6月
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「はぁい、皆さん。中間テストが始まりますよぉ」
「げぇええええ! いやだー!!」
「先生〜、優しくしてよね〜!」
も、物凄いブーイングの嵐だと、聖戦士は白石先生を不憫に思う。
「僕が決めたんじゃないよ〜……。皆さん、頑張ってくださいね。補習を受けたい人は、各自で担当科目の先生に言ってね」
朝のホームルームが終わり、生徒達は悲嘆に暮れる。
「聖戦士先生は、簡単な問題にしてくれよ〜! 頼むよお願いだよ〜! 犬はワンみたいに!」
「荻原〜、それを言うならイッヌだろ〜」
「お前ら……小学生でも解ける問題だろ……。ワンでもなければイッヌでもない……」
「じゃあ小林」
「全国の小林さんに謝れ」
1時限目はこのクラスの英語なので、このまま聖戦士は残ろうと思った時、3種類あるはずのプリントを、1種類机に忘れたことに気が付いた。急いで取りに、職員室へ戻る。
1時限目の憂鬱、それは勉強に真面目ではない生徒が舟を漕ぐことだ。
堪忍袋の緒が切れそうだ。我慢していると、スマートフォンをいじる生徒も出てきた。
「おい! 今は授業中だぞ! 携帯のバッテリーは切れ!」
「先生」
金髪の生徒が片手を上げる。
「どうした、宝生」
宝生と呼んだ生徒は、立ち上がると、教卓にのぼった。
「勉強する気がないのでしたら、お帰りになられては如何です!? わたくしの時間を無駄にさせないで!」
宝生は一喝すると、聖戦士に頭を下げ、自分の席に戻った。静まり返った室内。宝生の一喝に渋々電源を切って、つまらなさそうに授業を受ける。
聖戦士は授業に戻り、重要な箇所を再び教えるのであった。
(宝生美羽……あいつは確か、宝生グループの……)
いくらお嬢様だからといって、特別扱いする訳にもいかない。かと言って勉強がしたい生徒の気持ちを代弁してくれた、と思うと、宝生に背負わせてしまった。申し訳なさが込み上げてくる。
「聖戦士先生……」
「名無し、どうした?」
「補習を受けたいです。その……できれば先生と私だけで……」
「一応放課後空いてるが、放課後でもいいか」
「はい! もちろんです!」
「教室で待っていてくれ」
そして放課後になる。聖戦士はプリントを持って、1年B組の教室へ行く。約束通り名無しはいた。
「ん……」
名無しは待っている間に、眠ってしまっていた。あどけなさが残る寝顔を見てしまった。
(すまん)
起こした方が良いだろうと、肩に触れた時、ピクリと名無しが動いた。
「せ……い……ん……ん?」
ぼんやりした眼で、眼鏡を掛ければ、聖戦士が側にいて。
「せっ……! 聖戦士先生……! ごめんなさい! 寝るつもりは……!」
顔を真っ赤にし、慌てて身振り手振りする。
「名無し、緊張して疲れていたんだな。だが、勉強はしような」
「は、はい……」
それから1時間程、今までの復習をして、名無しに自信がついたみたいだ。
「遅くまでありがとうございました」
「教師の務めだからな。そうだ、これの礼だ」
聖戦士は胸ポケットに入ってある、先月プレゼントしたブレスレットを見せる。そしてカゴの中から、小袋に包まれた物を名無しに差し出した。
「他の奴らには言うなよ?」
「言いませんっ! おっ、お菓子……! 手作りですか……!?」
「ああ」
「とっ……とっても大切に食べます……! ありがとうございます!」
「今日中に食べた方が美味いと思うぞ。テスト勉強の合間に食べれば、脳に糖分が行き渡って、勉強にも集中できるし、腹も満たされるぞ」
「心も満たされちゃいますぅ……」
幸せそうにはにかむ。聖戦士は昇降口まで送ると言い、他愛もない話をしながら階段を降りる。
「高得点とって、聖戦士先生をびっくりさせます! 応援しててくださいね」
「ああ、応援してる」
手を振って名無しは帰路につく。
聖戦士は見送ると、職員室へ戻った。
テスト当日。テスト用紙を配布して、諸々の注意事項を言い、試験に臨む生徒達を見る。
チャイムの音がテスト開始の合図を告げる。
聖戦士は真剣な表情で、その日のテストが終わるまで、各教室を回っていた。
「明日は1年は数学、生物、日本史だ」
1年B組の教室へ戻り、明日の予定を伝える。
ホームルームをして、その日は解散した。
「聖戦士先生」
「名無し、手応えはどうだ?」
「バッチリです!」
ブイサインが愛らしい。名無しも帰り、聖戦士は明日の準備や会議をするのであった。
後日。
「テストを返す」
生徒の名前を呼び、次々それを返していく。
「このクラスの最高点は100点で2名いた、平均点は78点、40点以下は夏休み補習だ。それではこれからテストの解説をする」
目の端で名無しを見た。100点を獲得した生徒は名無しと宝生だった。
