。調味料ケチるかと思ってた)」
「土井先生?」
「あ、いや…。なんでも」
「き、きり丸くん!?」
「はい?」
私は驚いてしまった。
だってきり丸くん……虫食べてる…。
「(えっ!?えっ…?)」
「名前さん?」
虫を食べてるきり丸くんのこと、土井先生も見てるのに何も言わない。
「(ま、まさか……)」
そっとレンゲを底に沈めると、固形物に接触した感覚があった。
怖怖それを掬い上げてみると、きり丸くんが食べてるものと同じ物が姿を出した。
「(ひぃっ……!!!)」
慌ててレンゲをひっくり返し、底にリリースした。
「(イナゴだ……!!!)」
そういうことか!!
きり丸くんがイナゴを見つけたらテンション上がるのを以前見かけて「虫が好きなんて少年らしいところもあるんだなぁ」なんてほのぼのしてた。銭以外に好きなものがあるんだと。
「(食用だったんだ…!!!)」
虫好きじゃなくて、食料を確保したことに歓喜していただけだと分かり、彼はある意味筋が通ってると思った。
「大丈夫っすか…?お口合わないですか?」
「ううん!そんなことないよ!」
今の私、いつかの土井先生練り物事件と同じ状態だ。
きり丸くんが作ってくれたのに残すわけにはいかないっ……!!!
とりあえず、ちまちま米と上澄みの汁を啜って食べてる感を出す。
レンゲで確認したところ、入っているのは一匹だ。
「(い、いくしかない……)」
目を瞑ればいけるか…!?
現代だってまだイナゴを食べてる地域はあるし、昆虫食だって頭角を現し始めているではないか。
これを期に新たな世界に挑戦してみるのも…。
なんとか自分に言い聞かせようとしたが、レンゲで掬ってソイツを見る度にやはり勇気が出ず底にリリースしてしまう。
「(ど、どうしよう……)」
事前に土井先生に嫌いな食べ物ないか聞かれていたのに。
まさかこの選択肢があるとは思わなかったのだ。
「(よ、よし……)」
何度目かの正直。
一気に口に入り込んでしまおう、と覚悟を決めた。
