あたしそんなに優しくないので
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LBX世界大会アルテミス。歴史は浅いものの、世界中から選りすぐりのLBXプレイヤーが集められて行われる、LBXプレイヤーなら誰もが憧れる大会。
そんな大会に、憧れこそすれど、出られると思ったことは1度もなかった。
それは今年の開催地であるアロハロア島に降り立った今でも変わらない。どこか夢見心地のような。当事者意識? とでもいうのだろうか、まったく実感が湧かない。
大会の出場登録が始まるまでは少し観光したりショッピングしたり、ホテルで愛機のメンテナンスをしたり。割といつもとやってる事が変わんないから尚更世界大会に来たなんて感じもしないのだ。
「CCMをお預かりしますね」
「お願いします」
「赤木サツキ、登録完了です! おひとりでの出場ですね?」
「はい、」
出場登録を終えて、大会までもう少しだけある時間をどこで潰そうかなとロビーを一瞥した。
施設の方も大きいけれど、やはり人が多い。どんだけいるのさ、ほんと。出場する人と、付き添いできてる人とかと、あとは観客の人もちょこちょこいんのかな。知らないけど。
何か、暇を潰せるような場所はないかなと思いながら、人混みを見渡す。
そしてあたしの視線は、ある一団に釘付けになった。
「あれ、バンくんじゃない、」
山野バン。去年のアルテミス優勝者。そして、カズの友達。
言いたかないけれど、カズがさらわれた日に、彼はカズとトキオシアに居た。
出発前にもしかしたらと思いつつもままあるはずないと諦めた可能性。カズの居場所だか、カズを攫ったディテクターとかいうのの情報だとか。そういうのが、わかるかも知れない。
そう思ったらいてもたってもいられなかった。
「やっほー、バンくん。久しぶり」
「サツキ!」
こちらを振り向いたバンくんは、明るい笑みを浮かべてあたしの名前を呼んだ。
「覚えててくれたか、嬉しいな」
あたしみたいなチンピラなんか忘れられてるかと思ったよ、と言えば、彼はサツキはチンピラなんてレベルじゃないだろ、と返した。
「バン、この人は?」
唐突に現れた部外者を不審に思ったのか、カウガールのような女の子がバンくんに尋ねた。
「この人は赤木サツキ。カズの幼馴染で凄腕のLBXプレイヤーだよ。」
「凄腕って……あたしは中堅だかそこらよ、勘弁して」
「あなたもアルテミス出るの?」
チャンピオンに上げられたハードルにビビるあたしにそう問ったのは赤毛の女の子。
「んあー、出るよ、なんかたまたま出場権取れちゃったからさ。えーっと、」
「あたし花咲ラン!」
「ランちゃんね。ごめん、ほかの子も名前聞いていいかな」
……。
こうして自己紹介に始まった束の間の談笑は、予想外の盛り上がりを見せたのだった。
そんな大会に、憧れこそすれど、出られると思ったことは1度もなかった。
それは今年の開催地であるアロハロア島に降り立った今でも変わらない。どこか夢見心地のような。当事者意識? とでもいうのだろうか、まったく実感が湧かない。
大会の出場登録が始まるまでは少し観光したりショッピングしたり、ホテルで愛機のメンテナンスをしたり。割といつもとやってる事が変わんないから尚更世界大会に来たなんて感じもしないのだ。
「CCMをお預かりしますね」
「お願いします」
「赤木サツキ、登録完了です! おひとりでの出場ですね?」
「はい、」
出場登録を終えて、大会までもう少しだけある時間をどこで潰そうかなとロビーを一瞥した。
施設の方も大きいけれど、やはり人が多い。どんだけいるのさ、ほんと。出場する人と、付き添いできてる人とかと、あとは観客の人もちょこちょこいんのかな。知らないけど。
何か、暇を潰せるような場所はないかなと思いながら、人混みを見渡す。
そしてあたしの視線は、ある一団に釘付けになった。
「あれ、バンくんじゃない、」
山野バン。去年のアルテミス優勝者。そして、カズの友達。
言いたかないけれど、カズがさらわれた日に、彼はカズとトキオシアに居た。
出発前にもしかしたらと思いつつもままあるはずないと諦めた可能性。カズの居場所だか、カズを攫ったディテクターとかいうのの情報だとか。そういうのが、わかるかも知れない。
そう思ったらいてもたってもいられなかった。
「やっほー、バンくん。久しぶり」
「サツキ!」
こちらを振り向いたバンくんは、明るい笑みを浮かべてあたしの名前を呼んだ。
「覚えててくれたか、嬉しいな」
あたしみたいなチンピラなんか忘れられてるかと思ったよ、と言えば、彼はサツキはチンピラなんてレベルじゃないだろ、と返した。
「バン、この人は?」
唐突に現れた部外者を不審に思ったのか、カウガールのような女の子がバンくんに尋ねた。
「この人は赤木サツキ。カズの幼馴染で凄腕のLBXプレイヤーだよ。」
「凄腕って……あたしは中堅だかそこらよ、勘弁して」
「あなたもアルテミス出るの?」
チャンピオンに上げられたハードルにビビるあたしにそう問ったのは赤毛の女の子。
「んあー、出るよ、なんかたまたま出場権取れちゃったからさ。えーっと、」
「あたし花咲ラン!」
「ランちゃんね。ごめん、ほかの子も名前聞いていいかな」
……。
こうして自己紹介に始まった束の間の談笑は、予想外の盛り上がりを見せたのだった。