05 Feeling of Syota .
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亮と分かれてすぐ、俺は別れてから初めて、
自分から妃愛に電話した。
ープルルルル…プルルルル…ッピ
妃《…誰?》
『…ひさしぶり。』
妃《っ章!……章ちゃん、なの?(汗)》
『おぉ。』
妃《っ章ちゃん!やだ…章ちゃん、だぁ…(泣)》
電話越しの妃愛は、泣いてた。
『…っ妃愛…(汗)』
妃《もう、連絡なんてしてくれないと思ってた…っ
ずっと、会いたかったよ…(泣)》
『…ごめん、な?
電話とか、メール、無視して…』
妃《いいのっ、悪いのは、あたしだもん…っ
電話くれて、…嬉しい…っ(泣)》
『妃愛…今から、会える?』
妃《!!…もちろんだよ!
いま、どこ?》
『今、大阪やねん。
心斎橋の駅ビル、わかる?』
妃《っわかるよ!待っててね、すぐ行く!!!!》
ーッピ
『っあ…!
切れてもーた。』
駅ビル最上階の
一面大阪の夜景が見渡せる
展望エリアのベンチに一人座ってたら、
程なくして、息を切らせた妃愛が来た。
『…っ妃、愛…』
妃《…章ちゃん、…会いたか、ったぁ…》
そういって、妃愛は抱きついてきた。
その身体はあの頃と変わらず細く華奢で、
抱きしめたら折れそうなほど。
妃《ずっと、謝りたかったの…っ(泣)》
ああ、やっぱり君は、
そうやって綺麗な顔で泣くんやね。
『…妃愛、俺、 妃愛のこと責めてないよ…』
そう言って、腰に回った妃愛の手をゆっくりと離す。
そう、もう、君を抱きしめることはできんねん。
妃《…っ違う…章ちゃん…あたし…っ》
『…妃愛、俺なっ』
妃《章ちゃん!!
あたしね、ずっと章ちゃんのことが好きだったの…
ねぇ、やり直そ?
あたしたち…っ(泣)》
『っ…』
やめてや、そんな目で、見んといて…っ
『…あかん、よ。
もう、俺らは終わったんやか…』
妃《っ終わってないよ!!》
『…妃愛…』
妃《…章ちゃん?
こんなに、好きなの…
終わらせないで…っ(泣)》
『…彼女、おんねん。』
そういうと、妃愛は
目を丸くして跳ね起きた。
妃《…か、のじょ…。
ん…聞い、たよ?でも、いいの、あたし…っ》
『…今、その子のこと、めっちゃ大事やねん。
やから、な?もう…』
妃《っやだよ!!》
妃愛は一歩も引かず、俺を見据えた。
妃《あたしだって、あたしの方がっ
章ちゃんのこと、好きだもん!愛してるもん!
…幸せに、できるもん…っ》
妃愛、お前のその気持ち、めっちゃうれしいで?
でもな…
『あかんねん。』
妃《…え?》
『…俺な、妃愛のことほんまに好きやったで?
別れてからも…
浮気されたからって、どうしても嫌いになれんかった…っ』
妃《っじゃあ!》
『でもな、ちいは、
妃愛のこと忘れられん俺を、そのまま愛してくれてん。
とがってた心を、丸くしてくれた。
…あいつがそばにおってくれんかったら、
いまごろ俺、妃愛のこと恨んでたかもしれん…(苦笑)
…
妃愛、俺な、幸せになんてしてほしいんやないねん。
これからは俺が、あいつを幸せにしてく。
そう想える相手に出会ったから。
もう、決めてん。
…ごめんな、妃愛…』
妃《…章ちゃん…っ
でも、あたし…(泣)》
『っもう、妃愛が泣いてても、抱きしめてやれん。
でも、妃愛のこと、 嫌いじゃないから、
…幸せになってな?』
そう言って、一度だけ、抱き寄せて、
俺はその場を去った。
妃愛は、泣いてた。
でも、もう振り返らん。
ちい…待っててな、もうすぐ、帰るから…
ビルを出て、道頓堀を抜け、大通りに出た。
夜明け前の空からは、
小雨が降ってて、少し視界は悪いけど、
この目線の先には、ちいの住む街がある。
『…もうすぐ帰るからな。』
そう、ポツリとつぶやいて、
横断歩道を渡ろうと前に踏み出した瞬間、
俺の視界いっぱい、真っ白のライトで埋め尽くされた。
直後、右半身に鈍い痛みが走り、
空が近づき、体中に風を感じた。
視界がかすんで、声も出せない。
あれ?なんでみんな俺のこと見てんねやろ?
やばっ気づかれたかな~
え?なんで俺の足、動かんの?
てゆーかみんな必死すぎ…
〔しっかり!もう救急車来るからね!!!〕
え、おばちゃん、誰?
やば、なんか、意識なくなるかも…
あ…
『……………ちい…』
その言葉を最後に、俺は意識を手放した。
これが、俺がこれからたどる、
地獄のような未来の入口やった。