12 みんなの願いは…
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錦[…おはよ。]
目が覚めると、
先に起きて
コーヒーを飲んでいる亮さんがいた。
「…おはようございます…」
錦[んっ、]
差し出されたミルクティーに口をつけると、
甘い香りが口に広がって、
なんだかすごく、
ほっとした気分になった。
亮さんは、
目がはれた様子もなく、
なんだか妙にすっきりした顔をしていた。
錦[今日さ、ひま?]
「あの~、
どこにむかってるんですか?」
錦[着くまで内緒っ(笑)]
亮さんの車に乗って行き着いたのは、
いつものテレビ局だった。
「…ここ…?」
錦[そっ、
俺ら、今日収録やから。
よし、行くかっ
…っと、その前に…]
…ちゅっ
「っ?!
り、亮さ…(汗)」
錦[最後のキスや。
…許せよ?(笑)]
「…え…っ?」
降りる前に、
私に軽くキスをして
亮さんはなんだか変なテンションで、
私の手を引いて、楽屋へと歩き出した。
何で私まで?
そう思ったけど言わなかった。
楽屋の前について、
ドアを開けると、
メンバーのみんなはすでにそろっていた。
もちろん、
彼も…
錦[おっはよっ(笑)]
丸[…はよ。]
雛[朝帰りかい。
ええ身分やの…]
冷たい視線。
あの丸山さんですら、ローテンション。
私のせいで、
あんなに仲のよかった人たちが
こんなことになるなんて…
横[わざわざ楽屋にまで
女連れてくるやなんて、
昨日はよっぽど楽しかったんやろなあ…]
『…っおぉい、横ぉ!(笑)
みんなどーしてん?
おはよっ亮!』
…気まずい空気を一蹴しようと
彼は明るく振舞ったけど…
すると唐突に、
亮さんが空気を一変させた。
錦[や~それがさあっ
俺ら、別れてんなっ(笑)]
[[…っはぁ?!]]
『…は?
え、
どーいうことぉ?(苦笑)』
錦[どーゆうことって、
そのままやん(笑)
俺とちいはもう付き合ってないっ。
なあ?]
そういった亮さんの目には、
昨日のような揺れはまったくなかった。
「…は、い。」
そういうしかなかった。
丸[え、なにゆーてんの?
だって二人昨日も
亮ちゃんの家…]
錦[なにって、
もともとそんな
本気じゃなかったって言うか…]
『…説明せぇや。』
錦[うわ、怖ぁっ。
そんなまじにならんでや
女くらいで~(笑)]
『っ!
亮っお前…っ』
雛[っすばる!
落ち着け。
亮、ふざけてんのか?]
錦[村上君まで、
なに必死なってんの?(笑)
俺はただ… っ、
や、すばる君がな?
はたから見てもわかるくらい
べた惚れやったやん?
やからさあ、どんな女やねんって思って
つきあってみたんやけど~
ぜんっぜん!
なかなかヤらしてくれへんし、
なんかみんな必死やし、
もうめんどくさいわ!(笑)]
うそつき。
どうして、そんな嘘…
安[え、
なんやねん亮…
わけわからへんっ(汗)]
錦[まあまあっ、
この話は終わりやっ
おっ、時間やぞ。
行こか!
あ、ちいは、
もう帰っていーよ!
じゃあな!]
そう言い残すと、
誰より早く楽屋を飛び出して
スタジオに向かっていった。
亮さんの
最後の“じゃあな”が
振り絞ったように聞こえたのは、
どうやら私だけじゃなかったようだ。
わけもわからないまま
その日は解散。
後日、
章大さんからメールで呼び出され、
私はコトの全貌を話した。
彼からの告白を除いて…
安[なるほどね~、
亮も本気やったわけかぁ…]
横[で、最後は結局
ちいちゃんが寸前で泣き入れて
亮が身ぃ引いたってこと?]
雛[そう考えたら、
ちょっと亮かわいそうやったなあ]
忠[よぉゆうわ!
村上君が一番切れとったやんっ(笑)]
丸[たっちょん、
君も人のこと言えんよ?(笑)]
さすが、っていうのかな。
みんな、亮さんの最後のあの話が
嘘ってちゃんとわかってたみたい。
それでも、
誰一人、
亮さんを追及することなく、
こうやって私に聞いてくれる。
たぶん、
彼だってわかってる。
私の心配なんてとっくに及ばない。
やっぱり、生半可な絆じゃないんだ…
安[え、じゃあ
ちいちゃんどーすんの?]
