14 お前やないと…
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あれから、亮とは一切の連絡もとれず、
あたしは休みの日も、
隼人さんと過ごすことになった。
デートをするでも、話をするでもなく、
ただ、抱かれる。
きっと隼人さんも、あたしが好きなわけじゃない。
でも、交際宣言しちゃった手前
他の人と迂闊に会うことも難しいから、
手っ取り早い性欲処理。
こんなことのために…
あたしは亮と…っ、
時々、とんでもないほどの
憎しみの渦に取り込まれたりもするけど、
マネージャーから
[また仕事来たよっ]って言われるたびに、
我を取り戻したようにはっとする。
ああ、やっぱり
この人には逆らえないんだ。って。
最近、なんのために頑張ってるのかわからない。
もうすぐ、ドラマもクランクアップ。
あたしは、どこに向かって走ればいいんだろう…
<…え~ほんとー?>
<ほーんとなんだって!
最近らしいんだけどね?>
ぼーっとテレビ局のベンチに座っていると、
隣の席で女の子たちの話し声が聞こえた。
<でもさ~ちょっと前まで
ぜんぜん遊んでくんなかったじゃ~ん>
<それがさっ、
キヨミもこの前抱いてもらったって言ってたよ!>
<うっそ!
亮ちゃんキヨミみたいなタイプ苦手だったじゃん?>
…うそ、聞き間違い…?
<でしょ?あの一見清楚タイプ!
なんか最近はそっちタイプとばっか遊んでるって~>
<へ~、ならあたしも遊んでくんないかなぁ~(笑)>
<いけるんじゃん?カヨも清楚系だし!>
<でも気をつけな~?
亮ちゃんってすっごいエッチうまいから、
一回ヤったらもうほかの男と寝れないよ?(笑)>
やっぱり、亮の話…
亮、まさかまた、そんなことしてるの…?
<でも一回は寝ときたいよね~♪>
<うわ、上から~っ(笑)>
やめてよ…
これ以上亮を苦しめないで…っ
<なんか今んとこ来る者拒まずらしーし、
裸で特攻したら追い返されることはないんじゃん?(笑)
でもっそれ以上は期待しちゃだめだよ!
亮ちゃん当分本カノ作る気ないらしーし、
しつこくすると切られちゃうよん♪>
<そんなことしないよ!
だって亮ちゃんにはなるべくずっと
遊んでてもらわなきゃ(笑)>
<<だよね~(笑)>>
ーッバン!!
それ以上聞いてられなくて、
あたしはわざと大げさに机をたたいて立ち上がった。
<(…なにあいつ。)>
<(あ、あれじゃん?
隼人くんとフライデーされた
ずうずうしい新人女っ)>
<(やだ、今の話聞いてたんじゃない?
隼人くん一人じゃ足んないってのかよ…)>
ひそひそ声で、女の子たちが喋ってるのは、
きっとあたしの悪口。
でも、そんなの気にしてられない…
亮…
どうして?
どうしてそんなに
自分ばっかり傷つけるのっ
気づけば、あたしは亮の家の方へと走り出していた。
何がしたいのかはわからない。
あたしに、止める権利なんてきっとない。
それでも…っ
ー亮sideー
ーピンポーン…
また、女か。
最近だけで、いったい
何人抱いたんやろう…
もう、それすらもわからん…
それでも、俺の中の欠けたピースは
埋まる気配を一向にみせず、
ただただ虚無感だけを募らせていく。
どこで聞いたのか、
俺がまた遊び始めたと知った女たちが
山のように押し寄せてくるから、
幸い女に困ることはない。
誘いの電話をかけずとも、
こーやって家までくる女も後を絶たん。
やからその時は油断してた。
また、あほな女が来たんやろうと、
うかつにも確かめもせずに
ドアを開けてしまったんや…
「………っ?!」
目の前には、探し続けた女の姿。
いったいどこから走ってきたのか
肩で息をして、
でも目はしっかりこっちを向いている。
錦[………ちい?(汗)]
「…っりょ、お…っ(汗)」
何も言えなかった。
唐突すぎて、なにがなんだかわからんかった。
‘なにしにきてん?’
そう、冷たく言い放てれば…あるいは…
「……抱いて、よ…っ」
は?
え、なにゆーてんの…
全然展開が読めん。
それだけゆーとちいは、
強引に俺を押しのけて部屋に上がりこみ、
自ら服を脱ぎ始めた。
錦[…っな、なにやってんねん…っ(汗)]
俺はただ、ちいを見つめていた。
やがて、着ていた衣服をすべて脱ぎ去り
生まれたままの姿になったちいは、
恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして
目は涙目で、うつむきながら
ゆっくり、俺に近づいてきて、
そっと、くちびるを重ねた。
涙が、出そうだった。
キスって、こんなに満たされるもんやっけ…
その細い体を抱きしめて、
もっと深く、こいつを愛したかった。
でも、そんな本能とは裏腹に、
一度へそを曲げた俺のプライドが、
ちいを突き放す。
錦[…なんや、あの俳優だけじゃ足らんのか(笑)]
ついさっきまで重なっていたくちびるを手の甲で拭い、
そんな言葉を浴びせる。
ちいは何も言わず、うつむいたまま。
錦[…元彼に求めるほど、飢えてんの?(笑)]
耳元でそんな言葉を浴びせても、
ちいは何の反応もしない。
次の言葉を発しようとした矢先、
おもむろに、ちいに押し倒された。
「…うるさいなあ。
いろんな女の子と遊んでるんでしょ?
あたしとも、遊んでよ?(妖笑)」
それは、
あのころのちいからは想像もできない言葉だった。
強気な言葉とは裏腹に、揺れる瞳。
弱弱しく震えながら俺を押さえつける腕の力は
あまりにもか細くて
そこが、俺の中の男の本能をくすぐる。
すぐに形勢逆転して、
ちいを見下ろしながら
錦[…話早いな(笑)
望み通り、遊んだる。]
そういって、すでに露わになっていた
胸の突起に吸い付いた。
かすかに漏れる甘い吐息が、
あのころとなにも変わってなくて、
今までになく、感情が高ぶっていくのを感じた。
俺の下で、
小刻みに震えるちいの胸の内に目をつぶり、
無我夢中でただ快感を求め、
もう何時間たったかもわからない…
時折苦しそうに何か言葉を発するちい、
その目からは涙があふれ、
喘ぎ声はもうかすれて、悲鳴にもなっていなかった。
俺はそれでも、
躊躇なく腰を振り続ける。
壊してしまわないように
なんて、考える余裕もないくらい、
俺は久しぶりに感じるその心地よすぎる刺激に
ただひたすら酔いしれていた。
むしろ、
壊れてしまえばいい。
俺で、いっぱいになってしまえば…っ
ああ、俺はこのくそ女を
まだこんなにも、
愛してる。
行為は数時間にも及び、
さすがの俺も力尽きて
すでに意識もあいまいなちいの上に倒れこんだ。
でも、決して抱きしめたりはしない。
すぐに起き上がり、
余力なんてないに等しいちいを無理やり立たせて
服を着せ、ドアの外へ追い返す。
ちいは玄関を出たところで力尽きて倒れこんだが、
目もくれずにドアを閉める。
その直後から翌朝にかけて、
俺はきっと、一生分の涙を流したんだろう…
薄いドア一枚隔てたちいの隣で、
声を殺して…
ちい…
俺はやっぱり、
お前やないとあかんねや…