03 あたしの決意
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疲れた…
芸能界に飛び込んでから、
お仕事ばっかの毎日、
確かにお仕事自体は、
戸惑いもあるけど、新しいことばかりで
楽しい。
だけど最近は、
ろくに学校にも行けないし、
亮にだって会えない…
亮と同じ世界に入ったら、
亮と同じ目線にたてたら、
もっと、亮に近づけると思ったのに…
なんだか、前より遠ざかっちゃった気がするよ。
今日も、ドラマの撮影…
なんだか、少し憂鬱だな…
「おはようございま~す!」
なんて、そんな私事で、
あたしみたいな素人同然のタレントのために
昼夜関係なく走り回って、がんばってくださっている
スタッフさんたちの努力を壊せない。
あたしが今するべきことは、
それに精一杯応えることだ。
完璧にお仕事で返すことなんてまだまだ到底無理なんだから、
せめて、明るくふるまって、
みんなを元気にさせるくらいでなくっちゃ!
泣き言なんて言ってる場合じゃない!!
≪おはよう、ちいちゃん!
今日も元気だねっ≫
あ、この人…
マネージャーさんが言ってた、視聴率王の…
こんな人が相手役なんて、
あたし、ちゃんとできるかなあ?(汗)
≪…っはは、ちいちゃん、緊張してるでしょ?
リラックスリラックス!
俺もフォローするし、大丈夫だよ!≫
よかった、いい人みたい…
マネージャーさんに、この人は怒らせちゃいけないって
釘刺されてたから、実は心配だったんだ…
あ、監督さんが呼んでる、
シーンの説明を受けてる間、あたしの頭の中は
亮ばっかりだった。
亮、いまなにしてるんだろう…?
会いたいよ、亮ー…
っほ…
なんとか午前のシーンはとり終わって、
監督のカットでいったん休憩、
そういえば、今日ヒナちゃん午後からだよね…
キャストさん、当たり前だけど
知り合いなんていないから、早くきてほしいなあ~
『ちい!』
と、思ってたら、ヒナちゃんだ!
「…あ、ヒナちゃん!おはよ~
って、え…? 亮…?!」
うそ!なんで?!
錦[…おっす。]
うわーうわーうっわーーー!!
亮!亮だ!亮がいる!
なんでなんで…ヒナちゃん…グッジョブ!!!
「…っ」
でも、がまん!
ここで下手に喜んで、
付き合ってるのばれちゃったら大変だもんね…
でも……っ嬉しいなぁ~~♪
やっと会えたっ
≪ちいちゃんっ≫ギュッ
「っきゃ!」
あたしがヒナちゃんと亮としゃべっていたら、
後ろからいきなり今朝の俳優さんが抱き着いてきたっ
…あれ?名前、なんてったっけ(汗)
緊張して、顔合わせんときろくに覚えらんなかったしな~
ってちょっとやめてよ!亮がいるのに誤解されちゃう~っ(汗)
≪あ、村上さん、おはようございます!
と、錦戸さん?なんでいるんですか?≫
やばっ
ってか、その前に腕離してほしいんですけど…
錦[…や、(汗)]
『俺が連れてきたんや!
近くで仕事しとったから、見にけーへんかーって、なあ?』
錦[お、おん。]
重ね重ねグッジョブ!ヒナちゃん!
≪ふ~ん、そーなんだ。
まあ、ゆっくりしてってくださいよ!
じゃあ、ちいちゃんは俺と行こう?≫
はあ?!
冗談じゃないわ!
これから休憩だし、向こうで亮と話すんだから!
「えっ?!
や、あたしヒナちゃんと…っきゃあっ」
≪錦戸さんと話してるのに、邪魔しちゃ悪いじゃんっ
俺の楽屋でセリフ合わせしよ?≫
そういうと、その人は私の腕を引っ張って
楽屋のほうへ行ってしまった。
やめてよ!久しぶりに亮がいるのに!
だいたい視聴率王だか何だか知らないけど、
馴れ馴れしすぎるのよ!!(怒)
とは言えず、
まあ…セリフ合わせだってお仕事!って割り切って、
あたしはその人の楽屋までついて行った。
すっっっっっっごく名残惜しかったけど…
でも、楽屋についてもその人は
台本を出そうともせず、
気だるそうにテレビを見始めた…
え、ちょっと、放置ですか?
