後日談 Ⅱ
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相も変わらず御近所付き合いとは無縁そうな一軒屋の前に立ち、前と違って後ろめたい気持ちがない分、遠慮なくブザーを押した。
どう考えても耳障りな濁った音が、オレの人差し指によって押しつぶされ続けるボタンのせいで連なって辺りに響く。多分、家の中ではもっと煩く不快な事になっているだろう。
それでも一応は考慮して、この間と同じ、朝よりは昼に近い時間を選んで来たのだ。
そして上げた腕が辛くなってきた頃に、
「ちょ、うるせぇッ、いま!いま出るっつーの!つかまた俺かよ!」
案の定扉を乱暴に開けて出てきたのは寝癖のひどいリフティで、
「約束通り、朝ごはん持ってきた」
オレは印籠でも掲げるような気分で、手に持ったレジ袋を差し出して見せた。
「つーかこれ全部ナマじゃん!」
「まぁ、そうだけど」
もうちょっと言い方があるだろう。
簡素なリビングに、この前よりは寛いで適当に落ち着けば、リフティはパジャマのまま即座に喚いた。
それに倣って袋の中身を確認する。焼いてないベーコンに食パン、当然冷えたままのトマトとレタスとあと牛乳、それから『生』たまご。
「でも調理して来いとは言われなかった」
気持ち胸を張って言えば、リフティは「うげっ」とわざわざ仰け反ってみせる。
が、そもそもオレの家に常に三人分の食料品があると思ってもらうと困る。これらも全部、さっきスーパーで買ってきたばかりの生鮮品である。
「とりあえず朝食べられそうな材料を選んだ」
「朝からメシ作りとか、誰がするんだっつーの!」
「おまえだろ馬鹿」
唐突に、オレに向かって喚いてるのと殆ど同じ声がする。
と、同時にリフティの後ろ頭がはたかれる。その上、オレの頭まで行き掛けの駄賃のように叩いていく理不尽な参入者は勿論シフティだ。奥の部屋から出てきたところを見ると、兄の方も今まで寝ていたらしい。
「だっ、のクソ兄貴……ってか何自分だけきがえてんだよ!!」
「ハッ、いつまでも寝巻きでうろちょろしてんじゃねーよばーか!」
「てめーだって寝てたくせに!」
何というか、今日も双子は……朝っぱらから実に賑やかである。
「だぁあっ、もううるせーな!!」
やがて痺れを切らしたように
拳を振り上げたのは、またしても兄の方だった。
「一回勝負だぞオマエら!」
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