03 決意
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光[…ちょっと、話さん?]
光一さんの家にお邪魔して、
結構人数もそろってたから
パーティーはすぐにはじまって、
序盤に∞のメンバーさんに
章大から紹介してもらったから、
章大は気が緩んだのか
あたしから少し離れて
∞のみんなと楽しそうに飲んでいた。
少し飲みすぎたお酒をさまそうと
一人テラスに出て風に当たっていると、
後ろから懐かしい声が聞こえてきた。
『…光…ちゃん。』
光[久しぶりやな、
…
お前に、
“光ちゃん”なんて呼ばれんのも(笑)]
そう言って、
少し照れたように笑いながら
光ちゃんは二つ持ってたグラスの一つをあたしに差し出し、
少し離れて、フェンスに体を預けた。
『…。』
しばらく、
お互い何も言わずに、
夕日の沈みかけた空を見上げていた。
光[…ヤスと、
付き合ってんのやってな。]
沈黙を破ったのは光ちゃん。
変わんないね。
そうやって、
あたしが気まずくならないように
さりげなく気遣ってくれるとこ。
そういうとこ、
大好きだった…
『…う、ん。
そうだね…』
それ以上、言葉が続かなかった。
光[にしてもお前、
“初めまして”って、
ちょっと傷ついたで?(笑)]
笑ってるけど、
どこか悲しそうな表情の光ちゃんに、
苦笑いしか返せない自分がもどかしい…
光[…俺のこと、
恨んでるか…?]
『…っ』
予想だにしなかった言葉に、
ばっと、
光ちゃんの方を振り向くと、
いつの間にか目の前にいた光ちゃんに
思わず後ずさりして、
後ろのフェンスにぶつかった。
光[…それとも、
もう、
忘れてた?]
光ちゃんが
自嘲気味に、切なそうに笑うから、
どうしよう、
目がそらせない…
光ちゃんは、あたしの後ろのフェンスに手をついて、
あたしは、フェンスと光ちゃんの体に挟まれてる状態。
『…っ光ちゃんっ(汗)』
ッパリーン…
いきなりのことにびっくりして、
あたしは飲んでいたグラスを落としてしまった。
光[っ信じてくれんってわかっとるけど、
あのとき、
俺は…っ]
ーバンッー
雛[っちい!!]
光ちゃんの言葉をさえぎるように、
テラスの窓が勢いよく開いたと思ったら、
あたしを呼ぶ雛ちゃんの大きな声にはっとして、
思わず、光ちゃんを突き飛ばしてしまった。
『っ…、
ひ、なちゃ…っ(汗)』
光[村上…]
雛[…ちい、ヤスが探してる。
戻れ。
光一くん、
ちい返してもらいますわ。]
そう言って、
雛ちゃんはあたしの腕を引いて
部屋の中に入っていった。
ー雛sideー
パーティーが始まって真っ先に、
ヤスはメンバーにちいを
にっこにこしながら紹介すると、
メンバーは口々に
可愛い!やら
チンパにはもったいない!やら。
まあ、
よこせ!ゆーてるおっちゃんも一人おったけど(笑)
あいつらなりにちいを受け入れたみたいで、
しばらくはみんなでしゃべっとったんやけど、
ちいはなーんか浮かん顔して
ちょっと気まずそうやった。
まあ、さっきの感じからも
理由なんかだいたい想像つくけどな。
おおかた、
まだヤスにあのことゆーてへんくて、
いつゆえばいいかわからんなってもーてんのやろ。
ほんっま、どんくさいんやから…(呆)
て、ゆーてる間に
いつのまにかちいは
メンバーの輪ぁからおらんなってて、
あいつらはあいつらでヤスいじりに必死で
気づいてんのか気づいてへんのかわからん(汗)
ってゆーか、飲みすぎやろ!
お前らっ(怒)
いやいや、
こいつらのことはひとまずほっといて、
とりあえずちい探さなっ
あいつ、
俺ら以外知り合いおらんねんし、
このでっかい家ではぐれたら…
泣くな…(汗)
人込みをかき分けて、
ちいらしき人影を探してたら、
不意に、風が吹いてきた。
雛[…っ風?
ああ、テラスの窓が開いてんのか…]
誰か出てるのかと思って近寄ってみると、
二人、
外にいることに気付いた。
あ、光一くん、
と…
っちい?!
