白いツツジ
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鎧兜を脱ぎ、髪を結ってある紐を解く。編んでいたせいか、髪の毛にはウェーブがかかっていた。
「俺がこんな髪型をするより、貴様の方が、この髪型はよく似合うんじゃないか」
後ろから察する気配。名無しはひょこっと現れると、聖戦士の前で笑顔を見せる。
「パーマかけるのは、ちょっと値段が高いから、三つ編みにして、自然にゆるくウェーブをつけてみようかな?」
「好きにしろ」
口下手な聖戦士は、いつも素直な感想が言えない。本当はよく似合うだろうと言いたい。だが口にすれば、突っ慳貪になってしまう。
長い髪を揺らし、聖戦士は脱衣所をあとにすると、リビングのソファに座り、本を読みはじめる。本にはカバーがかけられていて、何の本を読んでいるかは当人しかわからない。
「何の本を読んでいるの?」
「花」
「ガーデニングをするの?」
「違う……貴様と出かけようと思ってな」
唐突な答えに名無しは驚いた。聖戦士からそんな言葉が出るなんて。
(もしかして明日は大雨で雷かなぁ)
「おい、明日白いツツジが見える場所に行くぞ」
「わかった、準備しておくね」
思いがけない僥倖だ。想いを密かに寄せている聖戦士から、お誘いが来るなんて。
(おしゃれで動きやすい格好をしなきゃ)
鼻歌を交えて、名無しは自室へと向かった。
「……」
花言葉が書かれてある欄を見て、聖戦士はため息をついた。
「何故、解らん……」
切なくつぶやく独り言は、名無しに届きはしない。
「だから、明日こそ……」
決意を新たにし、聖戦士も準備をすべく精霊世界へと帰っていった。
5月の空の下、二人は歩を進めていく。
「聖戦士、何で私を連れ出したの?」
「俺がツツジを見たかったからだ」
一番近所の公園に到着し、聖戦士は辺りを見渡す。
「付いてこい」
強引に片手を掴まれ、聖戦士の後を追う。
沈黙と静寂が場を支配する、何か話題はないかと思いめぐらせていた。
「あった……」
白いツツジの花がたくさん咲いていた。初夏らしい風景がそこに広がる。
「きれいだね!」
「……白いツツジの花言葉を知っているか」
きょとんと首を傾げる、名無しの髪の一房をとる。
「……?」
「初恋だ、いい加減気付け」
グイッと腕が引っ張られる。気付けば聖戦士の胸の中に閉じ込められていた。
「えっ……」
「好きだ、貴様……名無しはどうなんだ」
金魚の様に口をパクパク動かす。思っている言葉が出てこない。
消え入りそうな声でようやく話せた。
「私も聖戦士が好きでっ……夢かしら……夢にしてはリアリティがあるような……」
「夢ではなく現実だ。俺は名無しが初恋なんだ」
顔に熱が集まる。名無しは聖戦士から離れると、手を繋いだ。
「手放さない……永遠に俺の女だ……」
「うん、聖戦士、好きっ!」
お互いニヤニヤしてしまうのを抑えられずに、帰路につく。幸せを噛み締めながら雪の中を進んだ。
「俺がこんな髪型をするより、貴様の方が、この髪型はよく似合うんじゃないか」
後ろから察する気配。名無しはひょこっと現れると、聖戦士の前で笑顔を見せる。
「パーマかけるのは、ちょっと値段が高いから、三つ編みにして、自然にゆるくウェーブをつけてみようかな?」
「好きにしろ」
口下手な聖戦士は、いつも素直な感想が言えない。本当はよく似合うだろうと言いたい。だが口にすれば、突っ慳貪になってしまう。
長い髪を揺らし、聖戦士は脱衣所をあとにすると、リビングのソファに座り、本を読みはじめる。本にはカバーがかけられていて、何の本を読んでいるかは当人しかわからない。
「何の本を読んでいるの?」
「花」
「ガーデニングをするの?」
「違う……貴様と出かけようと思ってな」
唐突な答えに名無しは驚いた。聖戦士からそんな言葉が出るなんて。
(もしかして明日は大雨で雷かなぁ)
「おい、明日白いツツジが見える場所に行くぞ」
「わかった、準備しておくね」
思いがけない僥倖だ。想いを密かに寄せている聖戦士から、お誘いが来るなんて。
(おしゃれで動きやすい格好をしなきゃ)
鼻歌を交えて、名無しは自室へと向かった。
「……」
花言葉が書かれてある欄を見て、聖戦士はため息をついた。
「何故、解らん……」
切なくつぶやく独り言は、名無しに届きはしない。
「だから、明日こそ……」
決意を新たにし、聖戦士も準備をすべく精霊世界へと帰っていった。
5月の空の下、二人は歩を進めていく。
「聖戦士、何で私を連れ出したの?」
「俺がツツジを見たかったからだ」
一番近所の公園に到着し、聖戦士は辺りを見渡す。
「付いてこい」
強引に片手を掴まれ、聖戦士の後を追う。
沈黙と静寂が場を支配する、何か話題はないかと思いめぐらせていた。
「あった……」
白いツツジの花がたくさん咲いていた。初夏らしい風景がそこに広がる。
「きれいだね!」
「……白いツツジの花言葉を知っているか」
きょとんと首を傾げる、名無しの髪の一房をとる。
「……?」
「初恋だ、いい加減気付け」
グイッと腕が引っ張られる。気付けば聖戦士の胸の中に閉じ込められていた。
「えっ……」
「好きだ、貴様……名無しはどうなんだ」
金魚の様に口をパクパク動かす。思っている言葉が出てこない。
消え入りそうな声でようやく話せた。
「私も聖戦士が好きでっ……夢かしら……夢にしてはリアリティがあるような……」
「夢ではなく現実だ。俺は名無しが初恋なんだ」
顔に熱が集まる。名無しは聖戦士から離れると、手を繋いだ。
「手放さない……永遠に俺の女だ……」
「うん、聖戦士、好きっ!」
お互いニヤニヤしてしまうのを抑えられずに、帰路につく。幸せを噛み締めながら雪の中を進んだ。
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