10 約束
name change .
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
[…痛いことしとるな。]
泣き崩れて、身動きの取れないでいた私の目の前に
一つの影が立った。
「…渋…谷さん、み…見て…?」
昴[大倉、今日の収録ほっぽりだして
お前のこと探しに行ったからな。
心配なって、探しに来たんや…]
どうしよう…なんて、説明したら…
戸惑っていると、
おもむろに、渋谷さんが私を抱きしめた。
昴[もう、ええやろ?話してくれや…]
だめだって、わかってた。
巻き込むことになるって…
でももう、一人じゃ立っていられない、
助けて…
「っ私…、忠義…をっ、傷つけた…ぁっ(泣)」
昴[…うん、ええよ。ゆっくりでええ。]
そういって、背中で優しいリズムを刻む
渋谷さんにすがりつくように、
私は渋谷さんの背中に手をまわして、
ゆっくり、目を閉じた…。
目が覚めると、見覚えのない部屋。
昴[…あ、目ぇ覚めた?]
心配そうにのぞきこむのは
私が辛いとき、壊れてしまいそうなとき、
そばにいて、抱きしめてくれた、
優しい人の顔。
どうやらあの後、私は疲れてたのか、
渋谷さんの腕の中で眠ってしまい、
渋谷さんが、部屋に連れてきてくれたみたい。
昴[電池切れたんやろ(笑) …ん。]
そういって差し出されたコーヒーを
一口、口に含み、
私はゆっくり、溜めてたことをすべて吐き出した。
「…あの日、社長さんって方に事務所に呼ばれて、
写真を、見せられたんです。」
昴[写真?]
「…忠義と…キス、してる写真。」
昴[…っ!]
「フライデー…って言ってた。それと、
“関ジャニ∞大倉忠義熱愛?!”って書かれた記事。
…ギリギリ、だったんだって。
社長がとめてくれたおかげで、なんとかバレずに済んだ。」
昴[………]
「今の忠義、ひいては、関ジャニ∞にとって、
この時期に、こういった類の
スキャンダルは、命とりだって。
…私みたいなっ、女のせいで、
忠義の夢、居場所…奪うことになる…って…っ」
話しながら、涙があふれた。
言葉にすることで、まるで自分に言い聞かせてるみたいで…
「…それで…っ」
昴[別れろって?]
「…え、?」
昴[社長に…別れろ…って、言われたん?]
私は、黙ってうなずいた。
それ以上は、言葉にならなかった。
渋谷さんの手が、私の腕をつかんだと思ったら、
次の瞬間、私は渋谷さんの腕の中にいた。
昴[…全部っ、一人で抱えてたんかっ?
大倉のことも、俺らのことまで…
全部背負い込んで…っ
…
辛かったな。
一人で、苦しんでたんやな…
がんばった…よぉ、がんばった…っ]
背中越しに聞こえる、よく響く低い声。
…少し、ふるえてる。
…泣いて、いるの?
力強い声とは裏腹な、繊細で優しい言葉に、
どうしよう、涙 止まらないよ…
昴[…お前…これでいいんか?]
しばらくの沈黙の後、渋谷さんが口を開いた。
「…え?」
昴[このまま、自分に嘘ついて、
大倉にも、嘘ついて…]
「っしょうがないじゃない…」
昴[っでも!]
「しょうがないの!
これで、よかった…っ!
私なんかのせいで、忠義の夢を、
大事な居場所を…っ、奪うなんて、だめ…」
昴[でも、それやったら…お前は…っ]
…私?
そんなの、決まってる。
「忠義の幸せが、私の幸せ…。」
にっこり笑って、そう言った。
そう、この言葉に嘘なんて一つもない。
忠義の歩く未来は、抱く夢は、
いつの間にか、私の夢になってた…。
絶対、壊させたりしない。
昴[…ちさと…っ]
「お願い、このことは誰にも言わないで。
もちろん、忠義にも…」
ごめんね、渋谷さん。
一つだけ、お願いしてもいいかな?
お願い、どうか忠義を、支えてあげて…
優しい人なの。
私なんかのために、今もきっと傷ついてる。
こんな、身勝手な女の言葉さえ、
そのきれいな心には、まっすぐ届いてしまうから。
優しいあの人を、どうかそばにいて、守ってあげて。
私にはもう、その資格はなくなっちゃったから…
そばにはいられないけれど、
私の心には、いつもあなたがいるからね?
どこにいたって、見守ってる。
これくらいなら、
意地悪な神様も、許してくれるかな…