「どう…って
言われましても…(汗)」
忠[どうもこうも、
今度こそすばるくんと付き合うやろ?
亮ちゃんもこんなけ
お膳立てしてくれたわけやし…]
正直、
いま彼と付き合うのは
ルール違反だと思ってた。
いくらなんでも、
亮さんに顔向けできないし、
それに、
事情はどうあれ、
彼からしたら
“亮に振られたら俺か”
ってことになるだろうし…
そもそも彼も
“好きだった”
って…
「し、渋谷さんの
気持ちもありますし…」
雛[だーから、
すばるはあんたのこと好きやってっ!]
「やっ、
でも…っ」
横[なに、
すばるになんか言われたん?]
「…っ、(汗)」
言う、べきだろうか…
でも、言ったところで…
迷ってるうちに、
丸山さんに
おもむろに核心を突かれた。
丸[あーわかった、
告られたんやっ(笑)
なーんちゃっ…
て…
え、まじ?!]
いきなり図星を指されて驚いたのと、
どうやら私は隠し事に向かないようで、
顔が真っ赤になったのが
鏡を見なくてもわかった。
安[うっそ…
まじぃ?(笑)]
雛[やるなあ、
あのちっちゃいおっちゃんっ]
横[え、だって
亮の彼女のときに告ったってことやろ?]
「っで、でも!
そのとき渋谷さん…
好き “だった” って…」
忠[そこは、
もう、亮ちゃんの彼女なってんから
今からあきらめるってゆう意味やろっ!]
丸[え、てかさ、
ちいちゃんから仕掛けるって
ゆうのは…ないの?(笑)]
「わっ、私からなんて滅相もないっ(汗)」
雛[や、でもすばるは
もうそこでゆーた手前
いきなりがっとはいきにくいやろぉ…]
安[う~ん、
むずかしいなあ…]
「あのっ、
私、いいんです。
渋谷さんとお付き合いさせていただきたい、
とか、
今は思ってないですし、
第一、
私なんかが皆さんの仲ぐちゃぐちゃにして、
これ以上深入りしたら、
罰が当たります…
…
渋谷さんや、皆さんみたいな素敵な方と、
私みたいなただの女子高生が
一時でも、
一緒にお仕事させていただけただけで、
もう、十分です。」
横[ちいちゃん…]
この気持ちに、
うそはなかった。
でも…
忠[っしょーもな…]
「…え?」
忠[あんたさあ、
まだ18やろ?
その若さで
欲しいもんも欲しいって言わんと
大人ぶって理屈こねて、
そんな人生しょーもないなってゆーたんや。]
雛[…た、たっちょん?(汗)]
忠[だってそうやろっ?!
だいたいなぁ、
好きな人が自分のこと好きなんが
どんなすごい奇跡かわかってるん?!
好きって気持ちすら伝えることできんくて
辛い思いしてる人だっていっぱいおんのに…
手ぇ伸ばしたら届く距離に
欲しいもんがあんのに…っ]
大倉…さん…?
安[っぉ大倉っ!
落ち着けっ(汗)
わかったからっ]
丸[や、でも
たっちょんのゆうとおりやで?
ちいちゃん。
あきらめんのはもったいないて…]
横[俺らも協力するし、
がんばってみたら?]
「…でも、
…亮さん、は…っ(汗)」
雛[あほやなぁ!
ここでちいがうじうじして
結局他の誰かに攫われでもしたら、
それこそ亮、
なにやってんのかわからんやんけっ(笑)]
丸[難しいこと考えんと、
ちいちゃんは
自分の幸せだけ考えてみぃや。]
こんなに、優しい人たち
きっと他にいない…
どんなにがんばったって、
涙出ちゃうよ…
「…ありがとう、
ございま…っ(泣)」
忠[…泣くな。
頼む、
がんばれよ…っ]
そういうと大倉さんは、
その大きな手で私の頭をなでて、
トンッと、
自分の胸に私のおでこを引き寄せた。
ねえ、
私たち、
いったいどれくらい
たくさんの人に支えられてるんだろう?
私がメンバーのみんなと話してるころ、
彼は
亮さんとふたりでバーにいた。
『…あの、さ、
……如月、のことやねんけど…』
錦[っああ、
…あのしょーもない女?(笑)]
『っ!!
…や、わかってる。
なあ、
ほんまのこと、
教えてくれへん?』
錦[っふ、
敵わんなあ、ほんま…]
『…言いたくないなら、
…別にほじくったりせーへんけど…』
錦[…っしゃーないな~、
すばるくんだけっ、特別な?]
