02 気まずい食事会
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「…あの~、そろそろ教えていただけませんか?(汗)」
『………、ん~………zzz』
うん、まず状況を整理してみよう。
あ、ちなみに今はなぜか押し込まれたタクシーで
この人が運転手さんに伝えた場所へ
(私はどこか聞かされてないけど)
向かってる車中です。
えーっとたしか、バイトの帰り道に
表通りがうるさかったから裏道から帰ることにして、
そしたら怖いおにーさんに絡まれて、
隣でなぜか気持ちよさそーに寝息を立てていらっしゃる
この人に助けられた。
そしてなぜかそのまま
この人を追っかけてたらしい女の子たちからも
一緒に逃げる羽目になって、
それから、それから… キス
…やっぱりおかしい。
ついでに言うと、
今こうして私がプチパニックを起こしてるのに
ほぼ無理やりこの車に連れ込んだこの人が
私の隣で寝息を立ててるのもおかしい。
いったいなんなの? この人…
【お客さん、着きましたよ。】
そうこう考えているうちに
どうやら目的地に着いたみたいで
私は隣で寝ていた彼を起こした。
彼はまだ眠そうに眼をこすりながら、
半分出すって言ったのに『ええから。』って
けっきょくタクシー代を払ってくれて、
私たちはタクシーを降りた。
『…ふぁ~あ、ええ夢見とったのに…』
「…あの、そんなことより、ここどこですか?
ていうか…あなたが誰かもまだ知らないし、
どうしてこんなとこ連れてきたんですか?(汗)」
車中で彼が寝てしまうから、
彼のことを何も知らない私は
なんだか不安になってきた。
バイトが終わったとき23時だったから、
確実に日は変わってるだろうし、
こんなところでもし帰っていいよなんて言われても
帰り道だってわかんないし…
そんな思考が、顔に出てたのかな?
彼は少し可笑しそうにふっと笑って、
私の頭にその大きな手を乗せた。
『そんな、今にも泣きそうな顔せんとってーや。
別に変なことしよー思て連れてきたんちゃう、
まあ、ついといでっ』
そういって、私の手を取って
目の前の店ののれんをくぐった。
って、けっきょくこの人は誰なのよ?!
わけがわからないまま、
知らないところだから
怒って「帰ります!」ともいえず、
とりあえず、引っ張られるまま彼についていくと、
一つの個室の前で足を止めた。
『ここ。もーみんな集まってるって!』
そういって個室のドアを開け、
『レディーファースト♪』と悪戯っぽく笑って
私の背中を軽く押した。
中にいたのは、彼と同じくらいか
少し年上の6人の男の人。
瞬時に場違い感を察知した私は
回れ右で失礼しようとしたけれど、
私のすぐ後に続いて入ってきた彼の大きな体に阻まれた。
「ったぁ~(泣)」
『もーびっくりした、
いきなり戻ってこんでよ~(笑)』
そういって笑って、
彼は押さえてた私のおでこをよしよしって撫でた。
そんなやり取りを見て何を勘違いしたのか、
雛[なんやな大倉、お前彼女おったっけ?]
丸[かわいいやん!紹介してや~♪]
安[へ~、隅に置けんなあたっちょん♪]
横[なんや!自慢かあ?大倉ぁ!(笑)]
亮[…誰やねん。]
皆さんにこにこしながら話しかけてくださって、
楽しい人たちなんだな~って思った
んだけど、
例外がお二人…
一人は興味もないのか
こっちに目もくれずテレビ見てるし、
もう一人なんか…に、睨まれてる?(汗)
「っちょ、ちょっと…っ(汗)」
なんだか気まずくてちょっと怖くて
彼のほうを振り向くと、
彼はすでに席についてて、
他人事のように料理を口に含みながら
私のことをにこにこして見てた。
『ああ、ごめんごめん!みんなあ!
その子なあ、さっきちょっと助けてもろてん(笑)
やから一緒に飯食おー思てな、連れてきた!』
…、思いっきり説明不足です。
「あ、あの!違うんです!私が…」
昴[なあ!みんな食わへんの?]
私が説明を補足しようと思ったら、
さっきまでテレビを見ていた長髪の人が
大きな声で呼びかけて、
みんなは口々に
[せやせや、冷めてまうわ~]とかいって
料理を食べ始めた。
私はどうしたらいいのかわからなくて
立ち尽くしていると、
亮[立ってられると落ち着かん。座れや。]
ってさっき私を睨んでた人に言われて、
その人の隣に腰かけた。
っていっても、知らない大勢の男の人に囲まれて
おなかが減るほど私は図太くないわけで、
お料理なんて食べる気になれず、
一人オレンジジュースを飲んでると、
私の向かい側に座っていた金髪の小柄な人が
口を開いた。
安[ってゆーかさあ、おい大倉ぁ!
