10 I want to believe .
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章大の病室の前に着くと、
ちょうど、ヒナちゃんたちが出てきた。
「…あっ……」
錦[…!村上くん。]
雛[っ亮、ちいも…
よかった、呼びに行こうと思ってたとこや。
とりあえず、先生んとこ行こ。
ヤスが目ぇ覚ましたんもまだゆーてへんし、
…その、記憶のことも、
詳しく聞かなな…。]
「……っ」
みんなで、先生のところに向かった。
道中、右手は亮ちゃんが、
左手はたっちょんが繋いでてくれて、
みんなの優しさで、なんとか立ってられた。
医者[…そうですか…やはり…っ]
昴[先生、やはりてどういうことですか?]
医者[…よくあるケースなんです。
きっと安田さん、あなたのことを
本当に大事に思っていたんでしょう。
申しあげたとおり、
本人にとって大きな記憶ほど失われやすい。]
忠[…思い出すことは、可能ですか?]
医者[………っ]
たっちょんの問いかけに、言葉を濁す先生。
錦[っおいはっきりゆえや!!!]
丸[っ亮ちゃん!!(汗)]
先生に掴み掛る亮ちゃんを、丸ちゃんが静止する。
医者[正直、あの状態で
恋人以外の記憶を保っていたことの方が
医学的には衝撃なんです。
…でも、誤解なさらないでください。
記憶を失ったといっても、混乱しているだけで、
消えたわけではありません。
彼の頭のどこかには、あなたの記憶が確かにあります。
ただ…っ]
雛[先生、ほんまのことゆーてください。]
先生の目をまっすぐ見つめて、
ヒナちゃんが言う。
医者[…忘れた記憶を思い出すこと、
特にそれが本人にとってとても大きなものである場合は、
脳にとてつもない負荷がかかります。
無理に思い出させようとすれば、
ショックで今ある記憶も失いかねない…
それは決して、稀なケースではないんです。]
そういった先生の目は真剣で、
事態の深刻さを物語っていた。
横[…それって!…っ(汗)]
「思い出さない方が、章大のため。
そういうことですよね?」
あたしの言葉に、顔をしかめて頷く先生。
医者[通常、このケースですと、
忘れた記憶を思い出させるよりも、
また新たに、記憶を構築していく方が、
現実的ではないかと考えます。]
忠[今までの、こいつとの思い出全部
…捨てろってことですか?]
医者[…お辛いでしょうが、お互いのために。]
[[………っ]]
「………。」
誰も、言葉を発しなかった。
あたしたちはそのまま、
先生に頭を下げて、章ちゃんの病室に戻った。
「…っまぁ、いいじゃない!
生活には支障ないんだしっ
あたしは、大丈夫だよ。(笑)」
みんなに心配をかけたくなくて、
明るくふるまった。
痛々しくても、その方がいいと思った。
錦[…ちいっ]
「ほらぁ!みんな顔怖いよ?
これからいっぱい楽しい思い出つくるんでしょ?
笑おーよ(笑)」
そう言って笑って見せた。
そう、あたしは大丈夫だよ。
そんな思いを汲んでくれたのか、
みんなはまた、笑顔を見せてくれた。
雛[…せやな。ちいのゆー通りや!
俺らがしょぼくれてどないすんねん!(笑)]
丸[ほんまや!~~~っパ―――――――ン!!!!]
忠[っ丸ちゃんうるっさ!(笑)]
横[たしかに、この二人はちょっと忘れてるくらいで
ちょーどええかもな(笑)]
昴[楽屋が快適になるわ~(笑)]
「ちょっとっ、それどーゆーこと?!(笑)」
よかった、戻れた…
錦[…がんばろな。(笑)]
亮ちゃんが、あたしの頭に手を置いて笑った。
応えるように笑いを返すと、
頭くしゃくしゃってして、歩いていく。
章大、ちょっと時間かかるかもだけど、
きっとまた、あの頃みたいに戻れるよね?
そんな話をしていたら、いつの間にか
章ちゃんの部屋の前だった。
ーガラッ
いつものようにノックもせずに←
ヒナちゃんが我が物顔で入る。(笑)
雛[…おぅヤス、待たした…な…
って…妃愛?(汗)]
そこには、章大と愛しそうに抱き合う、…妃愛さん…?
『っし、信ちゃん?!みんな、
ノックくらいしてやっ(汗)』
そういって章大は顔を真っ赤にして
妃愛さんから離れた。
…今、なにしてたの…?(汗)
昴[おい、なんでお前がここにおんねん(怒)]
でも、そんな章大の言葉を無視して、
全員が妃愛さんをにらみつける。
妃愛さんは困ったように視線を泳がせた。
みんな、知ってるの?
そりゃそうか、元カノさんだもんね…
でも、なんでみんな…
『…っちょ、すばるくん?(汗)』
忠[…まだなんか用でもあるん?]
妃《…っ》
…怒ってる?
『大倉も、みんなどーした…』
錦[っ、出てけや。邪魔。]
相変わらず章ちゃんの言葉には耳も貸さず、
妃愛さんの腕をつかんで
強引につまみ出そうとする亮ちゃん。
次の瞬間、
『っちょっと、待ってや!!』
ーバッ
[[っ?!?!]]
「…章ちゃん?(汗)」
章ちゃんはベッドから飛び出して、
守るように、妃愛さんを抱きしめた。
丸[っ章ちゃん?!何してんの!(汗)]
横[おいふざけんな!]
みんな信じられないといった目で章ちゃんを見つめてる。
『うっさい!そっちこそなんやねん!