嬉しそうにテストを見る名無しを見た聖戦士は、平時と変わらぬように、黒板に文字を書いた。
「げぇええええ! いやだー!!」
「先生〜、優しくしてよね〜!」
も、物凄いブーイングの嵐だと、聖戦士は白石先生を不憫に思う。
「僕が決めたんじゃないよ〜……。皆さん、頑張ってくださいね。補習を受けたい人は、各自で担当科目の先生に言ってね」
朝のホームルームが終わり、生徒達は悲嘆に暮れる。
「聖戦士先生は、簡単な問題にしてくれよ〜! 頼むよお願いだよ〜! 犬はワンみたいに!」
「荻原〜、それを言うならイッヌだろ〜」
「お前ら……小学生でも解ける問題だろ……。ワンでもなければイッヌでもない……」
「じゃあ小林」
「全国の小林さんに謝れ」
1時限目はこのクラスの英語なので、このまま聖戦士は残ろうと思った時、3種類あるはずのプリントを、1種類机に忘れたことに気が付いた。急いで取りに、職員室へ戻る。
1時限目の憂鬱、それは勉強に真面目ではない生徒が舟を漕ぐことだ。
堪忍袋の緒が切れそうだ。我慢していると、スマートフォンをいじる生徒も出てきた。
「おい! 今は授業中だぞ! 携帯のバッテリーは切れ!」
「先生」
金髪の生徒が片手を上げる。
「どうした、宝生」
宝生と呼んだ生徒は、立ち上がると、教卓にのぼった。
「勉強する気がないのでしたら、お帰りになられては如何です!? わたくしの時間を無駄にさせないで!」
宝生は一喝すると、聖戦士に頭を下げ、自分の席に戻った。静まり返った室内。宝生の一喝に渋々電源を切って、つまらなさそうに授業を受ける。
聖戦士は授業に戻り、重要な箇所を再び教えるのであった。
(宝生美羽……あいつは確か、宝生グループの……)
いくらお嬢様だからといって、特別扱いする訳にもいかない。かと言って勉強がしたい生徒の気持ちを代弁してくれた、と思うと、宝生に背負わせてしまった。申し訳なさが込み上げてくる。
「聖戦士先生……」
「名無し、どうした?」
「補習を受けたいです。その……できれば先生と私だけで……」
「一応放課後空いてるが、放課後でもいいか」
「はい! もちろんです!」
「教室で待っていてくれ」
そして放課後になる。聖戦士はプリントを持って、1年B組の教室へ行く。約束通り名無しはいた。
「ん……」
名無しは待っている間に、眠ってしまっていた。あどけなさが残る寝顔を見てしまった。
(すまん)
起こした方が良いだろうと、肩に触れた時、ピクリと名無しが動いた。
「せ……い……ん……ん?」
ぼんやりした眼で、眼鏡を掛ければ、聖戦士が側にいて。
「せっ……! 聖戦士先生……! ごめんなさい! 寝るつもりは……!」
顔を真っ赤にし、慌てて身振り手振りする。
「名無し、緊張して疲れていたんだな。だが、勉強はしような」
「は、はい……」
それから1時間程、今までの復習をして、名無しに自信がついたみたいだ。
「遅くまでありがとうございました」
「教師の務めだからな。そうだ、これの礼だ」
聖戦士は胸ポケットに入ってある、先月プレゼントしたブレスレットを見せる。そしてカゴの中から、小袋に包まれた物を名無しに差し出した。
「他の奴らには言うなよ?」
「言いませんっ! おっ、お菓子……! 手作りですか……!?」
「ああ」
「とっ……とっても大切に食べます……! ありがとうございます!」
「今日中に食べた方が美味いと思うぞ。テスト勉強の合間に食べれば、脳に糖分が行き渡って、勉強にも集中できるし、腹も満たされるぞ」
「心も満たされちゃいますぅ……」
幸せそうにはにかむ。聖戦士は昇降口まで送ると言い、他愛もない話をしながら階段を降りる。
「高得点とって、聖戦士先生をびっくりさせます! 応援しててくださいね」
「ああ、応援してる」
手を振って名無しは帰路につく。
聖戦士は見送ると、職員室へ戻った。
テスト当日。テスト用紙を配布して、諸々の注意事項を言い、試験に臨む生徒達を見る。
チャイムの音がテスト開始の合図を告げる。
聖戦士は真剣な表情で、その日のテストが終わるまで、各教室を回っていた。
「明日は1年は数学、生物、日本史だ」
1年B組の教室へ戻り、明日の予定を伝える。
ホームルームをして、その日は解散した。
「聖戦士先生」
「名無し、手応えはどうだ?」
「バッチリです!」
ブイサインが愛らしい。名無しも帰り、聖戦士は明日の準備や会議をするのであった。
後日。
「テストを返す」
生徒の名前を呼び、次々それを返していく。
「このクラスの最高点は100点で2名いた、平均点は78点、40点以下は夏休み補習だ。それではこれからテストの解説をする」
目の端で名無しを見た。100点を獲得した生徒は名無しと宝生だった。
嬉しそうにテストを見る名無しを見た聖戦士は、平時と変わらぬように、黒板に文字を書いた。