『…』
錦[あいつさ、
ええ女やで…]
『は?』
錦[…だから、さ、
あいつ…
すばるくんが好きやねん…]
『…は?』
錦[っやから、
ちいは俺と付き合ったけど、
結局すばるくんのこと忘れられんくて、
もうやめよってなった!
それだけっ(笑)]
『っち、っちょっと待てよっ、
なにゆーて…っ』
錦[…そもそもな、
俺が告白したときも、
あいつ、すばるくんが好きやからって
断ろうとしたんや。
“渋谷さんが好き。辛いけど、
やっぱり渋谷さんが好きやから”
ってな。]
『え、
それって、
いつ…』
錦[みんなに付き合ってるってゆーた
三日前。
でも、俺は
ちいがすばるくん
好きなんなんかもー聞いてて、
それでもって思って告ったわけやから、
…
俺が、お前の辛さも不安も受け止めたる。
すばるくんのことも忘れさしたるー
って、ごり押しして、
あいつはそんな俺に
必死で気持ち返そうとしてくれたんや。]
『…っ(汗)』
錦[びっくりした?
ちなみに、
すばるくんとちいが
お互いに片想いしてんの、
メンバーはみんな知ってるで(笑)]
『えっ、
あっ…
やからヒナ…うわぁ(照)』
錦[…もっとびっくりすること教えよか。
おれも、
お互いの片想い知ってた。
メンバーが協力しようとしてんのも。
…知ってて、
ちいかっさらったんや…]
『…え?』
錦[…俺ぇ、最低やんなっ
みんな裏切って、
ちいだけ手に入れようとした。
焦ってたんかな、
ずるかったと思う…
許してもらえるなんて思ってないけど、
ごめんな…]
『や、
ちょ、ちょー待てよっ(汗)
頭追いつかんっちゅーねんっ、』
…
『そんなん、
亮がゆうんやったら、
俺かて、
あやまらなあかんことある…』
錦[…なに?]
『お前らが
付き合ってるってゆーた日の夜、
お前ら、テレビ局の前で
待ち合わせしとったやろ?
俺、たまたまプロデューサーと
打ち合わせあって残ってて、
帰ろう思て外でたら、
あいつ、おってさ、
そんで、
寒かったから…上着貸して、
こいつ、もう亮のもんやねや
って思ったら
なんか、たまらんくなって…っ
告白…してん…っ』
錦[…抱きしめて?(笑)]
『…そう
…って、え?
なんで知って…』
錦[知ってる。
見てたから…
正直、
あんときはもう終わったと思ったわ。(笑)
話は聞こえんかったけど、
雰囲気で何ゆーてるかは想像ついたし。
それに、
すばるくんが離れてったとき、
俺、ちいは絶対
すばるくん追いかけてくと思ってん。
そしたら、
俺はもう出る幕ないな~
とか考えとって。
それやのに、
あいつ行かんねんもん。
あまつ、
なんか俺に甘えてくるし…
正直、
あれにはやられた。
自分のことでいっぱいなっとったらええのに、
人の気持ちばっか思いやって、
尊重して、
こいつ、ガキのくせにええ女やん。
とか思ってさ(笑)
あの夜も…
ちいの気持ちも、
メンバーの思いも、
すばるくんのことも、
全部に目ぇつぶって
いっそ抱いてまおうかと思った…]
『…抱かん、かったん…?』
錦[…抱けんかった、
かな(笑)
あいつさあ、
なんであんな考え透けてんのかな?
俺ん家着いてから、
なにやってもずっと
すばるくんのこと考えてんねんもん(笑)
それに…
18の女に、さ、
ベッドん中で別の男想って泣かれたら、
いくらなんでも手ぇだせんやろ(笑)]
『…』
錦[まあもともと、
メンバー裏切ってまでなんて
俺には荷が重すぎたしなっ
それに…
すばるくんやったら
俺も安心して任せられるって
思ったからっ]
『っ亮、
俺…っ』
錦[っすばるくん!
がんばれよ。
あいつ、
ほんまにすばるくんのこと好きやからさ、
…幸せに、したってや。]
『…亮…』
一人じゃない。
いろんな人に支えられて、
励まされて、背中を押してもらって、
私たちは前に進んでいくんだね。
いろんな人を傷つけながら、
それでも、手に入れたい
たった一つだけを求めて…
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