そして
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あれから少し時が経ち、名無し達の高校生活の終わりを告げる式が始まった。
担当の白石先生が、マイクに向かって、一人ひとり、心と感涙を込めて生徒を呼ぶ。
「名無し 名無し」
「っ……はい」
壇上に名無しは上がり、校長が卒業証書を手渡す。
「ありがとう、ございます……!」
壇上から降りて、席に戻る。3年間、色んなことがあった。
(先生……私、頑張りました……! はやく先生にいっぱい、いっぱい伝えたいです……!)
離任式のあれから、最低限の連絡しかとってない。
(でも、これが終わったら、美羽ちゃん達と、もう一緒にいられない……!)
落涙を堪えながら、仰げば尊しをうたう。
思い出が脳裏に過ぎった。
そして、卒業式が終わる。
「泣きすぎよ、目が真っ赤だわ。名無し」
泣かない訳にもいかない。
美羽は海外に行ってしまうのだから。
「日本にも、折を見て帰ってきますわ。だから泣かないの。ちゃんと毎日メッセージ送るから、だから」
美羽は目尻に涙を浮かべて笑った。
「私のこと忘れないで」
「忘れない! 忘れられないよ、美羽ちゃん!」
「3月末に渡航するから、来れたら来て。あと時間が空いたら遊びましょう。わたくし、またカラオケに行きたいわ」
「うん! うん!」
そう言って美羽は、仕事の関係で学校を後にした。
名無しは他の友人にも挨拶して、最後にありがとうと呟いて、学校を去った。
そして、クリスマスの日に行った、あの場所へ向かう。
あのカードを空へ翳して、あの人を呼んだ。
「──聖戦士 カオス・ソルジャー……先生」
輝く粒子が集まって、その者の形を成す。
「……先生は相変わらず抜けないな、名無し」
白い鎧を纏っている聖戦士は微笑んで、名無しの右手をとった。
「あの日の、約束を」
聖戦士は深く呼吸して、真剣な顔になる。それに胸がときめいてしまう。
聖戦士の言葉だけが、その場を支配した。
「愛している、俺と、共に」
ずっと、ずっと思っていた。他の好きな人がいるんじゃないかな、本当は気持ちが離れているんじゃないかな。
想いは切なく心を揺らして、気持ちが混乱して泣いた夜も、それでもあの優しい眼差しを信じる夜明けもあった。自分の聖戦士への感情も悩んだ。けれども間違いじゃなかった。この日を聖戦士も待っていてくれた。
「先生……いえ、聖戦士さん……私も、好きでした、愛してました」
「……この日を、信じてくれていたことが、嬉しい。俺の心は今、幸福に満ちているよ」
手を取られ、指を絡めて握られた。
「今は、これだけ」
聖戦士は顔を耳に寄せてきた。
「3月が終わったら、もっとすごいことをしよう。手を握られるよりも、すごいことだ」
笑顔で言い切った聖戦士に、驚きを隠せない。
「か、からかわないでください!」
「からかってなんてない。もう少しだな、楽しみだ」
"もっとすごいこと"に思いを馳せつつ、手を握り返した。
「はい! 聖戦士さん!」
──出会えて良かった、愛されて良かった、愛して良かった。きっと、この先は、悲しみもあるだろうが、俺達なら分け合える。幸せになろう、名無し。
担当の白石先生が、マイクに向かって、一人ひとり、心と感涙を込めて生徒を呼ぶ。
「名無し 名無し」
「っ……はい」
壇上に名無しは上がり、校長が卒業証書を手渡す。
「ありがとう、ございます……!」
壇上から降りて、席に戻る。3年間、色んなことがあった。
(先生……私、頑張りました……! はやく先生にいっぱい、いっぱい伝えたいです……!)
離任式のあれから、最低限の連絡しかとってない。
(でも、これが終わったら、美羽ちゃん達と、もう一緒にいられない……!)
落涙を堪えながら、仰げば尊しをうたう。
思い出が脳裏に過ぎった。
そして、卒業式が終わる。
「泣きすぎよ、目が真っ赤だわ。名無し」
泣かない訳にもいかない。
美羽は海外に行ってしまうのだから。
「日本にも、折を見て帰ってきますわ。だから泣かないの。ちゃんと毎日メッセージ送るから、だから」
美羽は目尻に涙を浮かべて笑った。
「私のこと忘れないで」
「忘れない! 忘れられないよ、美羽ちゃん!」
「3月末に渡航するから、来れたら来て。あと時間が空いたら遊びましょう。わたくし、またカラオケに行きたいわ」
「うん! うん!」
そう言って美羽は、仕事の関係で学校を後にした。
名無しは他の友人にも挨拶して、最後にありがとうと呟いて、学校を去った。
そして、クリスマスの日に行った、あの場所へ向かう。
あのカードを空へ翳して、あの人を呼んだ。
「──聖戦士 カオス・ソルジャー……先生」
輝く粒子が集まって、その者の形を成す。
「……先生は相変わらず抜けないな、名無し」
白い鎧を纏っている聖戦士は微笑んで、名無しの右手をとった。
「あの日の、約束を」
聖戦士は深く呼吸して、真剣な顔になる。それに胸がときめいてしまう。
聖戦士の言葉だけが、その場を支配した。
「愛している、俺と、共に」
ずっと、ずっと思っていた。他の好きな人がいるんじゃないかな、本当は気持ちが離れているんじゃないかな。
想いは切なく心を揺らして、気持ちが混乱して泣いた夜も、それでもあの優しい眼差しを信じる夜明けもあった。自分の聖戦士への感情も悩んだ。けれども間違いじゃなかった。この日を聖戦士も待っていてくれた。
「先生……いえ、聖戦士さん……私も、好きでした、愛してました」
「……この日を、信じてくれていたことが、嬉しい。俺の心は今、幸福に満ちているよ」
手を取られ、指を絡めて握られた。
「今は、これだけ」
聖戦士は顔を耳に寄せてきた。
「3月が終わったら、もっとすごいことをしよう。手を握られるよりも、すごいことだ」
笑顔で言い切った聖戦士に、驚きを隠せない。
「か、からかわないでください!」
「からかってなんてない。もう少しだな、楽しみだ」
"もっとすごいこと"に思いを馳せつつ、手を握り返した。
「はい! 聖戦士さん!」
──出会えて良かった、愛されて良かった、愛して良かった。きっと、この先は、悲しみもあるだろうが、俺達なら分け合える。幸せになろう、名無し。
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