06 As long as the living .
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錦[……ん…え、なに…?
【村上くん】?…
え、今日の仕事午後からやろ?(汗)
…
あ、留守電一件…]
何十件という着信の最後は、
一件の留守電やった。
朝早いこともあり、若干の怪訝感も抱きながら、
俺は仕方なく、その一件の留守電を再生した。
どうせいらんことやろうと
適当に聞き流してたあの時の俺を殴りたい。
まさかあんな言葉が流れてくるなんて、
とてもじゃないけど想像できなかった。
なあ、なんでなん?
だってついさっきまで
俺と普通に喋っとったやん。
俺、本気で幸せになってほしいと思ってんで?
あいつのことも、
こんなんゆうの、独りよがりかもやけど、
お前にやったら任せれるって、思っててんで?
やのに…
《…一件ノ留守番メッセージヲ再生シマス…
っ亮!!…これ聞いたら、
すぐに○×病院来てくれっ
…詳しくは、着いてから話す。
っとりあえず、落ち着いて!
大丈夫やからっ
目立つ外傷はないし…
あー、もう!
とりあえず、早く来てくれ!!!
…ッピ―…》
錦[…なんやねん?
村上くんが一番落ち着いてないやん(苦笑)
ってか、病院?
…とりあえず、着替え…っ]
なにゆーてるかは早口とあっちの焦りで
あんまわからんかったけど、
空気感くらい伝わる。
後ろで若干話し声が聞こえたから、
たぶんメンバーも集まってる。
外傷…?
なに、誰か事故った…ん?(汗)
与えられた情報が少ないのと、
やばそうな単語の羅列から
さすがに俺も焦って、
手当たり次第に服を着て、車を走らせ、
指定された病院に向かう。
着いてロビーに入った瞬間、
俺は頭が混乱して
何が起きてるのかまるで理解できひんかった。
予想通り、勢ぞろいするメンバーの中、
この場にいないやつが一人。
そしているはずのない…
錦[っちい?なんでこんなとこに…
村上くんっ…(汗)]
雛[っ亮、落ち着け。
大丈夫、命に別状はない。]
錦[命って…ヤスは、ヤスは今どこにおるん?!?!?(汗)]
横[やから落ち着けて亮!…あん中や。]
そう言って、取り乱して村上くんに
掴み掛る俺をなだめるように引き離した横山くんが
指差した先には…
錦[…は?〝集中治療室〟?
なんで…なにがあったん…っ]
丸[…章ちゃん、昨日の夜事故に逢ってんて。
家に帰る途中やったんかな?大阪で…
相手の運転手さん、飲酒運転の常習犯やったみたいで、
今さっき、警察が連れてった…]
昴[まずヒナんとこに連絡がいったみたいで、
俺らは、全員明け方ヒナからの電話でここに来た。
俺らが着いた頃には、
ヤスはもう、あん中やった…]
錦[…うそやろ…なんで…
なんでヤスやねん…っ(泣)]
俺は、悔しくて涙が出た。
なんであいつやねん…
あいつ、苦しんで苦しんで、
やっと幸せになるとこやったのに…っ
雛[さっきお医者さんが出てきて、話したんやけど、
奇跡的に、目立つ外傷はほとんどないんやて、
ただ、頭強く打ってるから、
…今日が、ヤマらしい…]
「………っ(泣)」
錦[……?!]
鼻をすする音に目を向けると、
大倉に肩を抱かれながら、
ロビーの隅のソファで膝を抱えて、
ちいは涙を流していた。
…そうや、俺が泣いてる場合じゃない。
今一番不安なんはちいや。
錦[…大丈夫。ヤスやで?
絶対、持ちこたえる。]
涙を流してるのを悟られないように、
メンバーの方を向いて、
ちいに聞こえるように大きな声で言った。
雛[…そやな、安田やもんな!
すぐまた、あほみたいな顔で笑うわ(笑)]
横[ほんまやで!
こんなに心配してんの、あほらしなるよーなあほ面でな!]
丸[章ちゃんの復帰祝いの一発ギャグ、
考えとかなあかんかな(笑)]
昴[っしゃ、丸!
久しぶりにタッグ復活や!!]
無理に明るくしてくれてんのが伝わる。
その証拠に、誰も俺の涙に触れやんし…
みんなでそんな風に話してたら、
自然と俺の涙も乾いてきた。
俺はいまだ肩を震わせる彼女のもとに近づいて頭を撫でた。
錦[…ちい、ゆーたやろ?
ヤスのこと、信じたれって(笑)]
「…りょ、ちゃん…あたし…っ(泣)」
忠[ほら、泣きやみ?ちい。
可愛い顔が台無しやで?(笑)]
「もぅ、たっちょん…(照)」
そういって、いつものように
悪戯っぽくほほを染めるちい。
ってかボン倉っ
おいしいとこ持ってきやがって…(怒)←
ヤス、お前、がんばれよ…っ
こいつのこと、幸せにすんねやろ?
祈るような気持ちで
集中治療室と書かれたドアに視線を向けると、
フッ、と、光っていたランプが消えた。
ーッガタッ!!!
みんなそれに気づいたみたいで、
一斉に俺たちは立ち上がり、
ドアの前に駆け寄った。
雛[っ先生!
ヤスは…安田は大丈夫なんですか?!?!?(汗)]
医者[っ落ち着いてくださいっ(汗)
先ほど申し上げた通り、お友達に
目立った外傷はありません。
脳波も安定したため、
峠は越えたと思ってください。]
そう言って笑った先生を前に、
俺らは全身の力が抜けて、
ちいは床にへたり込んだ。
「…章大、に…会わせてください…っ」
振り絞るようなか細い声。
医者[…まだ、目は覚めないでしょう。
でもご安心を。
眠っているだけですからね。
ただ…]
そこまで言って、
先生は表情を曇らせた。
昴[…“ただ”なんですか?
はっきり言ってくださいよ!!]
医者[っ…、先ほども申しあげましたが、
頭を強く打たれているため、
目が覚めても、記憶があいまいになっている
可能性があります。
特に、本人の心に深く印象付けられているものほど
あいまいになりやすい。
家族や、親友…そして、恋人…]
丸[…章ちゃん、俺らのことも
忘れてるかも、ってこと?]
忠[もしかしたら…自分のことも…っ]
みんなが複雑な思いやった。
たった一人を残して…
「っそんなの…かまいません…っ
よか…った、生きてて…っ(泣)」
そう言って心底安堵の表情を浮かべて
再び泣き崩れるちい。
その姿に、きっとみんなが見惚れてた。
だってその心が、あまりにも綺麗やったから…
横[…ちいの言う通りや。
生きてさえおれば、
たとえヤスが全部を忘れても、俺らがおる。
また1からでも、0からでも!
みんなで始めたらええよな。(笑)]
横山くんのその言葉に、
みんなの目に生気が戻った。
錦[っその通りやん!
今までほとんどの時間一緒に過ごしてきたんやで?
ちいもおるし、なんも問題ないわ!(笑)]
雛[…ほんまやな(笑)]
みんなで笑いあった。
ちいも、笑ってた。
でも、この時はまだ気づかなかった。
これが、俺らが見た、ちいの最後の笑顔になるなんて…