目ぇ凝らしてみてもやっぱりちいっ
なんで、
光一くんと…?
しばらく見ていたら、
さっきまで
ある程度の距離を保って話していたのに、
急に、
光一くんがちいに迫っていくのが見えた。
雛[っおいおいおい、
大丈夫なんかぁ?!(汗)]
食い入るように見ていると、
少し話した後、
光一くんがちいに覆いかぶさるような態勢になって、
ちいは、
びっくりしたのか、持ってたグラスを落として割った。
ーっやばい!
咄嗟に
危険を察知したおれは、
二人が気付くように、わざと音を出して窓を開け、
ちいの名前を叫んだ。
ーッバン!
雛[っちい!!]
俺の声に驚いたのか、
ちいは目の前の光一くんを突き飛ばし、
光一くんも光一くんで目を丸くして
間の抜けた声で俺の名を呼んだ。
『っ…、ひ、なちゃ…っ(汗)』
光[村上…]
雛[…ちい、ヤスが探してる。
戻れ。
光一くん、
ちい返してもらいますわ。]
咄嗟に嘘をついた。
二人の雰囲気から、
ただ事やないことは分かったし、
ちいの目が、
助けを求めてるようにも見えたから…
俺は、必死に平静を装って、
ちいの腕を引いて部屋の中に戻った。
『…なちゃ、んっ、
…雛ちゃん!!(汗)』
ふと我に返って声のするほうを向くと、
肩で息をしてるちい。
…しまったっ
あの後カッとなってもーて、
ちいの手ぇつかんだまま
つい俺のペースで引っ張ってきてもーたんや(汗)
ヒールのちいには速すぎたよな…っ
雛[っ悪い!
俺、思っきり…っ(汗)]
『っちがうの、
…ごめ、んね…』
雛[…へ?]
予想外の返答。
あかん、
たぶん俺、今めっちゃあほみたいな声でてた…(汗)
『…あたし、まだ、
章大に言ってない…っ』
ばつが悪そうに
下を向いたちい。
そうか、
俺が怒っとると思ったんか。
『っでもあたし、
絶対、章大には言うって決めて…っ』
雛[っちい、
俺、別に怒ってへんよ(笑)
無理に話せとは思わんって、ゆーたやん?]
『っでも…
さっき…』
雛[あーそや、
や、ほんまに怒っとるとかやないんやけど、
さっき、光一くんとなに話してたん…?]
ちいに限って
ヤスを裏切るよーなこと、
ないとは思うんやけど…
一応、な。
『…っ雛ちゃん…
あたし…っ(泣)』
雛[っちい?!(汗)]
いきなりちいが泣き出すから、
どーしてええんかわからんなって、
思わず、ちいを抱きしめてもーた。
雛[大丈夫や、わかっとる。
…話してみ?]
『…あ、たし…っ』
そっから、
ちいはさっき起こったすべてを話してくれた。
『それでね、
あたし、答えられなかったんだぁ…
“恨んでるか”って、言われてさ?』
雛[…それは、
ほんまに恨んでるから?
それとも…]
首を横に振るちい
そうか、
こいつの中には、まだ息づいてるんや。
そやんな。
あないな別れ方したゆーても、
こいつの方は、嫌いで別れた訳やない。
そしておそらく…
光一くんも…
すべてを知ってて、
こいつに隠してる俺は、
いったいなんなんやろうな。
ゆーてやったら、
こいつは楽になんのかな…
でも…
『でもね?』
おもむろに、
ちいが口を開いた。
『もう、振り返ったりしないよ。
前だけ向いて歩いていくの。
…章大と、一緒に。(照)
あたしには、
章大と歩く未来さえあればいい。』
そう言ったちいは、
どこかすっきりしたような、
でも、なにか、
大切なものを失って
心にあいた穴を必死に取り繕おうとしているような、
綺麗で、
儚げな顔をしていた。
そんなちいに
おれは優しく微笑んで、
その、気丈なほほに触れ、
そっと撫でてやった。
雛[お前なら、大丈夫や。]
そういうと、
照れたようにふにゃっと笑って
ほほにあてた俺の手に自分の手を添えるちい。
ほんま、可愛いやつやで(笑)
ヤスじゃないけど、
俺かってこいつにべた惚れやねん。
もちろん、恋愛感情じゃないけどな?
妹みたいなもんや。
誰よりも、
幸せになってほしい。