それならあたし、亮んとこに…
≪…ちい、ちゃん?
逃げようなんてしないよね?≫ニコッ
怖っっ!!
「あの…セリフ合わせしないんなら…
あたし、自分の楽屋に…」
≪俺さあ、一応視聴率王なんて言われててね?
このドラマのプロデューサーも
俺のことお気に入りだから、
けっこうキャストとか決めるのにも携わってんだよね…≫
「……はあ。」
あなたがすごいのは知ってますけど…
≪…わっかんないかなあ、
つまり、人事なんて俺の一声で簡単に変えられるってこと。
俺が一言、あいつ気に入らないって言ったら
即!ジ・エンド!≫
「……はあ。」
…なにがいいたいんだろう?
そんなこと、とっくに知ってるよ。
だからこんなとこまでついてきたんじゃん…
≪…じゃあ、僕を怒らせたらいけないって、
理解できるよね…?≫
「…はい。」
それはもう、マネージャーからも重々言われてますから。
でも、その人はそういうと、
おもむろにソファから立ち上がって、
舐めるようにあたしの身体を眺めてから、
ゆっくり、近づいてきた。
言ってることはよくわからなかったけど、
あたしの本能が、やばいっていってる…
「…っあの!あたし…っきゃ!」
≪…ちゃんということ聞くいい子なら、
ひどいことしないって。≫
そういって、あたしの顎をつかんで、
自分のほうへ引き寄せた。
キスされる…っ
そう覚悟して目をつぶったけど、
唇に触れるのは彼の吐く息。
≪…なあ、ちいってさ、彼氏いるの?≫
っいきなりなに?!
でも…亮のことは言えないし…
「っぇえ?!…い、いいいませんよぉっ…?!」
よし!ごまかせた!
はぁ~、嘘つくのって緊張する…
≪っはは、わっかりやす…(笑)≫
そういって、その人はふっと笑った。
うそっばれたの?!?!
「っちょ、本当にいませんからね?!?!(照)」
≪わかった、そういうことにしておこうかな(笑)
ま、本当はそんなこと関係ないんだけどね…≫
「もうっからかって…
そうですよ、関係な…っきゃ?!」
ードサッ
次の瞬間、ぐっと押し倒されて、
彼の唇が、私の唇をふさいだ…
わずかに開いた隙間から、必死に抵抗する
「っちょ…、やめ…っんん…はぁっ」
≪…かわいい…ちい…≫
やだ…やだっ
気持ち悪い…誰か、ぁ…っ
ーバンッ!
次の瞬間、楽屋の扉が勢いよく開いて、
ヒナちゃんが入ってきた。
「…っヒ、ナちゃ…っ?!(泣)」
怖いのと安心がごちゃ混ぜになって、
あたしの瞳には、暖かいしずくがたまって、
今にも零れ落ちそうだった。
≪っちょ、人の楽屋に…っ≫
『っお前!なにしてんねやぁ!!(怒)』
ヒナちゃんは、あたしに覆いかぶさっていた
彼の胸ぐらをつかんで、
彼に殴り掛かろうとした。
…だめ!!
あたしは思わず、ヒナちゃんに抱き着いて
その勢いを止めた。
『…っ、離せちい!こいつ…っ』
「っだめだよ!!
違うの、いいの…っ」
だめ…
今、この人を殴ったら、
あたしどころか、ヒナちゃんまで飛ばされちゃうっ
それに、約束したの。
この世界に入るって決めた時から、
ぜったい、投げ出したりしないって…
辛いことがあるなんて覚悟してた。
それでも、逃げたりしないって、
約束したの…
≪…っは、なんなんですか?
俺ら、ただセリフ合わせてただけなんですけど…≫
今は、ドラマを無事クランクアップさせることに
全力を注ぐとき。
『うそつけやっ!聞いとったんやぞ!
…こいつ襲ってたんちゃうんか!!』
≪ちいぉ!!
この頭おかしいやつ、黙らせろよ…≫
そのためには、この人を怒らせるわけにはいかない。
ごめんね、ひなちゃん…
『…おいこらガキ、お前ちょーしのるんもたいがいに…っ』
「っヒナちゃん!!
あたしたち忙しいの、
お願い…邪魔しないで…っ」
あたしなら大丈夫。
お願い、ヒナちゃんまで、巻き込まれないで…