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恐怖、それだけが密集する電車内で名無しを支配していた。知らない男に臀部に触られる、おぞましい感触に涙が出そうだ。助けて、そんな声さえ出てこない。
「おい、おっさん」
臀部に手があたる感触が離れ、名無しは後ろを振り返る。そこには多分自分より年下の男の子が男の手を掴み、睨みつけていた姿があった。
「おっさんの行動、オレ全部見ていたから。普通に考えて犯罪でしょ」
電車内がざわめきたつ。少年は名無しの方を向くと、次の駅で降りるよう促した。
駅に着き、男は駅長室へ連れて行かれる。少年と名無しは別室へ案内され、電車内での一部始終を話した。
「怖かったね、もう大丈夫ですよ」
女性警官のその一言に、メイクが崩れるのも気にせずに泣いた。
部屋から出ると、名無しを助けてくれた少年が立っていた。
「あ、おねーちゃん。大丈夫?」
「あとは警察の方がしてくれるから大丈夫です。先程はありがとうございました……怖くて声が出せなかったんです……」
「女の人って大変だね」
「初めての経験だったもので……あの……ご迷惑でなかったら、お礼にお茶をごちそうさせてください」
少年は驚くと少し考えあぐねる。
「勉強はサボっちゃえ! 駅出たところのファミレスで、ごちそうしてもらおうかな」
少年は歩きだすと、ファミリーレストランに案内される。
「おねーちゃん、お名前なんていうの?」
「 名無し 名無しです。あなたのお名前は?」
「オレー? 開闢の騎士。カードの精霊さんでーす!」
中二病かしら……なんて思っていた。そんな名無しの心境も知らず、彼はチョコレートサンデーとドリンクバーを頼み、名無しもドリンクバーを頼んだ。
「名無しちゃんはさ、何処に行こうとしてたの?」
「実家に行こうとしていたんです。騎士くんはサボっちゃえって言っていたけど、学校?」
「塾みたいなものかな。つまんねーし、解らねーところは友達に教えてもらうから大丈夫!オレは剣術さえできれば大丈夫!」
チョコレートサンデーが運ばれてきて、騎士はアイスを頬張る。口の端にチョコレートが付いている。
「騎士くん、口元にチョコレート」
ティシュで口元を拭い、もう大丈夫? と訊いてきた。
「此方にも。ふふふ」
「ようやく笑ってくれた」
「え?」
「名無しちゃん、泣いてたから。そうだ、実家まで付いていっていい? あんな被害にあわないように、オレが守ってあげる」
不覚にも胸が高鳴ってしまった。名無しは「お願いします」と口走り、口を覆った。
「あははっ、何なら名無しちゃんの本当の騎士になるよ」
「からかわないでください……」
顔から火が出そうだ。悟られないように俯いて支払いを済ませると、また駅へ戻る。
繋いでいる手越しに、自分の速い心音が、騎士に聞こえないか心配になりながら、実家へ向かった。
家の鍵を開け、ただいまと言う。母が出迎えてくれた。
「おかえり、名無しちゃん。隣の男の子は誰かしら」
母が騎士を不思議そうに見つめる。
「名無しちゃんの彼氏でーす! 歳は15歳! よろしくね!」
「騎士くん!?」
「おい、おっさん」
臀部に手があたる感触が離れ、名無しは後ろを振り返る。そこには多分自分より年下の男の子が男の手を掴み、睨みつけていた姿があった。
「おっさんの行動、オレ全部見ていたから。普通に考えて犯罪でしょ」
電車内がざわめきたつ。少年は名無しの方を向くと、次の駅で降りるよう促した。
駅に着き、男は駅長室へ連れて行かれる。少年と名無しは別室へ案内され、電車内での一部始終を話した。
「怖かったね、もう大丈夫ですよ」
女性警官のその一言に、メイクが崩れるのも気にせずに泣いた。
部屋から出ると、名無しを助けてくれた少年が立っていた。
「あ、おねーちゃん。大丈夫?」
「あとは警察の方がしてくれるから大丈夫です。先程はありがとうございました……怖くて声が出せなかったんです……」
「女の人って大変だね」
「初めての経験だったもので……あの……ご迷惑でなかったら、お礼にお茶をごちそうさせてください」
少年は驚くと少し考えあぐねる。
「勉強はサボっちゃえ! 駅出たところのファミレスで、ごちそうしてもらおうかな」
少年は歩きだすと、ファミリーレストランに案内される。
「おねーちゃん、お名前なんていうの?」
「 名無し 名無しです。あなたのお名前は?」
「オレー? 開闢の騎士。カードの精霊さんでーす!」
中二病かしら……なんて思っていた。そんな名無しの心境も知らず、彼はチョコレートサンデーとドリンクバーを頼み、名無しもドリンクバーを頼んだ。
「名無しちゃんはさ、何処に行こうとしてたの?」
「実家に行こうとしていたんです。騎士くんはサボっちゃえって言っていたけど、学校?」
「塾みたいなものかな。つまんねーし、解らねーところは友達に教えてもらうから大丈夫!オレは剣術さえできれば大丈夫!」
チョコレートサンデーが運ばれてきて、騎士はアイスを頬張る。口の端にチョコレートが付いている。
「騎士くん、口元にチョコレート」
ティシュで口元を拭い、もう大丈夫? と訊いてきた。
「此方にも。ふふふ」
「ようやく笑ってくれた」
「え?」
「名無しちゃん、泣いてたから。そうだ、実家まで付いていっていい? あんな被害にあわないように、オレが守ってあげる」
不覚にも胸が高鳴ってしまった。名無しは「お願いします」と口走り、口を覆った。
「あははっ、何なら名無しちゃんの本当の騎士になるよ」
「からかわないでください……」
顔から火が出そうだ。悟られないように俯いて支払いを済ませると、また駅へ戻る。
繋いでいる手越しに、自分の速い心音が、騎士に聞こえないか心配になりながら、実家へ向かった。
家の鍵を開け、ただいまと言う。母が出迎えてくれた。
「おかえり、名無しちゃん。隣の男の子は誰かしら」
母が騎士を不思議そうに見つめる。
「名無しちゃんの彼氏でーす! 歳は15歳! よろしくね!」
「騎士くん!?」
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