異変
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「だから喧嘩するなって言ってるだろ!!」
居間で不法侵入した双子が、自分の家のように寛いでたっていつものことだ。
大喧嘩してたっていつものことだ。
なのに、何故か開口一番に思うより大きな声が出た。同じ顔が向き合って馬鹿だの嫌いだの死ねだと言っていたのがぴたりと止まる。オレの動きも合わせて止まる。
──こんなに大声を出したのは初めてだ。
無意識に、躊躇うようにオレの口が閉じた。自分の体じゃないみたいにぎこちない動き。喉が痛い。
シフティもリフティも唖然としてオレを見つめてくる。
その表情があまりに同じなので少しだけ気がそれて落ち着いた。が、何か胸のうちでもやもやした違和感は拭えない。ここのところずっとそうだ。
「なんだよ、ケンカとかしてーねーし……」
「ちょっと話し合ってただけじゃねーか……」
オレが何も言わないでいると、むっとしたように文句を言ってきた。相変わらず金勘定の途中だ。一際大きく豪華な装丁の宝石箱が二人の真ん中に落ちている。取り合ってたのか。
何と返せばいいのか分からなくなったので、とりあえず「うん」とだけ言っておいた。
そんなことでこの泥棒達が納得するわけもないが。
「おい何事だよ」
「どーしたんだよ」
双子は顔を見合わせると、口々に言いながらオレの頭に肘を置いた。
「つかなんだよその隈!」
「寝てねーだろてめぇ!」
後ろから覗き込むようにしてぎゃあぎゃあ喚いている、二人。
頬に柔く突き刺される指に、何か急に疲れた気がして何も答えないでいれば双子は暫く人の前髪を引っ張ったり頬っぺたをつついたりしていたが、ふと埒があかない、と言う風にシフティは顔をあげる。
「おいリフ、なんか呼んで来い」
「なんかってなんだよ?」
「るせーな、医者とかだよ」
「医者ぁ?マヌケ野郎よんでどーすんだよ!」
「じゃ他にどーすんだよ明らかコイツ変じゃねーかよ!」
変。
そう、変だ。
最近のオレは少しおかしい。
──ちょうどスニッフルズの薬で死んだころからだ。
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