【実況】知らない駅で迷子なう【助けて☆】
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【story of addition - 0】
人気 も疎 な駅のホーム。
終電とまでは言わないけれど……随分と帰りが遅くなってしまった。
足の疲れはベンチに座る程でもなく、等閑 に乗降位置へ並び電子掲示板を見上げた。低い天井からぶら下がる電子板に今日のダイヤが発光するオレンジ色の文字として流れていくのを読むともなく眺めていれば、不意に背後から声が掛かる。
「あれぇ、イチちゃん?」
振り返るまでもなく、声で検討をつけながら振り向けば正答そのものの知人の姿。
「ランピー」
「こんなに遅いの珍しいねーぇ、いま学校帰りっ?」
頷けば長躯はするりと寄ってきてはオレの隣に並ぶ。今日は別段何かがあった訳でも無いのだけれど、放課後ついつい双子とカードゲームに興じていれば気づくと外はすっかり暗くなっていたのだ、と説明すれば「あいかわらず仲良いねぇ」と満更でもなさ気に笑った。
「モールにLINEした?」
「メールした」
「えぇーっ、ねぇイチちゃんもスマホ買おうよお」
他愛無い会話に気を取られていればやがて線路の奥から微かに軋むブレーキ音がした。夜の闇からぬぅと姿を表すように電車が滑り込んでくる。ホームに接する車体の風圧の音。
まるで胴の長い生き物のようにも見える列車はやがて所定の位置に停止して口を開いた。いそいそと乗り込もうとするランピーを横目に、ふと、違和感を覚える……電車の到着アナウンス、あったか?
咄嗟に車体の行き先案内を見れば案の定、掲示は目当ての駅では無い。慌てて隣人を止めようとするも気の早い知人の姿はもう殆ど電車の中に飲み込まれている。
「待っ、た、ランピーそれ回送列車──!」
何とか服の裾を掴んだものの、ランピーとの体格差で力勝負に勝てるはずもなく。引き摺られるように連られてオレの両足は車内の白い床を踏んだ。
「……あれっ?」
そうして屈託なく振り返ったランピーが、素っ頓狂な声を上げると同時にオレの背後でドアの閉まる空気圧の音が無慈悲に響いたのだった。
→
終電とまでは言わないけれど……随分と帰りが遅くなってしまった。
足の疲れはベンチに座る程でもなく、
「あれぇ、イチちゃん?」
振り返るまでもなく、声で検討をつけながら振り向けば正答そのものの知人の姿。
「ランピー」
「こんなに遅いの珍しいねーぇ、いま学校帰りっ?」
頷けば長躯はするりと寄ってきてはオレの隣に並ぶ。今日は別段何かがあった訳でも無いのだけれど、放課後ついつい双子とカードゲームに興じていれば気づくと外はすっかり暗くなっていたのだ、と説明すれば「あいかわらず仲良いねぇ」と満更でもなさ気に笑った。
「モールにLINEした?」
「メールした」
「えぇーっ、ねぇイチちゃんもスマホ買おうよお」
他愛無い会話に気を取られていればやがて線路の奥から微かに軋むブレーキ音がした。夜の闇からぬぅと姿を表すように電車が滑り込んでくる。ホームに接する車体の風圧の音。
まるで胴の長い生き物のようにも見える列車はやがて所定の位置に停止して口を開いた。いそいそと乗り込もうとするランピーを横目に、ふと、違和感を覚える……電車の到着アナウンス、あったか?
咄嗟に車体の行き先案内を見れば案の定、掲示は目当ての駅では無い。慌てて隣人を止めようとするも気の早い知人の姿はもう殆ど電車の中に飲み込まれている。
「待っ、た、ランピーそれ回送列車──!」
何とか服の裾を掴んだものの、ランピーとの体格差で力勝負に勝てるはずもなく。引き摺られるように連られてオレの両足は車内の白い床を踏んだ。
「……あれっ?」
そうして屈託なく振り返ったランピーが、素っ頓狂な声を上げると同時にオレの背後でドアの閉まる空気圧の音が無慈悲に響いたのだった。
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