色づいた世界で、君と
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イベントは患者さんやそのご家族も一緒に沢山の人が楽しんでくれて無事成功に終わり、無事光汰くんの退院の日となり、小児病棟の入り口で私は轟くんと爆豪くんと一緒に洸太くんを見送っていた。
『洸太くん!退院おめでとう!』
「あんま無理すンじゃねェぞ。なんか違和感あったら、すぐ連絡してこい。」
「おう!ありがとな!バクゴー!」
「・・・だから先生付けろや。」
そんなやり取りを終えて、洸太くんが病棟を去ろうとした時、轟くんが洸太くんを呼び止めた。
「その・・・あん時、悪かった。お前のこと不安にさせちまって・・・」
申し訳なさそうに謝る轟くんを見て、彼なりに色々考えていたんだと分かって嬉しくなる。
きっとあの時、洸太くんを不安にさせてしまった自分を責めていたんだろう。
「・・・別に、もう気にしてねーよ。そんなことよりも、これから沢山の患者を助けれる良い看護師になれよ。」
「あぁ。・・・ありがとな。」
洸太くんはニカっと笑ってそう言うから、轟くんも釣られたのか笑っていた。
すると爆豪くんが「何をガキが偉そうに」と言うから、洸太くんが言い返していて、そんなやり取りを見ていて、なんだか心があったかくなる。
そして洸太くんを見送った日の夜。
ふと轟くんの姿を探すけど見当たらない。
どこに行ったんだろうと、病棟を見回りながら彼の姿を探していると、最近入院したばかりの女の子の病室で彼の姿を発見した。
何しているんだろうと外から気付かれないように聞き耳を立ててみる。
「怖くて眠れねぇのか?」
「・・・うん。夜暗いし・・・、お父さんもお母さんもいないし・・・」
「・・・ならお前が寝るまで、ここにいてやる。だから安心して寝ろ。」
「ほんと?」
「あぁ。」
「わぁ、嬉しいな。」
以前までの彼だったら考えられなかったかもしれない。
でも色々経験して、色々考えたんだろう。
轟くんがその子の手を握ると、安心したかのように、すっと目を閉じるから、それを見て轟くんも自然と笑顔になっている。
看護師として、アンドロイドとして彼が成長していることに嬉しくなった。
それからというもの、轟くんはあれよあれよという間に、この病棟の看板看護師になった。
入院している小さな女の子達からは、将来大きくなったら結婚して!とか言われて、「それは人間じゃねぇからできねぇ。わりぃ。」とか大真面目に回答しているから面白くて、お茶子ちゃんとつい笑ってしまった。
後は意外にご老人の方にも人気が高い。
なんでも爽やか好青年で、イケメンなのに、天然なところがツボにはまるのか、ついついからかいたくなってくるのか、男女問わず可愛いと評判だ。
そんなこんなで大人気の轟くんは、歩く度に患者さんから声をかけられて、それに全部きちんと答えているから、なんかアイドルみたいだなぁなんて思っていた。
『お疲れ様っ。』
「あぁ。一ノ瀬か。」
『すごい人気だね。』
「そうか?」
お昼休憩に入る前に、偶然轟くんとすれ違って、そう声をかければ轟くんは分かっていない顔でそう答えた。
「俺よりも一ノ瀬の方が人気者だろ。」
『へ?』
「いつもみんなから頼られてる。」
『あー・・・仕事ね?まぁ、一応働きだして5年経つからかなぁ。轟くんも仕事は完璧だし、患者さんからも大人気だし、すぐにみんなに頼られる看護師さんになるよ。』
「そうか?・・・だったらいいな。」
謙遜しているけれど、これは私の本音だ。
仕事も完璧で人当たりも良ければ、それは最高の看護師になれるだろう。
そんなある日のこと。
私は仕事帰りに夜道を歩いていた。
するとふと気が付く後ろから人が付いてきているような感覚。
少し人通りが少ない道ということもあって、怖くなって早歩きにしてみる。
私の気のせいなら、後ろの人は離れていくはず。
でもその人は私と同じように速度を上げてくるから、曲がり角を曲がるときに不自然じゃないように後ろを確認する。
するとそこには帽子を深く被った男の人が足早に私の方へと近付いてくる姿が見えた。
怖くなった私は、曲がり角を曲がった瞬間に走った。
でも後ろの男も走って来るのが分かって、どうしよう、どうしよう、と頭の中でそれだけが駆け巡る。
この近くには交番も無いし、家に帰って、家を知られるのも嫌だと思い、取り敢えず誰かに電話しようとスマホを鞄から取り出そうとした時だった。
「・・・一ノ瀬?」
『と・・・轟くん?』
目の前から現れたのは轟くんで、急に安心したのか力が抜けて、彼の身体に倒れこむように躓いた。
「どうした?何かあったか?」
『あ・・・』
ふと後ろを振り返るともう男の姿は無かったけど、心臓がうるさく鳴って、荒くなった呼吸はなかなか収まりなさそうだ。
「・・・大丈夫か?」
『あ・・・うん。ごめん・・・。』
そして彼に抱きしめられていることに気付いて、咄嗟に体を離すけど、さっきまで怖いと思っていたからなのか、勝手に手が震えて止まらない。
それを見た轟くんは私の手を取って、彼の大きな手で包んでくれた。
「大丈夫じゃねぇだろ。何があった?」
『あ・・・』
彼に心配をかけてしまうのは嫌だった。
でもそれ以上に怖い思いをしたからだと思う。
私はさっきの出来事を轟くんに話した。
「明日から俺が家まで送る。」
『え・・・悪いよ。』
「大体勤務も同じ時間が多いだろ?別に問題ねぇ。」
『でも・・・』
「何かあってからじゃ遅いだろ。」
彼にそう言われて、私は何も言い返せなかった。
それにあの怖い思いをもうしたくないと思いが強かったのか、私は彼の提案に同意することにした。
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