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ピアノを聴いていると、心が落ち着く。
名無しは宵闇の騎士の奏でるピアノの音が大好きだ。もっというと、宵闇の騎士が好きだ。年下の宵闇の騎士に、愛の告白なんてできないけれども。
「名無し様、今日の私の演奏はいかがでしたか?」
「また上手になったね、きれいな旋律だったからまた聞きたいな」
宵闇の騎士は照れる。この表情がとっても可愛い。そんなこと男の子に言ったら失礼だから、口には出さない。
「名無し様、お茶菓子頂いてもいいですか?」
「どうぞ」
今日は美味しいと評判の和菓子店のかりんとうとちょっと良い緑茶を出した。
美味しい、と宵闇の騎士はかりんとうを頬張る。
「宵闇の騎士」
「はい」
「宵闇の騎士って、好きな女の子とかいる?」
宵闇の騎士の顔が真っ赤になる。年頃だし、そんな女の子だっていてもおかしくない。
胸が締めつけられる。名無しは顔を俯かせた。
「好きな女性いますよ……私のこといつも見ていてくれて、私のピアノを聞いてくれて……」
もう聞きたくない。宵闇の騎士の言葉を遮って、苦しそうな咳をする。
「名無し様っ……! 大丈夫ですか!?」
「風邪ひいてるみたい。ごめんね、今日は帰ってもらってもいいかな」
宵闇の騎士は心配そうに見つめる。そんな顔で見ないでほしかった。宵闇の騎士は優しいから、勘違いしてしまう。名無しは布団に潜ると、眠ったふりをした。
「おやすみなさい、名無し様……お大事に。明日病院行ってくださいね」
「……」
宵闇の騎士が精霊世界へと戻るのを見計らって、仰向けになった。
「……どんな子だろう……? 少なくとも、宵闇の騎士に相応しい子なんだろうな……」
きっと上品で、優しくて、美人で、頭も良くて、逡巡していたら情けなくなってきた。
そのまま名無しは夢の世界へと落ちていく。宵闇の騎士への想いを抱いて。
このパッセージさえ上手く弾けたら、名無し様も喜んでいただけるだろうか。そしてまた間違える、集中できてない。涙声だった先程の名無しの姿を思い出してしまい、心が痛くなる。
「私は素直じゃない男だな……」
あの時自分の気持ちを伝えていれば、笑ってくれたのだろうか。
「私の、好きな方は、貴女なんです……」
独白は夜の闇に消え、名無しの姿を思い浮かべ、宵闇の騎士はベッドに身を投げた。
雀のさえずりで、名無しは起きた。スマートフォンのアラームは鳴ってない、アラームの前に起きたみたいだ。起き上がり全身を伸ばし、カーテンを開け、朝陽を浴びる。気持ちがいい。
朝食を食べようと台所に移動した。
「おはようございます、名無し様」
「宵闇の騎士、おはよう」
宵闇の騎士がニコッと微笑んだ。宵闇の騎士はかっこいいというより、きれいな顔立ちだなぁと、また胸がときめく。
「朝食、名無し様といただいてもいいですか?」
「うん! 用意するね」
今日は休みだから、気合をいれてスクランブルエッグや焼き魚を作った。
まじまじと宵闇の騎士が、名無しを見てくる。少し緊張してしまう。
「どうしたの?」
「いえ、昨日は体調が悪そうでしたから、心配していたのです」
「ごめんね、心配かけて」
「……名無し様、私は貴女にお話しなければいけないことがあるのです」
そっと頬に宵闇の騎士の手があてがわれる。
「名無し様を、愛しております」
唐突に言われた一言に、頭が真っ白になってしまう。
耳まで真っ赤に染まった宵闇の騎士の顔。嘘偽りではない言葉に感極まるのと同時にプスッと音がした。
「名無し様、鮭が焦げちゃいますよ」
「あっ、うん……!」
急いでコンロの火を消す。後ろに影が落ち、振り向くと、宵闇の騎士が立っていた。そして手を名無しの体に回された。
「私のこと……どうお思いですか?」
耳元で囁かれ、震えてしまう。
「好き……です……!」
宵闇の騎士は離れると、頬に口付けをした。顔から火が出そうだ。
「さぁ、名無し様。朝食を食べたら病院に行きましょうね」
「はい……」
朝食を食べ終えた二人は、病院へ行く道中、この上ない幸福感を感じながら、手を繋いで病院へ向かった。