お前が連れてきたんやから、
ちゃんと責任もって紹介せぇよ!
ほら、そのから揚げおいて!!]
『あぁ~!俺のから揚げぇ!!(泣)』
雛[そや、大倉!
その子も困っとるやんけ!]
『ああ、まあ、そやな、ごめん。
えーっと、自分、名前は?』
「あ、はい、如月ちいで…」
[[…はあ?!]]
『え…なんなん?知ってるん?』
丸[…や、そやなくて…]
安[え…っと、二人は、知り合い…やねやんな?]
『やから、さっき助けてもらったんやって。』
雛[ちょ、待て、大倉?
もっかいちゃんと説明してくれるか?(汗)]
『も~、だからぁ…』
それから彼は、起こった一部始終を話した。
てゆーか、聞き出されてた(笑)
話の流れで、ちゃっかり私も
状況をやっと理解した。
彼がジャニーズのアイドルで、
ファンの子にばれて囲まれていたこと。
逃げてる途中に、ヤンキーに絡まれてる私を見つけたこと。
とりあえず自分にキャーキャー言わない女の子を
ファンの子をまく彼女役に探していたこと。
私が(知らない内に)その役になっていたこと。
事の顛末を話して、
みんなはようやく納得したようだった。
…一人を除いて…
安[なるほどな~]
亮[それで助けてもらったーゆーてたんか。]
丸[この子、えらいことに巻き込まれて…
怖かったやろ~]
『っおい、丸!なに触ってねん!』
テンションの高いパーマの人が
私の頭をなでると、彼がなんだか怒って(?)
私をぐいっと自分の方に引き寄せた。
丸[えーやん!触らしてーや!!]
雛[変態かっ]バシッ
横[…待ってーや、俺まだわかってへん!]
みんなで少し団らんしかけたところ、
色白の人が口を開いた。
雛[なにがわからんねん!]
横[どーやって女の子らまいたん?]
『やからあ、彼女おるってとこ見して油断さしたんや。』
横[…どーやって?]
そうだ、キスしちゃったんだ…
なんて答えるんだろうって思って見つめると、
彼と目があって
『…こーじゃない?』
そういってもう一度、
不意に唇を重ねられた。
びっくりして硬直した私を
『…かわいっ(笑)』って笑って撫でる彼。
ちょっとお酒臭いっ
「…っちょ、いきなりっ(照)」
顔が真っ赤になったのが、鏡を見なくたってわかった。
場は一瞬静まり返って、静寂を割いたのは彼。
『そーいうわけやから、とりあえず自己紹介する?』
そういって彼は、私をみんなの前にぽんっと突き出した。
「え…っと、如月ちいです。19です。
よろしくお願いします。」
何を言えばいいかわからなかったから、
とりあえずそれだけ言って頭を下げた。
雛[ちいやな!
ごめんなあ、うちの大倉が迷惑かけて!
俺は村上信五。
みんなヒナって呼ぶから、ヒナでええよ!]
丸[ども!ちいちゃん!丸ちゃんです!ッパーーーン!!]
安[丸うるさい!(笑)
安田章大です~、みんなヤスって呼ぶけど、
ぜひ章大って呼んで!ちいちゃん]
横[横山裕です。本名は侯隆です。
侯くんとか…なんでもええよ!ちいちゃん。]
亮[…錦戸亮。好きに呼べや。如月。]
ヒナさんに丸ちゃんさん、
章大さん、侯隆さん、…錦戸さん?
一気に覚えられるかな…(汗)
あれ?そういえばあの長髪の人…
『すばるく~ん!ちょ、ちいに
自己紹介したってや!』
昴[………、渋谷。]
『そんなけぇ?!ま、ええか。
あ、ちなみに俺は大倉忠義なあ!』
雛[おっ前、自分の自己紹介もまだやったんかいなっ(汗)]
『や~、ここ来る時のタクシーで
するつもりやったんやけどさ~
久しぶりに走ったから眠くって(笑)』
渋谷…さん?
私、嫌われてるのかな…(汗)
やっぱり、ここにいる人たちは友達だよね?
私みたいな部外者、場違いなんだ…
みんなとの初対面は、すっごく気まずくって
正直早く帰りたかった。