それが見舞いに来てくれた彼女に取る態度なん?!』
…カ、ノジョ……?(汗)
なんで?…章ちゃん…っ
涙がこぼれそうになって、
思わずふらつくあたしを、亮ちゃんがそっと支えてくれる。
雛[…ヤス、彼女って、そいつか?]
そういってうかがうように妃愛さんを指さすヒナちゃん。
『そや?あれ、みんなに話してなかったっけ?
なあ、妃愛?』
妃《………っ》コクッ
そういって、さも当然のように話す章大の腕の中で、
恥ずかしそうにうなずく妃愛さん。
その姿を、章大が愛しそうな目で見てる。
…なんて、絵になるんだろう…
不覚にも、そんなことを思ってしまった。
錦[おい、ちょーしのるんもたいがいに…っ]
亮ちゃんの怒鳴り声にハッとして、
思わず亮ちゃんの腕をひく。
「っ亮ちゃん!!…だめ、先生に言われたでしょ?(汗)」
今、よけいなこと言ったら…章大の記憶が…っ
しばらくの沈黙の後、
横[…今日は、みんな帰ろ。
妃愛、お前もや。
ヤスもまだ、混乱してるから…
話は明日や。…ええな?]
侯くんの言葉に、みんなが頷いて、
妃愛さんも、章大の腕の中から出て、
荷物をまとめて出て行った。
そのあとを追うように、部屋を出るメンバーのみんな。
最後に残ったのはあたし。
「……また、来るね。(笑)」
切なさ、悲しさ、…そして愛しさ。
すべての感情を押し殺して、振り絞った言葉。
精一杯の笑顔で言って、病室を出た。
章大…本当に、全部忘れちゃったの…?
どうして妃愛さんを、彼女だと思ってるの…?
「…っ、あたしだよ…っ(泣)」
足に力が入らなくて、
ドアを閉めて、その場にうずくまった。
錦[…立てるか?
向こうに、みんな集まってる。]
そういって抱き起したのは、亮ちゃん。
「…妃愛さん…も…?(汗)」
錦[………。]コクッ
「…っや、だ。
…行きたくない…っ」
錦[…あかん。]
そういって、動こうとしないあたしを抱きかかえて、
亮ちゃんはみんなのいるロビーまで行った。
「…っりょ、ちゃん!
や、降ろして…っ」
錦[…じゃあ、逃げんなよ。
何言われても、堂々としてろ。
ゆーたやろ?
誰がなんて言おうと、お前がヤスの彼女や。]
そういって、まっすぐあたしの目を見て言う。
…そうだ。あたし、なにやってたんだろう。
恐れることなんて何もない。
「…わかった。」
そういって、手をつないで、ロビーに入った。
昴[っふざけんなこのクソ女!!(怒)]
ロビーに入った途端聞こえてきた怒鳴り声、
見ると、すばちゃんの手で壁に押し付けられて、
首を絞められてる妃愛さん…っ
妃《……ちょ、くるしっ…(汗)》
丸[っすばるくん!
女の子に乱暴したら…っ]
「っすばちゃん!やめて!!!(汗)」
あたしは咄嗟に、すばちゃんと妃愛さんの間に
身体を滑り込ませて、
妃愛さんを解放した。
妃愛さんはあたしの後ろでうずくまって
荒い呼吸をしてる。
雛[っちい!!
…大丈夫か?]
「ヒナちゃん…ん、ありがとね。
すばちゃん、こんなのやめて…っ」
駆け寄ってくれたヒナちゃんに答えて、
すばちゃんを見つめる。
すばちゃんは、腑に落ちないような苦しそうな顔で、
こっちを見ていた。
「……妃愛さん…」
あたしは、妃愛さんの方を振り返って、
まっすぐに見つめた。
妃《…っごめん、なさい…(泣)》
妃愛さんは、泣いていた。
「ごめん、みんな。
妃愛さんと二人で話がしたいの。
…席、外してくれるかな…?」
忠[っそんなん!!]
雛[大倉!
…ちい、玄関におるで?]
ヒナちゃんがみんなを引き連れて、
ロビーを出てくれた。
あたしは妃愛さんを抱き起して、
近くのソファに腰を下ろす。
「ごめんなさい、すばちゃんが乱暴なことして…」
そういって、おそらく壁に叩きつけられたときにできた
肩のあざに手を伸ばしてさすった。
妃愛さんは、あたしの手に自分の手を重ねて、
静かに、涙を流す。
…しばらく、その綺麗すぎる涙に見惚れていた。
妃《ごめん、ね、
…ちいちゃん…っ(泣)》
おもむろに、妃愛さんが口を開く。
「…妃愛さん、
章大とお付き合いされてた…んですよね?」
妃愛さんは、少し驚いた顔をしながらも、
涙は頬を伝ったまま、ゆっくりとうなずいた。
「話したくなかったら、無理にとは言わないんですけど、
…お二人のこと、聞いてもいいですか…?」
どうしてみんながあんなに怒るのか、
どうして章大は話してくれないのか、
あんなにかたくなに、妃愛さんを遠ざけるのか、
もう、部外者でいたくなかった。
妃《…なんで、あたしがさっき
あんなこと言ったのかって、怒らないの…?(汗)》
「…過去に何があったかはわからないですけど、
今の妃愛さんの気持ち、あたし痛いくらいわかるんですもん…っ
頭ごなしに否定なんてできません…っ(苦笑)」
そう、あたしたちは一緒なの。
あなたの気持ちは、そのままあたしの気持ちだから…っ
妃《…ちょっと長くなるけど、いいかな?》
これから知ろうとしている真実、
あたしはそのすべてを受け止められるだろうか。
そして、それを知った時、
あたしはどんな道を選ぶんだろう…
わかっているのは、
章大に幸せになってほしい。
その願いだけ…