18 ほどけていく糸
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走って亮の家の前まで来たはいいけど、
…そりゃそうだよね。
案の定、留守。
仕事かな?
でも、下手に動いてすれ違ってもいやだし…
そう思って、
あたしは亮が帰ってくるまで待つことにした。
ー1時間後ー
「さすがにまだ終わらない…か。」
ー3時間後ー
「…おなかすいたな…
ってだめだめ!!
ご飯食べてる間に帰ってくるかもしんないし!!」
ー5時間後ー
「…ん…
…っは!…あぶな…」
ー7時間後ー
「………zzz」
幸せな夢を見た気がする。
亮が隣いて、∞のみんなもいて、
みんなで、笑ってる…
ー亮side
テレビ局を飛び出したはええけど、
ちいん家行っても留守やし、
どこにおんねんっ(汗)
一日中探し回って、
気づけばもう夜。
錦[…あかん…っ]
ついに見つからんくて、
あきらめて自分の家に帰ってきてびっくりした。
錦[……誰?(汗)]
俺の部屋のドアにもたれかかって
寝息を立てる人影。
恐る恐る近づくと…
錦[………ちい?]
俺が声をかけると、
その人影はぱっと目覚めて、
驚いた表情で俺を見上げる。
「…っ亮、
ごめん、…あ、たし…っ(汗)」
そういって、目に涙をいっぱい溜めるのは、
まぎれもなく、ちい。
俺は我慢できずに、
その愛しい存在を抱きしめた。
錦[…っちい…!]
「亮…っ」
やっと会えた…っ
俺たちは抱き合って、
どちらからともなく、唇を重ねた。
ああ、
心が、満たされていく…
錦[…ちい、俺っ]
「亮っ、
ごめん、ごめんね…っ」
俺が
気持ちをぶちまけてしまおうと思った瞬間、
ちいの言葉に遮られた。
錦[ちい?
なにが、ごめんなん?(汗)]
もしかしたら
これが今生の別れになるかも、
そう思うと、もう強がる余裕なんかなかった。
探るように聞く
俺のほほに手を当てて、
ちいの柔らかい唇が、俺のそれに重なる。
「…亮のこと、
忘れられなくて…ごめん…っ」
錦[…え?]
一瞬、ちいの言葉が理解できんかった。
忘れられんくて?
あんなに
乱暴に扱った俺を…?
「…あ、たし、
…っ隼人さんに、
汚された…っ(涙)」
ちいが何を言っているのか、
混乱して、
俺は何も言葉を発せんかった。
「…こんなに、汚れて、
亮のことも、傷つけて…っ
なのに、ごめん…
…亮が…っ、好き…っ」
目に涙をいっぱい溜めて、
必死に言葉を紡ぐちい。
好き?
俺を?
錦[………っ]
何を答えればいいのかもわからなくて、
ただそんなちいの顔を見つめる俺。
「許されないってわかってる。
だから、あきらめようって、
隼人さんの、言うこと聞こうって。
亮にも、忘れてもらおうって…
昨日、あんなことしたのに…
忘れ、られないの…っ」
絡まってた糸が、
ほどけていく。
「…言い訳してるって、わかってるけど、
あの晩、
亮が、ホテルであたしと隼人さんを見た時、
あたし、
…薬、飲まされてて…っ
言うこと聞かなきゃ、
亮とのことばらす…って言われて、
亮のこと、守ってるつもりで、
こんなに、傷つけてたんだよね…っ」
やっぱりお前、
俺なんかのことかばって、
あいつに抱かれてたんやな…
そんなお前に、
俺、なんてゆーた…?
それやのに…っ
…一筋の涙が、頬を伝うのが
見なくてもわかった。
自分の愚かさ、
隼人への怒り、
ちいの痛み、
なにより、
最愛の人を守れなかったふがいなさ。
すべてが一筋の涙に変わり、
溢れ出た瞬間だった。
「…ごめんね。
こんなこと、元カノに言われても怖いよね(笑)
ただ、あたしがまだ亮のこと好きだって、
伝えたかっただけだから…」
そう言って、自嘲気味に笑って
俺の腕からすり抜けようとするちいを、
もっと強い力で抱きしめた。
ちいを信じてやれんかった、
守ってやれんかった、
そして、こんなにも傷つけた。
こんな俺が、今さら
ちいにかける言葉なんて見つからんけど、
一個だけ、
どうしても伝えなあかん言葉があるから、
これだけ、
一言だけ言わして…
錦[…好きや。]
大好きや。
俺には、お前しかおらんねん…っ
錦[…隼人に、全部聞いたよ。
俺かて、
裏切られたって勘違いしたあの時からずっと、
ちいのこと忘れれてない。
昨日、あんなに乱暴に抱いて…
いっそ、壊れてまえって思ったのに、
やっぱりお前しかおらんって、
思い知らされただけやった…っ
…ほかの女抱いても、
ちいの顔しか浮かばんねん…
お前が汚れてるっていうんなら、俺かってそうや…
こんな俺やけど、
もう一回、
ちいの隣にいさしてほしい…っ]
溜めてた想いをぶちまけた。
俺の胸の中で、戸惑いがちに見上げながら
涙を流すちいの瞳に、
そっと口づける。
途端に体の力が抜けて、
ちいの体は、俺の胸の形にぴったりはまる。
錦[…抱いても、ええ?]
少し困惑の表情を浮かべるちい。
錦[…昨日、あんなけ乱暴にしてもーて、
怖いと思うけど、
やり直し、したいねん…っ]
…やっぱり、
すぐには無理か…
あきらめて解放としたその刹那、
ちいから、くちびるを重ねてきた。
「…優しく、してくれる?」
そう、涙目で聞く彼女は、
心なしか細く震えていた。
錦[もちろんや。
今までで一番、優しくするよ。]
耳元でそう言うと、
顔を真っ赤に染める彼女が愛しくて、
…ごめん、止まらんかも(苦笑)
その夜、ひさしぶりに、
女を抱きしめながら眠った。
いや、ちいやから、
あんなに安心して眠れたんやろう。
行為の後、
錦[いっぱい傷つけて、ごめん。
…いまさらやけど、
俺が、お前のこと守るから…]
そういうと、
俺の大好きな笑顔を向けてくれた。
これだけで、俺は
まっすぐ立ってられるような気がした。