21 記者会見
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[[っ亮!、ちい!]]
用意された会場の裏口に車を止めて、
ドアを開けると、
待ち構えていたかのように
∞のみんなが顔をだした。
「っ!
みんなぁ…っ」
安[ちいちゃん!久しぶり!(笑)]
丸[なんや痩せたんちゃうー?!]
『世間話はあとにせぇや!』バシッ
「…ヒナちゃんっ」ガバッ
昴[えぇぇぇちい!?(汗)
ゴリラになんか抱きつくなよ!
そんなことよりおっちゃんに!!]
ヒナちゃんの顔を見た瞬間、
なんだか我に返った気がして
思わず抱きついてしまった。
すばるくんが何か言っていたけど、(笑)
『ちい…っ、
よかった、無事で!』
ヒナちゃんはあたしの気持ちを
包み込むように抱き返し、
耳元でそうつぶやく。
そしてすぐに、あたしの体を引き離し、
亮と目を合わせて頷く。
やっぱり、亮に知らせてくれたんだね。
優しいヒナちゃんだもん…
忠[亮ちゃん、準備ばっちりや。
30分後に始まる。]
錦[ああ。
ありがとう。]
横[俺らは、先会場いってるからな。
亮、ちい、
負けんなよ。]
そう言って、
侯くんを先頭に、∞のみんなは
足早に会場に入っていった。
あたしたちは正装に着替え、
控え室で始まるまでの時間を過ごす。
時間が近づくに連れて、
だんだんと今から起こることの大きさが
肩にのしかかる。
…やばい、
震えが…っ(汗)
錦[…ちい。]
震えを止めようと、握りしめていた拳に
亮の手が重なった。
「…っん、」
亮はあたしの唇に、
そっとキスを落とした。
錦[前向いて、笑ってたらええ。
すぐ終わるから。]
そういって、優しく微笑む亮。
あたしなんかより何倍も、
リスクを背負っているはずなのに…っ
「っ亮、
あたし…っ」
<時間です!入場お願いします!>
言いかけた言葉は、
張りつめすぎた空気に飲み込まれる。
錦[…守るよ。]
最後にそう言って、
亮はあたしの手を握りしめて会場に向かった。
ーーカシャーッ、カシャーッ!
無数のフラッシュに目がくらみそうになる。
錦[この度は、急な開催にも関わらず、
たくさんの記者の皆様にお集まりいただき、
大変恐縮に思います。]
普段の姿からは想像もできないほど
改まった亮の挨拶から、
記者会見は始まった。
…大丈夫。
なにを言われても、
あたしは亮の隣で笑っているだけ…
錦[本日お集まりいただいたのは、
先日週刊誌にて報道された、
私、錦戸亮と、
如月ちいの交際状況について
皆様に正式に発表するためです。
つきましては、]
<お二人はいつから付き合っていたんですかー?!>
亮の一声で、あくまで静粛に始まった記者会見は、
不躾な記者の一言から、
一気に混乱に包まれた。
<あの記事は事実ということでしょうか?!>
<ちいさんは以前、
俳優の隼人さんと交際宣言されていましたよね?!>
<二股ということでしょうか?>
<国民的大スター2人を手玉に取った今のお気持ちは?!>
四方から飛び交う
耳の痛い質問
何か、言わなきゃ…っ
そう思うのに、
体が強張って言葉を発せずにいたあたしの手を、
あたたかい温もりが包む。
錦[ちいは今!
俺と付き合っています。
真剣です。
それだけが真実です。]
よく通る、毅然とした声が、
会場を突き抜けた。
一瞬にして場は凍りつき、
記者たちは
熱量のぶつけどころを失ったかのように静まり返った。
会場を一見し、亮が言葉を続ける。
錦[世間の皆さんの間には、
このちいについて、
様々な誤った情報が流れ、
今の状況をすぐには
理解していただけないかもしれません。
そして私自身、
ファンを裏切っていたと言われれば、、
返す言葉もないのが事実です。]
亮の言葉の一つ一つが、
痛いくらいに胸を打つ。
それはきっと、
あたしだけじゃ、ないよね。。
錦[しかし!
私にはこの関係を恥じる気持ちはありません。
…
辛くて、しんどくて、
どうしようもない
そんなどん底の時に彼女と出逢い、
彼女がいたから、今私はここにいる。
そんなたった一人に出逢えたこと、
私は誇りに思います。
そしてそれは、
彼女にとってもそうだと
信じています。]
そんな風に、思ってくれてたの…?
初めて聞いた、
亮のそんな真剣な気持ち。
嬉しくて、涙が出そうなのを必死にこらえ、
亮に言われたように、
私は笑顔を浮かべ、
前を向いた。
錦[私たちの関係について、
様々なお声があることは承知しています。
でもどうか、信じてください。
私たちは、
お互いがあるから前を向ける。
唯一無二の存在なんです。
勝手なことを言っているのはわかってます。
でも、大切な、
大切なファンの皆さんには、
どうか温かく、
見守っていただきたいと思っています。
よろしくお願いいたします!!]
そう言って、深々と頭を下げる亮の隣で、
あたしも深く、
深く頭を下げた。
野次を飛ばす記者は
もういなかった。
全員が息を飲み、
静かに、私たちの姿を見つめていた。
静寂のうちに、記者会見は終わり、
控室に戻る。
ーーガチャ
『おつかれさん!ええ会見やったで!(笑)』
忠[亮ちゃん、めっちゃかっこよかったな~♪]
章[っ俺!
か、感動…し…っ(泣)]
丸[章ちゃん!泣いてもーてるっ(汗)]
「ヒナちゃん…
みんなぁ…っ(泣)」
∞のみんなの顔を見た瞬間、
張りつめていた緊張の糸がプッツリと切れて、
思わず涙があふれた。
昴[ちい~、よぉがんばったなぁ!
おっちゃんの胸で泣かして、]
横[すばる!(笑)
まぁこれでひとまずは、落ち着くんちゃうか。]
錦[みんな、ほんまにありがとう。]
こんなに心強いに味方、他にいないね。
「疲れたやろ」って、その日は早めに解散して、
各々の帰路に着いた。
きっとこれから、
たくさんの困難が待ち受けているんだろう。
やっぱり、
“二股女”とか言われちゃうのかな…
あたし、芸能界続けられるのかな…
不安はとめどなく押し寄せるけど、
大丈夫。
あたしには亮と、みんながいる。
どんなことがあっても、
もう二度とあの手を離さない。
事が動いたのは、
以外にもあの記者会見の
たった1週間後のことだった…