01 出会いはけっこう最悪で
name change .
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大阪 心斎橋
行き交う人々はみんな、
一期一会の存在。
御堂筋の終わりのオフィス街は
今日も一日働きづめだった人々を解放して
ネオンを消し始める時間。
偶然 あなたに出逢った
バイトも終わり、
いつものように駅に向かう途中
見慣れない人だかりが目に入った。
中心にいるのは、サングラスに帽子を深くかぶった
背の高い男の人。
その人の周りには
たくさんの女の子たちが集まって
黄色い声援を飛ばしていた。
芸能人でも来てるのかな?
なんて思ったけれど、
「こんな時間に…非常識な人たち…」
ミーハーでもなければ
芸能人にもあいにく詳しくない。
なるべく関わりたくないと思った私は、
いつもの帰り道から一つ裏筋に入った。
一つ通りを変えるだけで
あの華やかさが嘘のように街は顔色を変える。
時間は23時過ぎ
私だって一応乙女の端くれ。
こんな時間に、少し危ないかな?
なんて思ったけど、
駅まではほんの2~3分。
表の騒がしさと比べたらなんでもない。
なんて、思ったのが運の尽き。
ああ、大阪というのはなんて危険な街なんでしょう。
【おねえちゃん一人?
こんな時間に危ないよー?
お兄さんとちょっと休憩していかない?】
お酒を飲んでるんだろうな、
少し赤い顔をした強面のおにーさんに
見事に絡まれてしまった。
「すみません、急いでるんで。」
こういう人には、笑顔を向けちゃいけない。
そういう教育を受けてたものだから、
なるべく目を合わさないようにして
その場を立ち去ろうとした。
その時…
ガッ
【んだよ、生意気なねえちゃんだな。
黙ってついてくりゃいいんだよっ】
腕をつかまれたかと思えば、
ものすごい力で引っ張られる
「っちょ、やだ!」
このひとりを振り払ったところで、
相手は三人。
体力に自信もないし、走っては逃げ切れない。
急に怖くなって、体が震えた。
「…っ、誰かっ…」
蚊の鳴くような小さな声
きっとこのおにーさん達にさえ聞こえてない
でも次の瞬間、さっきまで
強引につかまれて赤くなってた私の腕は、
離されて、誰かに抱き留められていた。
『おにーさん、ごめんやけど
この子、返してもらうで?』
私を抱き留めていたその人は、
おにーさんたちにそう言い残すと、
私をふわっと抱き上げて、そのまま走り去ってしまった。
「…えっ、ちょっだ、誰?(汗)」
『いきなりごめんな、
でもさっきの、連れじゃないやろ?(笑)』
そう言って笑ったその人は、
よく見るとさっきの人だかりの中心にいた人
「…あなた、さっきの…」
『あれ?俺のこと知ってる?
ま、いっか、今のお礼に、ちょっと協力してな!』
協力…?
いったい何を言ってるのか尋ねようとした
その瞬間、
さっき人だかりを作ってたたくさんの女の子たちが、
私たちめがけて走ってきているのが見えた。
《いたわよーーー!》
《きゃーったっちょん~!》
みんな口々に叫びながら走ってくるその姿は
はっきり言って怖かった。
「っちょ、みんなあなたの知り合い?!(汗)」
『そういうわけじゃないんやけど…ってあれ?
自分、やっぱ俺のこと知らん?』
「…さっき人だかりの中心にいるのを見た。」
『…あ~、そーゆー(笑)』
なんだかわからないけれど、
にやっと笑ったその人は
わかった。
といって立ち止まった。
「っちょ、なんで止まるのっ(汗)」
どんどん迫ってくる女の子たちから
逃げようとした瞬間、
私はその人に抱き寄せられて、
唇が ふれた。
《…ッキャーーーーーーーーーーーー!!!!》
女の子たちは一瞬静まり返ったけれど、
瞬く間に悲鳴に近い声を上げてその場に立ち止まった。
その隙をついて彼はまた私を抱き上げて、
『じゃ、そーゆーことやから!』
って女の子たちに言い残して、
また走り去っていった。
これが、私と彼の最初の出会い。
このときはまさか、
この出会いが私の人生に
大きな転換をもたらすなんて
考えもしなかったの…
1/1ページ