名無しは宵闇の騎士の奏でるピアノの音が大好きだ。もっというと、宵闇の騎士が好きだ。年下の宵闇の騎士に、愛の告白なんてできないけれども。
「名無し様、今日の私の演奏はいかがでしたか?」
「また上手になったね、きれいな旋律だったからまた聞きたいな」
宵闇の騎士は照れる。この表情がとっても可愛い。そんなこと男の子に言ったら失礼だから、口には出さない。
「名無し様、お茶菓子頂いてもいいですか?」
「どうぞ」
今日は美味しいと評判の和菓子店のかりんとうとちょっと良い緑茶を出した。
美味しい、と宵闇の騎士はかりんとうを頬張る。
「宵闇の騎士」
「はい」
「宵闇の騎士って、好きな女の子とかいる?」
宵闇の騎士の顔が真っ赤になる。年頃だし、そんな女の子だっていてもおかしくない。
胸が締めつけられる。名無しは顔を俯かせた。
「好きな女性いますよ……私のこといつも見ていてくれて、私のピアノを聞いてくれて……」
もう聞きたくない。宵闇の騎士の言葉を遮って、苦しそうな咳をする。
「名無し様っ……! 大丈夫ですか!?」
「風邪ひいてるみたい。ごめんね、今日は帰ってもらってもいいかな」
宵闇の騎士は心配そうに見つめる。そんな顔で見ないでほしかった。宵闇の騎士は優しいから、勘違いしてしまう。名無しは布団に潜ると、眠ったふりをした。
「おやすみなさい、名無し様……お大事に。明日病院行ってくださいね」
「……」
宵闇の騎士が精霊世界へと戻るのを見計らって、仰向けになった。
「……どんな子だろう……? 少なくとも、宵闇の騎士に相応しい子なんだろうな……」
きっと上品で、優しくて、美人で、頭も良くて、逡巡していたら情けなくなってきた。
そのまま名無しは夢の世界へと落ちていく。宵闇の騎士への想いを抱いて。
このパッセージさえ上手く弾けたら、名無し様も喜んでいただけるだろうか。そしてまた間違える、集中できてない。涙声だった先程の名無しの姿を思い出してしまい、心が痛くなる。
「私は素直じゃない男だな……」
あの時自分の気持ちを伝えていれば、笑ってくれたのだろうか。
「私の、好きな方は、貴女なんです……」
独白は夜の闇に消え、名無しの姿を思い浮かべ、宵闇の騎士はベッドに身を投げた。
雀のさえずりで、名無しは起きた。スマートフォンのアラームは鳴ってない、アラームの前に起きたみたいだ。起き上がり全身を伸ばし、カーテンを開け、朝陽を浴びる。気持ちがいい。
朝食を食べようと台所に移動した。
「おはようございます、名無し様」
「宵闇の騎士、おはよう」
宵闇の騎士がニコッと微笑んだ。宵闇の騎士はかっこいいというより、きれいな顔立ちだなぁと、また胸がときめく。
「朝食、名無し様といただいてもいいですか?」
「うん! 用意するね」
今日は休みだから、気合をいれてスクランブルエッグや焼き魚を作った。
まじまじと宵闇の騎士が、名無しを見てくる。少し緊張してしまう。
「どうしたの?」
「いえ、昨日は体調が悪そうでしたから、心配していたのです」
「ごめんね、心配かけて」
「……名無し様、私は貴女にお話しなければいけないことがあるのです」
そっと頬に宵闇の騎士の手があてがわれる。
「名無し様を、愛しております」
唐突に言われた一言に、頭が真っ白になってしまう。
耳まで真っ赤に染まった宵闇の騎士の顔。嘘偽りではない言葉に感極まるのと同時にプスッと音がした。
「名無し様、鮭が焦げちゃいますよ」
「あっ、うん……!」
急いでコンロの火を消す。後ろに影が落ち、振り向くと、宵闇の騎士が立っていた。そして手を名無しの体に回された。
「私のこと……どうお思いですか?」
耳元で囁かれ、震えてしまう。
「好き……です……!」
宵闇の騎士は離れると、頬に口付けをした。顔から火が出そうだ。
「さぁ、名無し様。朝食を食べたら病院に行きましょうね」
「はい……」
朝食を食べ終えた二人は、病院へ行く道中、この上ない幸福感を感じながら、手を繋いで病院へ向かった。
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