【3章】フォーリンラブin室町
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真っ直ぐ気持ちをぶつけてくれた利吉さん。
でもちゃんと私に逃げ道を残してくれて。
そんな誠実で、優しい彼にこれ以上蛇足を踏ませるわけにはいかない。
だから言わないとって思った。
優しい利吉さんが私を突き放すはずがない。
そうは思っていたけど、やはり真実を話すのには勇気がいった。
本当は私に対して、疑問をもっていたのに。
根掘り葉掘り聞こうとせずに、ずっと待ってくれていた。
申し訳ない気持ちと、有り難い気持ちが涙になって溢れ出た。
「本当はっ……全部皆さんに話したいんです」
前までの私は姫の振りをしないと追い出されるかもしれないと思っていた。
だから言えなかった。
でも今は違う。
姫じゃないことがわかっても。
真実を全て話したとしても、彼らはきっと帰る場所が無い私を学園内に置いてくれる。
しかし、言えない理由がまだあった。
「何がきっかけで私が今この状態になっているのか分からないんです。もし、また変なきっかけみたいなのを作ってしまったら、意図せずに居られなくなってしまうかもしれなくて」
私の言うことは利吉さんからしたら支離滅裂だろう。
しかし、彼は口を挟むことなく、真剣に私の話を聞いてくれた。
「私……まだここに居たいんです。学園で事務員して、時々町に出かけたり…。利吉さんとまたお団子食べたいし、利吉さんが伝えてくれた想いに向き合う時間も欲しいです」
でも、もしかしたら全てを話したことがきっかけで突然またタイムスリップしてしまうかもしれない。
何がきっかけでここに来たのか分からないのだ。
タイムスリップを引き起こすスイッチが常に同じとも限らない。
「朝目覚める度に、ああ、まだ学園に居てるって毎日思うんです」
泣きすぎて鼻水が垂れそうになったので、傍にあったちり紙を取って涙と一緒に拭いた。
「今も怖いです。記憶があることを言ってしまったから、明日目が覚めた時、私、どうなってるんだろうって」
本当に利吉さんには申し訳ない。
私の言う事の一割も伝わっていないだろう。
ひとしきり言いたいことを言って、ぐずぐずと涙と鼻水を拭いた。
利吉さんは真剣に何かを考えている様子で、私が鼻を啜る音だけが部屋に響いた。
「つまり、名前さんとしては話したいけど話せない事情があるということですよね?」
私は首を縦に振った。
「本来話すつもりはなかったけれど、私が無駄足踏むことを苦に思って、記憶があることは話してくれた……と」
再び頷くと、利吉さんは「はぁ〜〜〜〜」と長い溜息をついた。
彼は私の腕を掴んで引き寄せた。
バランスを崩した私は利吉さんの胸に飛び込んだ。
少し苦しくなるぐらい、強く抱き締められた。
「馬鹿ですねぇ……」
後頭部に添えられた手が、優しく私の頭を上下に撫でた。
「不安になるなら話さなければいいのに…」
「信じてくれるんですか…?」
こんな意味不明な話を?
そうしたら利吉さんは眉を下げて笑った。
「惚れた弱みですかね」
でもちゃんと私に逃げ道を残してくれて。
そんな誠実で、優しい彼にこれ以上蛇足を踏ませるわけにはいかない。
だから言わないとって思った。
優しい利吉さんが私を突き放すはずがない。
そうは思っていたけど、やはり真実を話すのには勇気がいった。
本当は私に対して、疑問をもっていたのに。
根掘り葉掘り聞こうとせずに、ずっと待ってくれていた。
申し訳ない気持ちと、有り難い気持ちが涙になって溢れ出た。
「本当はっ……全部皆さんに話したいんです」
前までの私は姫の振りをしないと追い出されるかもしれないと思っていた。
だから言えなかった。
でも今は違う。
姫じゃないことがわかっても。
真実を全て話したとしても、彼らはきっと帰る場所が無い私を学園内に置いてくれる。
しかし、言えない理由がまだあった。
「何がきっかけで私が今この状態になっているのか分からないんです。もし、また変なきっかけみたいなのを作ってしまったら、意図せずに居られなくなってしまうかもしれなくて」
私の言うことは利吉さんからしたら支離滅裂だろう。
しかし、彼は口を挟むことなく、真剣に私の話を聞いてくれた。
「私……まだここに居たいんです。学園で事務員して、時々町に出かけたり…。利吉さんとまたお団子食べたいし、利吉さんが伝えてくれた想いに向き合う時間も欲しいです」
でも、もしかしたら全てを話したことがきっかけで突然またタイムスリップしてしまうかもしれない。
何がきっかけでここに来たのか分からないのだ。
タイムスリップを引き起こすスイッチが常に同じとも限らない。
「朝目覚める度に、ああ、まだ学園に居てるって毎日思うんです」
泣きすぎて鼻水が垂れそうになったので、傍にあったちり紙を取って涙と一緒に拭いた。
「今も怖いです。記憶があることを言ってしまったから、明日目が覚めた時、私、どうなってるんだろうって」
本当に利吉さんには申し訳ない。
私の言う事の一割も伝わっていないだろう。
ひとしきり言いたいことを言って、ぐずぐずと涙と鼻水を拭いた。
利吉さんは真剣に何かを考えている様子で、私が鼻を啜る音だけが部屋に響いた。
「つまり、名前さんとしては話したいけど話せない事情があるということですよね?」
私は首を縦に振った。
「本来話すつもりはなかったけれど、私が無駄足踏むことを苦に思って、記憶があることは話してくれた……と」
再び頷くと、利吉さんは「はぁ〜〜〜〜」と長い溜息をついた。
彼は私の腕を掴んで引き寄せた。
バランスを崩した私は利吉さんの胸に飛び込んだ。
少し苦しくなるぐらい、強く抱き締められた。
「馬鹿ですねぇ……」
後頭部に添えられた手が、優しく私の頭を上下に撫でた。
「不安になるなら話さなければいいのに…」
「信じてくれるんですか…?」
こんな意味不明な話を?
そうしたら利吉さんは眉を下げて笑った。
「惚れた弱みですかね」
