2月
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男子生徒も女子生徒も、どこか上の空で。
「はぁ〜あ、誰かから本命チョコもらえねーかなー」
なるほど、バレンタインか。
聖戦士は提出されたプリントをまとめながら、17時過ぎの空を見て、ため息をついた。
そして2月14日になる。
「おはようございます、皆さん。バレンタインデーだからって、本業を忘れてはいけませんよぉ」
白石先生が釘をさす。
(うぐ……)
内心、名無しからもらえるだろうか、なんて考えていた。
「はぁい、では今日も頑張っていきましょうね」
白石先生と聖戦士はB組の教室から出ていき、お互い担当する教室へと行った。
休み時間毎に、女子生徒から声をかけられる。
「ねー、先生。チョコ受け取ってよー」
「悪いが受け取れない」
「彼女がいるからー?」
「プライベートのことをきいてくるな」
なかなか開放してもらえず、どう離れるか考えていたところに、1年B組の男子生徒が来た。
「聖戦士先生、ここの復習したいんですけど、解らなくって……コツとかありますか?」
「ああ、まず……」
居心地が悪くなったのか、女子生徒は離れる。
(あいつには悪いが、助け舟だな)
聖戦士は生徒にポイントを教える。昼休みが終わるチャイムが鳴って、生徒達は教室へ戻っていった。
明日の授業の準備をして、聖戦士は車を出そうとした。
(そういえば名無しから菓子、もらえなかったな……仕方がない、俺達はまだ先生と生徒なんだ。浮ついた気持ちで臨んではいけない)
すれ違う男女を見ては、屈託のない笑みで談笑していたり、手を繋いだり、羨ましい気持ちがあった。こんなに恋愛にのめり込む性格だったか。少し自嘲して、いつもの本屋に車を停めた。その時スマートフォンが振動した。
(……)
タッチパネルには、名無しからのメッセージが届いている。
いつもの本屋さんの文庫コーナーで待ってます。
聖戦士は速足で向かった。
「先生」
「名無し、今は何時だ?」
「夜の8時です……」
「子どもがこんな時間に外出していたら駄目だろう。親御さんも心配している。……俺だって心配する。送ってやるから、帰れ」
名無しを促して、車に乗せる。
(生徒だ、生徒だ)
「あの、聖戦士先生。お口に合うかわかりませんが、その、バレンタインだから作ってきたんです。良ければもらってください」
差し出された小包を見て、躊躇いは捨てた。
「名無し、礼を言う。ホワイトデーは……その、期待はするなよ? 何かは贈る」
「はい、先生」
本屋から名無しの家は、そう遠くはない。10分弱で着く。
「先生」
名無しの顔が近付いて、自分の頬に何かあたった。
「みんなには、内緒です。ふたりだけの秘密です」
それでは、と言って、名無しは降りた。
何にもないようにする方が無理な話だ。好きな女性に、頬とはいえ、口づけをされた。
「──そういうことは、卒業してからしてくれ……」
真っ赤な顔で、その場を後にする。なかなかの自分の純情ぶりに、ため息ばかり出た。大人の余裕とは何なのか、家に着くまでずっと考えていた。
「はぁ〜あ、誰かから本命チョコもらえねーかなー」
なるほど、バレンタインか。
聖戦士は提出されたプリントをまとめながら、17時過ぎの空を見て、ため息をついた。
そして2月14日になる。
「おはようございます、皆さん。バレンタインデーだからって、本業を忘れてはいけませんよぉ」
白石先生が釘をさす。
(うぐ……)
内心、名無しからもらえるだろうか、なんて考えていた。
「はぁい、では今日も頑張っていきましょうね」
白石先生と聖戦士はB組の教室から出ていき、お互い担当する教室へと行った。
休み時間毎に、女子生徒から声をかけられる。
「ねー、先生。チョコ受け取ってよー」
「悪いが受け取れない」
「彼女がいるからー?」
「プライベートのことをきいてくるな」
なかなか開放してもらえず、どう離れるか考えていたところに、1年B組の男子生徒が来た。
「聖戦士先生、ここの復習したいんですけど、解らなくって……コツとかありますか?」
「ああ、まず……」
居心地が悪くなったのか、女子生徒は離れる。
(あいつには悪いが、助け舟だな)
聖戦士は生徒にポイントを教える。昼休みが終わるチャイムが鳴って、生徒達は教室へ戻っていった。
明日の授業の準備をして、聖戦士は車を出そうとした。
(そういえば名無しから菓子、もらえなかったな……仕方がない、俺達はまだ先生と生徒なんだ。浮ついた気持ちで臨んではいけない)
すれ違う男女を見ては、屈託のない笑みで談笑していたり、手を繋いだり、羨ましい気持ちがあった。こんなに恋愛にのめり込む性格だったか。少し自嘲して、いつもの本屋に車を停めた。その時スマートフォンが振動した。
(……)
タッチパネルには、名無しからのメッセージが届いている。
いつもの本屋さんの文庫コーナーで待ってます。
聖戦士は速足で向かった。
「先生」
「名無し、今は何時だ?」
「夜の8時です……」
「子どもがこんな時間に外出していたら駄目だろう。親御さんも心配している。……俺だって心配する。送ってやるから、帰れ」
名無しを促して、車に乗せる。
(生徒だ、生徒だ)
「あの、聖戦士先生。お口に合うかわかりませんが、その、バレンタインだから作ってきたんです。良ければもらってください」
差し出された小包を見て、躊躇いは捨てた。
「名無し、礼を言う。ホワイトデーは……その、期待はするなよ? 何かは贈る」
「はい、先生」
本屋から名無しの家は、そう遠くはない。10分弱で着く。
「先生」
名無しの顔が近付いて、自分の頬に何かあたった。
「みんなには、内緒です。ふたりだけの秘密です」
それでは、と言って、名無しは降りた。
何にもないようにする方が無理な話だ。好きな女性に、頬とはいえ、口づけをされた。
「──そういうことは、卒業してからしてくれ……」
真っ赤な顔で、その場を後にする。なかなかの自分の純情ぶりに、ため息ばかり出た。大人の余裕とは何なのか、家に着くまでずっと考えていた。